震える足を叱咤してヘリポートへと上がると、そこではすでに渚くんと鷹岡先生は向かい合って立っていた。鷹岡先生の足元には治療薬の入ったスーツケース、渚くんの足元には……ひと振りのナイフ……やっぱり鷹岡先生がやろうとしてることは、あの日のリベンジ、……あの日と全く同じことをやろうとしてる。ただし、前回は渚くんをみくびって油断して、彼に
こちらを見ている2人のもとへ歩いていく途中、ふと、自分の右腕が目に入った。……カルマが掴んでいた私の右腕には、指の配置からして
「何してやがる……早く来いオラァ!」
爆破スイッチ……なのかな、ソレを掲げながら大声をあげている鷹岡先生。あんまり時間を使うわけにもいかない……いつの間にか止まっていた足を再度動かして、私は渚くんの隣へと並ぶ。
あとを追うようにカンカンカン、と階段を駆け上る音が聞こえた。ちら、と視線だけそちらに向けてみると、ヘリポートへ登る梯子の手前の所にみんなが集まっていた。当然鷹岡先生もそれに気づいていて、ニタリと笑みを浮かべると手に持っていたスイッチを押した。
────ドォン!
「これでもう、だーれも登ってこれねぇ……ギャラリーくらいは許してやるよ。潮田渚君と、真尾有美紗さんの2人のヤられ様を観戦するなァ」
爆発音とともに梯子がヘリポートの下へ落ちた。時間はかかるけどかけ直すことが出来ないわけじゃない……でも、何かあったとしてもみんながこちらに、私たちが向こうへと簡単に行くことはできなくなった。でもそれは鷹岡先生だって同じこと……だけど、仕掛けた側である先生は余裕そうだ。
「俺のやりたいことはわかるな……?この前のリターンマッチだ」
「……待って下さい、鷹岡先生。僕等は闘いに来たわけじゃないんです」
「だろうなァ、この前みたいな卑怯な手はもう通じねぇ……一瞬で俺にやられるのは目に見えてる。だがな、一瞬で終わっちゃあ俺としても気が晴れねぇ。真尾有美紗、お前はあとだ……ちゃァんと出番は用意してやってるから、邪魔をしたらどうなるか……わかるよなァ?」
「…………」
私たちの目的は治療薬を手に入れること……だからなんとかこの興奮している鷹岡先生をなだめて交渉にもっていきたいのだけど全く聞く耳を持ちそうにない。その上起爆スイッチでみんなの命を盾に脅されて、私は前に出ることができなくなってしまった。私には渚くんのようにリターンマッチをするようなことは無いはず……何をさせられようとしているのかはわからないけど、ひとまず渚くんと鷹岡先生の2人から距離をとる。一応、本気でそう思っている訳では無いけど……『私は邪魔をしません』という意思を見せるために。
「よしよし、いい子だなァ……そのままそこで見ていろよ。さて、潮田渚……闘う前にやることやってもらわなくちゃな。謝罪だ、土下座しろ」
鷹岡先生は地面に指を向けて、渚くんにそう命令した瞬間、ぶわりと感情が高ぶるのを感じた。先生の言い分は自分との一騎打ちに実力が無いから卑怯な手で奇襲した、それについて謝れということだった。
……なんで、理不尽だ、この人がただ自分が上の立場だと示したいだけだ、受ける必要のない屈辱じゃないか、やる必要なんてない、渚くんは悪くない、……そんな思いが私の中を駆け巡るけど、ここは鷹岡先生のフィールド……通用するはずがない。渚くんは少しだけ迷いを見せ、何かに気づいたように私の方をふっと振り返って……治療薬の起爆スイッチという逆らえない脅しがあることもあってか、鷹岡先生に向き直り、静かに膝を折った。
「……僕は、」
「それが土下座かァ!?バカガキが!!頭こすりつけて謝んだよォ!!」
何も言えない私は打開策がないかと考えを巡らせながら、ただ、見ていることしかできなかった。……1つだけ、思いついた策はある。でもそれはある意味渚くんの協力あってこそのものだし、今の状況で何をするのか伝えることはまず不可能。伝えなくてもできないことはないけど……私が渚くんの行動を読めばいいだけのことだから。だけどこれは反対されることもわかっている……成功するとハッキリ言えない作戦だから。だからもし、条件が揃う時があるのなら……私の独断で決行しよう。私1人の安全と、みんなの安全を天秤にかけたら、みんなの方に傾くのは当たり前のことだから。痺れる手足と揺れる視界……全部、今は考えない。チャンスは、1回だけだから。
