鯨に降り立つ鮫蟻   作:UKIWA

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 ダルマザメって本当に怖いよね。あんなのがいると思うと、海や川にに入るだけでも恐怖です

まあそれはさておきどうぞ!!


人類の敵だった兵器

 西暦2080年

 

 この年ある生物兵器が生まれた。名前を生物兵器Ccs-Fa(キャスファー)

 彼の誕生から二十年、西暦2100年人類は消滅、滅亡した。人類がいなくなったこの地球では食物連鎖に負けた生物は消え去り、生命力の強いいきものだけが生き残る殺伐とした弱肉強食の世界へと変わっていた。

 彼は人類消滅という使命を果たし、自由というものを手に入れた。しかし彼にはその後何をしていけばいいのか、まったくと言っていいほどなかった。彼が持つものといえば、2種の生物を生み出す能力と、研究所での果てしない本の知識。そして、殺すのをためらわない殺人者としての素質と少しの感情だけであった。

 

 

 

 

 研究所まで戻ってきたはいいが、俺はどうすればいいんだ。目的も今の存在意義も俺にはもうない。

 

そう思いながら俺は研究所の資料を見ながら思った。人類を消したのはどうとも思わなかったが、人を殺しても高揚はしない、しかし殺すという感情にも何も感じたりはしなかった。だからこそ今自分が今の直感的に興味がありそうな実験資料をあさっているのである

 

 「ん?これは転移装置か?確か十番ドッグに置いてあったものか、まあ俺はどうせ暇を持て余している人間だし、いってみるか」

 

 俺の寿命は標準の人並みらしいが、それが事実だった場合、俺は一生暇人だ。

 

 

 

 「これが転移装置か、資料を見る限りまだ研究途中らしいが、実験の途中で一人消えたとも書かれてるな」

 

 推測するなら、単に欠陥でその一人は消えたと考えた方がいいんだろうが、もしかしたら何処かの場所へ転移したのかもしれないな。

 

 「どうせ今なら使いようがない無駄な命だ。行ってみるか」

 

 俺は何気なく転移装置の中心に入り、真ん中にあったレバーを押した。すると、転移装置の周囲から青白い稲妻が広がり、次第に俺はその稲妻の中へと消え、俺のこの世界での存在はそこで消えた。

 

 

 

 

_________________________

 

 

 「チャクロさん助けてください!私知ってしまったんです。長老会の人たちが泥クジラと皆を沈めようとしています。反対したスオウさんは体内エリアに捕らえられてしまいました」

 

 「それはほんと!?」

 

 「みんなを救うためにはまず心を解放してあげないといけない人がいます。行ってあげてください!」

 

 「それって、リコスのことだよね?」

 

 「はい」

 

 バチバチ…

 

 「「え?」」

 

 「ネリ危ない!!」

 

 突如として、僕たちの前に青白い光が現れた。それは次第に大きな光となり、僕たちの視界を奪った。

 

 

 

 

 「ん?俺が生きてるという感覚があるとすれば、転移は成功したのか」

 

 俺は周囲を確認した。この揺れから察すると船の上か?いや、そうだとしても周囲には砂が広がっている。それに俺が立っているこの場所も、石や土でできたような形をしている。明らかに俺がいた所では載ってっていなかった場所だ。それに…

 

 「なぜ人間が生きてる?いや、この状況からすれば、俺は別の世界から飛ばされたという方が妥当か」

 

 ピンク髪の少女が一人、気弱そうな少年が一人か。

 

 「ここはどこだ?」

 

 「あ、あなたこそ誰何ですか!?まさかあの軍隊の!」

 

 この目は憎みの顔だな、だが怯えが見える

 

 「先に質問したのは俺だ。この場所はなんだ?見たところ陸地ではないのは理解できる」

 

 俺は少年に近づき、表情は無のまま、胸ぐらを掴んだ。

 

 「やめてください!!ここは泥クジラという船です!お願いですからチャクロさんを離してください!」

 

 少年を下ろすと、俺は少女と向き合った。

 

 「回答ありがとう少女。少年の質問を返すとすれば、俺は生物兵器Ccs-Fa。呼びづらかったらキャスファーでいい。そしてお前たちは戦争でもしているのか?」

 

 「あなたは昨日来た軍隊の人たちじゃないんですか?」

 

