一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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@10 順調なる修業

伝説の三忍、さらに、未来の四代目火影から修業を付けて貰い強くなった。とはいえ、同じ班のシスイとどっこいどっこいの実力なのは才能の違いというやつだろう。悲しい。

 

少し、俺のことについて説明させてもらう。え?いいから話を進めろって?まぁ、そういわずに聞いてよ。修業を文字通り死ぬ気で頑張ったから褒めて欲しいんだ。なんせ、大蛇に食われかけたり、地面が割れるほどの拳を紙一重で避けたり、温泉を覗きに行ったり大変だったんだ。

 

閑話休題。話を戻そう。

今の俺はそこらの中忍と比べても遜色のない程の力を付けた。使える術は基本的な体術、幻術、水の系統の忍術だ。あとは、口寄せの術と潜影蛇手などの応用技。螺旋丸を習得するためにチャクラのコントロールの精度を上げたおまけで、医療忍術である掌仙術が使えるようになったのは嬉しい誤算だ。ちなみに、影分身の術なんだけどミナト先生の腕にぶら下がっておねだりしたら教えて貰えた。

ああ、言い忘れてた。飛雷神の術はまだ使えない。つーか、難し過ぎるし、あれ。流石は会得難易度Sの術。だが、裏ワザを使えば飛雷神の術や螺旋丸などの超高等忍術を使うことができるのが最近分かった。

その裏ワザとは…輪廻眼だ。

引っ張ることじゃないんだけど、輪廻眼なんだよ、実際。輪廻眼を発動すると体術、幻術、忍術全ての精度が引き上げられて、輪廻眼が発動していない状態では使えない術が使えるようになってしまう上に、五大性質変化を完璧に使いこなせるというチートっぷり。六道仙人の爺さんが転生特典としてめっちゃプッシュしてきただけのことはある。…それでも俺はスーパーサイヤ人の方が強いと思うんでそっちの転生特典の方が欲しかった。

 

ま、グダグダと転生特典について言うと、また爺さんに殴られそうなんでそれは一先ず置いといて…。

輪廻眼のチートっぷりは解って貰えたと思う。術の印さえ知っていれば、プロフェッサーと謳われた三代目火影以上の術を使いこなせる才能。プラス、天道、人間道、修羅道、餓鬼道、畜生道、地獄道、さらに外道など六道の術をも使うことができる。本気を出せば、一人で一国を落とすことも十分可能な力だ。

ただ…輪廻眼を使うことはよっぽどのことがない限りないと断言できる。戦争の火種になるとかそういうもろもろの理由よりも切羽詰る理由がある。

……大蛇丸様だ。

あの人、千手とうちはについては異常なぐらいの執着を見せる。もし、俺がその二つの血族のルーツである輪廻眼を開眼していると知ったら…。まず間違いなくバラされる。恐ろしい。

ん?それだけのチートがあるなら大蛇丸ぐらいちょちょいのちょいで倒せるんじゃないの?

いや、無理絶対。たとえ、どんなチートがあってもあの人、蛇みたいに上手く掻い潜ってきそうだし。あと、『ヨロイ、最近おもしろい術を開発してねぇ。アナタにも教えてあげるわ。』って言って教えてくれた術があって外導ノ印っていうんだけど、かなりえげつないっていうか性格が悪い術なんだ。血継限界の力を全て阻害するっていうどんな原理で成り立っているのかちょっと解らない術だ。で、一人での修業の時に影分身を二人作って、一方が輪廻眼を発動させている時にもう一方が外道の印を発動させたら輪廻眼まで封じることができた。この術を使われたら間違いなく詰む。

てなわけで、大蛇丸様は敵に回したくない相手ナンバーワンだ。顔、怖いし。

 

「ヨロイ。話を聞いているのか?」

「ん?聞いてたよー。」

 

と、物思いに耽っていたらシスイに呼ばれた。やれやれというようにため息をつくシスイ。いや、聞いてたよ。ListenじゃなくてHearだったハズだし。

 

「相変わらずだね、ヨロイ。」

 

エノキも呆れたように笑う。

 

「だから、聞いてたって。あれだろ?僕たち私たちは正々堂々とスポーツマンシップに則りとかいうの。」

「忍に正々堂々とか必要ないって俺に言ったのは誰だったっけ?」

「とりあえず、俺ではないな。」

「お前だよ!」

 

少し不貞腐れたシスイを宥めながらエノキが俺に言葉をかける。

 

「正直に言ったほうがいいよ。」

「さーません、聞いてなかったッス。」

 

シスイとエノキはがっくりと肩を落とす。ややあって、エノキが俺が全く聞いていなかった試験官の話を掻い摘んで説明する。

 

「いい? 3vs3のチームバトルをここ、第44演習場でするの。試合形式はトーナメント方式だって。」

 

エノキの話を聞き、シスイが首の骨を鳴らす。

 

「つまり、だ。この中忍試験第2次班対抗戦。次に進めるかどうかはお前にかかってくる。」

「え?なんで?シスイだけで大丈夫だと思うんだけど。」

「それだったら、班でする意味がない。つまり、この試験…。チームワークを試されているんだろうな。だから、頼む。勝手な行動はしないでくれ。」

「んじゃ、早速行くぜ!アスマ、紅、アオバ!」

「ヨロイェ…。」

 

とうとう、シスイは地面に手をついてしまった。そんなシスイの肩を優しくポンポンと叩くエノキ。その二人を背にアスマたちに向かっていく俺。なかなかかっこいい。

 

「シスイは放って置いていいのか、ヨロイ?」

「大丈夫っしょ。シスイだし。」

「それよりも、私たち三人に一人で向かってくるなんて流石に嘗めすぎよ。」

 

対戦相手である猿飛アスマ、夕日紅、山城アオバはさっと臨戦態勢を取る。

 

「俺に幻術が効かないことを忘れたのか?この試合、実質アスマとのワン オン ワンだ。」

 

足に力を籠め、グンッと地面を蹴りアスマに向かって駆けだす。右手を振り切るとかなりの衝撃があった。そちらに目を向けると、クナイとクナイがぶつかり火花を立てていた。

 

「ここからが中忍試験の本番だ!気ぃ抜くなよ、アスマ!楽しむ間もなかったら悲しいしよ。」

「ヨロイ、随分な言いようだな。お前こそ、油断してあっと言う間に終わったら面白くないから気を張っていろよ!」

 

キーンと金属と金属が奏でる甲高い音が第44演習場、通称『死の森』に響き渡る。

忍者学校を卒業して一年。

 

…中忍試験、開始!

 


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