「僕は、実力がないから卑怯な手で奇襲しました。……ごめんなさい」
「おう、その後偉そうな口も叩いたよなァ……『出ていけ』とか」
条件は、
「ガキの分際で大人に向かって!!生徒が教師に向かってだぞ!?」
「ガキのくせに、生徒のくせに、先生に生意気な口を叩いてしまい、すいませんでした。本当に、ごめんなさい」
鷹岡先生の意識が、完全に渚くんへ向いた時。
私は地面を蹴った。
◆
渚side
鷹岡先生は、グシャリと笑った。土下座とか、ハッキリ言って人間の尊厳を貶める行為だと思う。だけど、たったこれだけで彼の憎悪を少しでも抑えられるなら……治療薬をもらうことが出来る可能性が上がるなら……このくらい、どうってことない。
ふと、僕の後ろからとてつもなく冷たい気配……まるで、鎖に雁字搦めにされるような、冷たく苦しい何かを感じた気がして……そっちの方向へ下がらされたアミサちゃんのことが気になった。別にすぐに謝罪しろと言われたわけじゃないから、自然体を装ってアミサちゃんの方を振り返ってみる。彼女は、真っ直ぐ僕の方を見つめていた。唇を強く噛み締めて。左腕で右腕を握りしめて。どこか、何かを決めたような
そんなのを見てしまったら、尚更逆らうわけにはいかないじゃないか。きっと、アミサちゃんはこれから無茶をする。僕等が怒ることも、心配することも、全部わかった上で自分を犠牲にする答えを出している。いつもならそれとなく僕やカルマ君、クラスメイトが止めているけど、今は近くにいない。それがわかっていても今の僕には止めることが出来ない……なら、僕は少しでもその無茶をさせないで済むように行動しよう。僕だって、アミサちゃんのヒーローの1人なんだから。僕は鷹岡先生に向き直って膝を折る。
「……僕は、」
「それが土下座かァ!?バカガキが!!頭こすりつけて謝んだよォ!!」
あぁ、そういえばそんなことを言ってたっけ。どうやらちゃんと要求通りにしてほしいらしい。そんなことくらいならいくらでもやってやる。ゆっくりと、地面に頭をつける。
「僕は、実力がないから卑怯な手で奇襲しました。……ごめんなさい」
「おう、その後偉そうな口も叩いたよなァ……『出ていけ』とか」
こんなに心を込めない謝罪なんてしたことが無い……したくもなかったけど。何の感情も込めない、ただ、言われたことを音にして口にしているだけなのに、鷹岡先生は満足そうだ。形だけでも自分より下に見れて嬉しいのかな。
そんなことを頭の片隅で考えていれば、頭に強い衝撃が走って、さらに地面へ押し付けられた。
「ガキの分際で大人に向かって!!生徒が教師に向かってだぞ!?」
「ガキのくせに、生徒のくせに、先生に生意気な口を叩いてしまい、すいませんでした。本当に、ごめんなさい」
「……よーし、やっと本心を言ってくれたな、父ちゃんは嬉しいぞ。褒美に、いい事を教えてやろう」
足をどけられたから、ゆっくりと顔を上げる。こんなこと、カルマ君だったらきっと我慢出来ないんだろうな……僕だってプライドがあるし嫌だけど、プライドよりも大きなものを背負ってるんだからって、自然と考えることができて、かえって冷静になれた。それにしても……褒美?いったい何を言い出すんだろう。
「ウイルスで死んだ奴がどうなるか、〝スモッグ〟の奴に画像を見せてもらったんだが……笑えるぜ。全身デキモノだらけ……顔がブドウみたいに腫れ上がってなァ」
鷹岡先生は治療薬の入ったスーツケースを掴みあげると僕から距離を取り、みんながこれからどうなるのかってことを笑顔で説明し始めた。それを止めるためにこうしてここまで僕等は来たんじゃないか、その言い方だと……まさか。最悪な結末が頭をよぎった瞬間に、僕は血の気が引くのを感じて立ち上がり、鷹岡先生を止めようと駆け出していた。
