暗殺教室─私の進む道─   作:0波音0

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××の時間

このホテルに潜入している全員で挑んだコンサートホールでの一戦を終えて、銃使いの殺し屋さんをこれまでの殺し屋さんたちと同じようにガムテープでぐるぐる巻きにした後。銃使いの殺し屋さんが姿を見せたステージ奥にあった非常階段を上ると、やっと9階……目的地まで、あと少しとなった。階段を上った先を進み10階への階段の正面に立っている見張りが見えたところで、烏間先生は磯貝くんから離れて私たちを待機させた。そして静かに近づくと……

 

「ふうぅ〜……だいぶ体が動くようになってきた。まだ力半分ってところだがな」

 

「力半分で既に俺らの倍強ぇ……」

 

「あの人1人で侵入(はい)った方が良かったんじゃ」

 

背後からその見張りを襲って首を絞め、一瞬で男を気絶させた。烏間先生は悔しそうにしながらその流れで通路の先を確認しはじめたけど……木村くんの言った通り今の状態で、すでに私たちが勝てる気がしません。宣言通りホントに30分で動けるまでに回復してしまった烏間先生は、やっぱり人外なんじゃないかって気がしてくる。

 

『皆さん、最上階部屋のパソコンカメラに侵入しました。上の様子が観察できます』

 

律ちゃんのその声に、様子を伺う烏間先生以外のみんなが自分のスマホに目を落とす。そこに映っていたのは、いくつもの画面を見ている1人の男……この人が、すべての黒幕。何が映っているか、それに男の顔はハッキリわからないけど、画面を見ながらニタニタ笑っているのは雰囲気で伝わってくる。

 

「……皆さん、あのボスについてわかってきた事があります」

 

殺せんせーの考えでは、黒幕は殺し屋ではないということだった。殺し屋はその名の通り『殺す力をもった人がその力を生かして殺しをする』職業……だけど、今まであってきた3人の殺し屋たちは全員、見張りや防衛という殺しの能力とは関係の無い役割をもって現れた。彼らの能力がフルに使われていたら……最初の毒使いの殺し屋に烏間先生は、素手の殺し屋にカルマは、銃使いの殺し屋に私たちは殺されていただろう。

もし黒幕が殺し屋だとしたら、彼らの最大限の能力を活かせるように配置、利用するはずだ……効果的な使い方を知っていて計画を立てているはずだから。なのにそれをしなかった……できなかったのは、黒幕が知らないから。ただ、普通の人よりも能力が特化した人、という認識なんだろう。

 

「時間が無い、黒幕は我々がエレベーターで来ると思っているはずだが、交渉期限まで動きがなければ……さすがに警戒を強めるだろう。個々に役割を指示していく、まずは……」

 

倒した見張りの懐を探っていた烏間先生が何かを見つけて立ち上がると、最後の突入に向けて1人1人に指示を出していく。機動力のあるものには黒幕を取り押さえることに専念するための指示を、遠距離もしくはそれぞれ手持ちの武器があるものは援護にはいり、そして、退路を塞ぐ……私は犯人の欲のために要求されてる身でもあるから、途中で人質とかになっても困るということで、もう1人の要求である渚くんと他の役割につかなかったメンバーと一緒に、1番後ろで黒幕の逃げ道をなくすことになった。

全員がそれぞれの役割を把握して前に進もうと、誰も私を見ていないすきを見計らって……私は小さく詠唱する。

 

『ッ!?アミサさん……!』

 

さすがにスマホから全部見てる律ちゃんは1番に気づいたみたいだけど、もう詠唱は終わってる。止めようと声を上げたんだろうね……彼女の声でこちらを振り向いたみんなに、このホテルへ来る前にも使ったアーツを発動させた。

 

「……«レキュリア»(状態異常回復魔法)……先生、ここにいる()()、症状が出てないとはいえ感染はしてるんだよ……黒幕を倒す前に、動けなくなったら困るでしょ……?」

 

「……あぁ、助かる」

 

「最後の仕上げだ、気合い入れるぞ!」

 

「アミサちゃん、ありがとね!」

 

「……俺は奇襲班だから先に行くよ。アミーシャも早くおいで」

 

完治できなくても発症を遅らせることはできる。……寺坂くんのように発症していても、他の待機組に効果があったみたいにきっと、症状を抑えてくれると思うから。指示を仰がずにいきなり使ったことをそう説明すれば、みんな納得したように笑って気合を入れ直していた。

緑色の光の雫が体に溶け込んだことを確認して、烏間先生を先頭に階段を上がりはじめる。全員に気合を入れようと小さく掛け声をかけた磯貝くんが、殺せんせーを抱えながらお礼を言ってくれた渚くんが、前に出ることになってるカルマが、階段の向こうへ姿を消したのを見てから私も続こうとして……ぐらりと視界が揺らいだ。立っていられなくなって思わず壁にもたれかかる。

 

『アミサさん……!』

 

「……よかった、なんとか、足りた……律ちゃん、へーきだよ。戦術導力器(オーブメント)魔法(アーツ)を放つためだけの機械じゃない……持ってるだけで、セットしたクオーツの種類によって体力、力、精神力……様々な身体能力が向上する……それで、十分」

 

『で、ですが……もう限界ですよね?以前リーシャさんにお聞きしましたが、こちらに回復薬は……』

 

「……こんな事態、考えてなかったから持ってきてない。でも……律ちゃんは知ってるでしょ、これは体調不良じゃなくて私の適性の問題。……アーツは精神力を使うから、ちょっと疲れちゃっただけ……それだけに、決まってる」

 

蓋を開いたエニグマに目を落とす……私の戦術導力器(オーブメント)は幻の縛りがあるとはいえラインがひとつながりだから、かなりアーツの適性があるといえる。なのに、私にはそれを活かせない……ううん、ひとつながりのオーブメントでは普通はありえない問題を抱えている。だからそれのせいで疲れただけ、そう思いたかった……でも、今はそれだけじゃない気もしていて、怖かった。

 

──力を入れて握りしめたはずのエニグマを落としたこと……今思えばあの時から手足に軽くしびれがあるのかもしれない。

 

──カルマに手を握られても力が入った感覚がよく分からなかったこと、《魔眼》を使ったあとに、これまで毎回あった痛みや熱さをあまり感じなかったこと……感覚に、鈍感になっている……?