 「意味がわからんな。お前らの状況を察すれば、お前らからして昨日その言っている軍隊がここを襲ったということで会ってるか」

 

 「はい…」

 

 少年は何かを思い出したかのようにうつむきながら返事をした

 

 「しかし、まさか人間にまた会えるとは思わなかったな」

 

 「あなたはどこから来たのですか?それに昨日の軍隊も知らないなんて。あなたは外から来たのでしょ!!」

 

 「確かに俺は外から来たって言うのかも知れないな。ただ世界単位だがな。それに俺は軍隊もあるのかと驚いてるぐらだからな」

 

 「世界単位?失礼ですが、あなたは軍隊を見たことがないのですか?」

 

 「俺が驚いてるのはそこじゃない。人間が生きてる事自体がありえないから驚いている」

 

 「もしかして、あなたは一人で砂の海を渡っていたのですか?」

 

 「いや、俺は渡ってなんていない。それに俺は人間を見たことがないわけじゃない」

 

 「…え?」

 

 「俺が驚いているのは、全滅させた人間という種がいるということだ。それも軍隊を作るほど」

 

 「「!?」」

 

「あなたはいったい何者なんですか!!」

 

 「その反応が普通だ。ただひとつお前たちが勘違いしているのは、俺が人類を滅亡させたのはこことは別の世界だということだ。お前らアメリカやイギリス、ドイツ、日本。これは国の名前だ、聞いたことはあるか?」

 

 「…いえ」

 

 「そういうことだ。今の国名は、世界中でもだれでも知っているはずだ。だが、お前たちは知らないだろ?」

 

 「でも、あなたは別の世界でも人を殺していたということにはかわりわないじゃないですか!!」

 

 今なんていったこいつ

 

 「おい、ここには昨日軍隊が襲ってきたんだよな?お前らは誰一人抵抗しなかったのか?その軍隊の奴を殺した奴はいなかったのか?」

 

 俺は再び少年の胸ぐらをつかんだ。

 

 「ッツ……オウニ…」

 

 「オウニってやつがやったのか、それが」普通だ。他人を人殺し呼ばわりするには、お前の知り合いにも人殺しがいるじゃないか」

 

 「くっ…!!」

 

 そういうと、少年は涙を流した。平和ボケした人間が変わる瞬間だ。

 

 「おい、チャッキーに何してる」

 

 建物に入るほうから、声が聞こえた。

 

 「お前は誰だ?昨日の軍隊の奴か…うちのかわいいチャッキーを…」

 

 ブォン!!

 

 俺は少年を離すと、体をそらし、回避した。

 

 面倒なのが来たな。本当だったら殺すが、俺はこいつらと交渉がしたくなった。仕方がない拘束するか。

 

 「増殖蟻」

 

 俺は指を噛み、地面に一滴血を落とした。地面に落ちると、その血が蟻の形へと変わり、自分を襲った少女を襲った。

 

 「何この虫!?」

 

 彼女は無造作に蟻を払った。あくまで拘束だ、悪く思うなよ。

 

 「蛹鮫」

 

 俺がそういうと、先程這っていた蟻の背中が割れ、蟻サイズのダルマザメが姿を現した。

 

 「何これ、魚!?い…痛っ!!」

 

 「まだ、甘噛み程度だ。おとなしくしていろ。それより少年、お前の言葉から察するに、ここには抵抗できるやつが数人しかいないんじゃないのか?なら俺がこの泥クジラの用心棒になってやる」

 

 「え?」

 

 「飯や寝床付きという条件だが、お前に雇われてやる。お前が断るのも勝手だが、その時は、この船の全員を皆殺しにする」

 

 「!!」

 

 「チャクロさん…」

 

 「わかりました、僕が雇います。理由はどうであれ、僕が断ったら少なくとも、今の目の前にいるギンシュ姉さんやネリがどうなるかわからない、いや考えたくもない…」

 

 「交渉成立だ。それで、若干何だが、光に包まれてるときに聞こえてたんだが、リコスってやつの所に行くんじゃないのか?」

 

 「え!?」

 

 「案内頼むぞ」

 

 俺は少年を腕に持つと、その場所から飛び降りた。

 

 

 この話は鯨の上に住む人間と、人類を抹殺した兵器の物語である。

 

 


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