「見たいだろ?渚君」
投げ捨てられるスーツケース。
この距離じゃ、追いつけない。
…………僕の横を風が横切った。
…………え。
「やめろーーーーーッ!!!」
「……させない」
烏間先生の叫び声に重なるように、小さな声が聞こえた気がした。
……僕は、一部始終を見ていた。
鷹岡先生がスーツケースを手放した瞬間を。
いつの間にか移動していたアミサちゃんがそれを奪い取ったのを。
僕に見せつけるように投げたから、スーツケースの行方なんて鷹岡先生は全く気にしていなかったのを。
だからこそ、鷹岡先生はそのまま起爆スイッチを押して、……アミサちゃんが爆弾をスーツケースから引き剥がして、投げたのとほぼ同時に、それが爆発したのを。
爆風によって、スーツケースと一緒に吹き飛ばされたアミサちゃんを。
「アミサちゃん!!」
「なっ……このガキ!!また邪魔を……!!」
遅れて治療薬が爆発することなく奪われたことに気付いた鷹岡先生が、そちらを見て声を上げた。かなりの至近距離での爆発だったのに、アミサちゃんは受け身が取れていたのか……なんとか体を起こそうとしているところだった。体を半分まで起こしたところで、彼女はスーツケースを蹴り飛ばす……このヘリポートにいる僕達の誰よりも遠いところまで、それは滑っていった。
だいぶ予想外な無茶はしてくれたけど、治療薬は無事だ……!これでちょっとやそっとで破壊されることはないだろう。アミサちゃんは、四つん這いのような体勢まで体を起こしたところで俯いているけど、僕は少しだけ安心していた。
「……ハァッ……ハァッ……これで、私たちが……あなたの、言いなりになる必要は、ない……ですよね……」
「チィッ…………そうだなァ……だが、その様子だとようやく効果が出てきたみたいだな。……
……そんな簡単に済むはずがないのに。嬉しそうに口元を歪ませる鷹岡先生を見て、安心なんて出来ないと思い知ったのは、すぐのことだった。
「……ぅ……ゲホッ…ごぽッ……」
「アミサちゃ……!?」
「おい、どうしたんだよ!?」
「なんで、こんないきなり……!」
アミサちゃんは倒れ込むのはなんとか防いでるみたいだけど、動けないようだ。さっき吹き飛ばされた時にどこか痛めたのか、それくらいのことだと思っていたのに……体を支えていた片手で口元を抑えたと思ったら、ごぼりと、血の塊を吐き出した。
僕はもちろん、後ろで離れていたみんなにも一部始終は見えていただろうから……焦ったような声を上げているのが聞こえた。
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カルマside
俺等は、渚君とアミーシャの2人がヘリポートへ呼び出され、目の前で屈辱的なことをやらされている光景を見させられていた。だけど、鷹岡が渚君にだけ集中している隙を狙ったアミーシャが捨て身で治療薬を奪いに行って……本トにあの自己犠牲精神にはヒヤヒヤさせられるけど、治療薬を爆破されることなく奪い取ることに成功。これで俺等を脅迫する材料が無くなったかのように思っていたのに……俺の心配が確信に変わってしまった。
「ヒャハハハッ!お前がアーツを使うことは俺が見てるからなァ!〝スモッグ〟に治療薬でのみ治るウイルスを盛るよう指示するのと同時に、お前には他の奴等とは別の毒を盛るように頼んだわけよ……アーツでも普通の解毒薬でも回復できない、特殊な神経毒だ」
「……ぐ、……ぅ……っ…」
「……なるほど神経毒……カルマ君が気にしていた『感覚がない』というのもそれが原因でしょう。遠目でしかわかりませんが……他にも症状が出ているのを彼女は隠し続けていたようですね」
血を吐き、倒れたアミーシャの首をつかんで持ち上げる鷹岡……彼女は苦しそうに首をつかむ手を外そうともがいているのが見える。
殺せんせーは焦りながらも冷静に俺の情報と組み合せて色々考えてるみたいだけど……俺はここから彼女が苦しんでいるところを見ることしか出来ない自分が、歯がゆかった。
「……お前が発症した奴らに回復アーツをかけても効かないと絶望する顔!しかも効果範囲内のはずの自分はいっこうに改善さえしない、それどころか時間が経つにつれて悪化していく恐怖……最高だなァ!!」
苦しそうにしながらも、彼女の片手が腰に装備されたエニグマに伸びるのが見えた。足が地面につかず持ち上げられた今、全体重が首ともう片手にかかっているためにかなり辛そうだけど……アーツさえ使えれば、気を引くのも、体力を少しでも戻して耐えるのも出来るはずだ。
なのに、彼女がそれに触れた瞬間、手が動かなくなったように見えて……いっこうに特徴的な青い光が見えないことに、違和感を覚えた。
「……アミーシャ、なんでアーツを使わないわけ……?あれなら両手塞がってようが、使えるじゃん……攻撃アーツで気を引いたり……毒を抜けなくても、体力回復のがあったはずだろ……?」
俺はアミーシャに
そんな俺の思わずこぼしたつぶやきに、思わぬところから答える声が聞こえた。
『……できないんです』
「……律?」
『アミサさんは、アーツを
「そんな、なんで」
「律、何か知ってるの?」
スマホから声を上げたのは、律だった。
思い返せば、殺せんせーの暗殺計画を終えてから、アミーシャがアーツを使おうとするたびに律は止めようと声を上げていた。結局押し切られていたから、そこまで問題は無いと思っていたんだけど……これは、何か知ってるってこと……?
律の声を聞いて、アミーシャのアーツに助けられてきたみんなは困惑した声を上げている。律はそれらの声を聞いても言葉を濁している。大方黙っているように言われたとかなんだろうけど……こういう時は彼女が機械であることを恨みたくなる。人の心を読み取るのは律では難しいから。その時は律なりの優しさに気づけなくて、そう思っていた。
「……何故だ?俺は以前彼女の戦術
俺も烏間先生に同意だ。直接本人にそれを聞いているし、資料にもそう書いてあった。さすがに烏間先生の言葉を聞いたら黙っていられなかったのだろう。律は静かに言葉をこぼしはじめた。
『……アミサさんは、最後まで隠しているつもりだったようですが……彼女はラインの長さに反して、EP最大値が極端に低いんです。本来、ひとつながりのラインをもつアーツ使いの最大値は、クオーツの組み合わせの関係もありますが1200ポイントを優に超えるそうです。しかし、アミサさんの場合……最大値は630……半分ほどしかないんです』
「何……!?」
これが、アミーシャの隠したがっていたことか……!重要な個人情報っていってわかりやすく誤魔化していたのは、自分の欠点を知られたくなかったから。高威力のアーツを使えるのに、連発ができない体質……待てよ、じゃあ、今って……、ッ!!
「……ねぇ、律。アミーシャさ……今日ってどれだけアーツ使ったの……?」
「……まさか」
『……最初の暗殺計画の時に、殺せんせーを捕らえる水の檻……数十秒しか持たないアーツを規模を小さくし、重ねがけることで維持していました……使用EPは220、それを2回分』
殺せんせーの周りを覆った水のプールのことだろう。かなり集中しなくちゃいけないって言ってたし、だいぶ調整が必要だったんだろう……本来は大規模な津波を起こすと言っていたから、その消費量も頷ける。これで440ポイント。
『次にみなさんの応急処置……使用EPは70』
このホテルへ乗り込む前に、応急処置だとホテルに残してきた奴らも含めて全員にかけた広範囲の回復アーツのことだ……510ポイント
『素手の殺し屋を牽制した火球……使用EPは20』
……俺はガスをくらったふりをしてたからハッキリ見てないけど……熱い何かが近くを通ったのは覚えてる、これで、530。
『寺坂さんの体力回復で……使用EPは20。そして、最後……突入前の応急処置で使用EPは70。合計620ポイント、……1番使用量の少ないアーツで20ポイント必要で、アミサさんはそれすら撃てないほどに使い切ってるんです』
暗殺計画っていう大きな舞台に加えて、この突然の襲撃というイレギュラー……アミーシャは自分以外が傷付くことを極端に嫌うから、配分も考えずに使い続けていたんだ。律は、アミーシャが俺等のためにアーツを使い続けて、俺等のために使えなくなってる現状に気付かせないために黙っていようとしたのだと、嫌でも理解出来てしまった。
ただ、まだ最後のアーツを使ったところまでは理解出来るけど……なんで寺坂?その時、ドサリと何かが倒れ込む音が聞こえた。
「寺坂!お前コレ、熱ヤベぇぞ!?」
「こんな状態で来てたのかよ!」
「うるせぇ……それより吉田ァ……もう少し前に連れてけ……」
……彼女は、誰よりも早く、寺坂のこの状態に気づいていたに違いない。でも毒を抜く事は出来ないってのは一度実行したから知っていて……大方、寺坂が体力だけは云々って言ったんだろう。彼女はそれを素直に聞いて、少しでも足しにしようとしたんだと思う。
……あの時、導力器の仕組みを聞いた時に誤魔化されないで、もっと問い詰めておけばよかったのか……?そうすれば、もっと目を配ってやれたのか……?後悔が俺の中に渦巻いて、何かを叫びたいほどの気持ちになってそれを押し込めるためにも下を向いた。いつの間にか握りしめていた手のひらからは血が滴っていて……あぁ、力を入れすぎたんだ。俺なんてどうでもいい、捕まってるアミーシャをなんとか助けないと……唯一近くにいる渚君は下手に近付けずに動きあぐねてる、どうすればいい……
────ガンッ!
「ぐっ!?」
「渚ァ!!」
何かがぶつかる音とうめき声、それに続いて響いた寺坂の大声にハッとしてヘリポートを見てみれば、渚君がアミーシャに駆け寄って鷹岡から離れた場所へ連れていくところだった。顔面押さえてこちらを睨んでる鷹岡と渚君が手に持ってるスタンガンを見る限り、寺坂がスタンガンを鷹岡の顔面めがけて投げ、それが当たったために鷹岡はアミーシャを手放したってところか。
「どいつもこいつも……俺の邪魔しやがってェ……!」
「人質いなけりゃこっちのもんだ……やれ、渚。俺等の代わりだ!死なねぇ範囲で……ぶっ殺せ」
「……寺坂君……」
寺坂の言葉で何かに気付いたように渚君は俺等の方を見て……スタンガンを握り直した。そして、ぐったりしているアミーシャに視線を戻して話し掛けた……渚君の言葉は、ここから離れているのに、この風が強くてうるさい屋上なのに、俺にはハッキリと聞こえた。
「……待ってて、
手に持ったスタンガンをベルトに挿し、上着を投げ捨てた渚君……いざとなったらどんな手を使ってでも参戦するけどさ、それまでは……俺の、俺等の代わりに頼んだよ。
「ふむ、神経毒……低体温、手足のしびれ、めまい、……今確認出来ている症状はこのあたりでしょうか」
「……殺せんせー……ウイルスは、ありえないの?それならあの治療薬で……」
「ウイルスに感染していたら、アミサさんも発熱があるでしょう。しかし、カルマ君がいうには氷のように冷えきっていたと……そのあたりから違うものをもられていると考えるのが妥当ですね」
「でも……どうしよう……アミサちゃん、ウイルス入りのドリンク、飲んでるよ……」
「!……そういえば、」
「私と優月ちゃんのドリンク……一口ずつだけど飲んでる」
「……ヌゥ……早めにこの闘いを制して、下の毒物使いに聞いたほうがよさそうですね」
++++++++++++++++++++
鷹岡戦、次回決着。
治療薬の爆破を防げたので、渚と鷹岡の一騎打ちへと入る流れを少しいじりました。
オリ主の隠し事、暴露回。
・オリ主のEP最大値は630……ひとつながりのオーブメント所持者にしては、かなり低いです。1200越えとかが
普通。姉であるリーシャも同じような感じですが。
・オリ主の感じていた体の違和感の正体は、他のクラスメイトたちとは別物の毒が原因。伏魔の時間のフリートークで黒幕とガストロの会話でしていた『スモッグは間違いなく仕込んだんだろうな』というのはこれのことでした。
オリ主sideで地の文はたくさん話してるのに、会話を全然してない……!
次回、はなす……話す元気あるのだろうか。