 

──今さっき、ぐらりと揺らいだ視界……めまいが起きた。

 

これを全部、疲れたから、慣れたからでまとめていいのかが分からなかった。初期症状に個人差があるって言ってたし、これが私の感染したウイルスの症状なのかな……?だけど私は全く熱が出ていない、他の発症したみんな等しく発熱してるのに、だ。じゃあ違うものが原因……?なら、なんで、どうして、

 

「……行こう、これが終わったらみんなが助かるんだから」

 

『……そう、ですね。行きましょう!』

 

……いろいろ考えても仕方が無い、わかる問題でもないんだから。幸い、治ってはないけどめまいも手足のしびれも軽くなったから、普通に歩くくらいなんともない。寺坂くんだってあの体調でついてきてて、やり遂げようと必死なんだ。私だって、負けてられない。律ちゃんと2人きりになった廊下を音もなく駆けてみんなを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

烏間先生がカードキーを通して最上階……目的の部屋を解錠する。さっき見張りの服から何か見つけていたとは思ってたけど、これだったんだ。ゆっくりと静かに開かれた扉の向こうには、黒幕1人が使うには、だだっ広い空間が広がっていた。でも遮蔽物が多くあるから気配さえ消してしまえば、隠れる場所はたくさんあるし近づけるはず。

烏間先生の合図を見て、順番に、音を極力立てずに侵入する……体育の授業で習った〝ナンバ〟だ。烏間先生と磯貝くんが中心になって、ハンドサインを使って全員の配置を決める。

 

奥まで進むと、さっき律ちゃんのカメラ映像で見た通りの男が1人、そしてその足元にはスーツケースが置かれていた……あれが多分、ウイルスの治療薬だ。ケースには何か小さな機械のようなものが取り付けられていて、コードが伸びている。事前の打ち合わせで爆発物の可能性は話されていたから今更驚く必要は無い、むしろ想定通りだと考えなくちゃ。

1番いいのはこのまま気づかれずに取り押さえること……もし遠い距離で気づかれたら烏間先生が発砲してひるんだところを私たちで拘束する、そんな段取りだ。ゆっくり、ゆっくりと近づきながら、私たちは烏間先生からの合図を待つ。私たちの入ってきた道以外には部屋の奥へ行く通路しかないことを確認する。一斉に飛び出す構えをとる。銃を、スタンガンを向ける。

 

「(今だ……!!)」

「かゆい」

 

私たちの空気が凍った。

気づかれた……?それとも、黒幕の独り言なのか……

 

「思い出すとかゆくなる。でも、そのせいかな……いつも傷口が空気に触れるから……感覚が鋭敏にっているんだ」

 

黒幕の男は、後ろを向いたまま大量のリモコンを私たちに向けてバラまいた。どれか、じゃない。これ全部が、治療薬の入ったスーツケースに取り付けられた爆弾の起爆スイッチ……きっとどれを押しても、間違って押しても爆発する。

 

「言ったろう?もともとマッハ20の怪物を殺す準備で来てるんだ。リモコンだって超スピードで奪われないよう予備も作る……それこそ、うっかり俺が倒れ込んでも押す位のな」

 

……聞き覚えのある声だった。

 

思えば烏間先生に電話が来た時から、どこかひっかかるところがあった……『なぜ姉との関係を知ってるのか』って。個人情報……戸籍や家族関係、その家族がどう呼ばれているかという、学校に提出されたもの以上まで調べてきたから。でもこれは殺し屋さんが生徒を人質にとろうとした、とかを計画していたならまだ納得できることだったから、あの時は深く考えずに飲み込んだ。

だけどまたひっかかりが出てきた……毒使いの殺し屋さんがボロを出した、『E組にアーツ使いがいる』ことを黒幕が知ってるってこと。私がこっちに来てからアーツを使ったのはこの沖縄での暗殺計画を除くならたったの2回だけ……なのに、知っていた。

 

「……連絡がつかなくなったのは──3人の殺し屋の他に()()にもいる。防衛省の機密費──暗殺に使うはずの金をごっそり抜いて……俺の同僚が姿を消した」

 

前よりずっと邪気を孕んでいて、冷たくて、狂ったような声。でも、電話を通さない声を聞いて、全部つながった。答えは自分で言ってたのに、なんで気づかなかったんだろう。たった1人だけ……当てはまる人がいるじゃないか。

 

「……どういうつもりだ、鷹岡ァ!!」

 

烏間先生の代わりの体育教師として私たちの元へ現れ……自分の仕掛けた賭けに負けて学校から去った、鷹岡先生が、そこにいた。

 

「悪い子達だなァ……恩師に会うのに裏口から来る。父ちゃんはそんな子に育てたつもりはないぞォ?」

 

鷹岡先生は、ニタリと狂気と憎悪を含んだ顔でグシャリと笑う。ドス黒い何か気持ちの悪い感情をのせた声で、また、父親面をして話しかけてくる。傷だらけの顔……そこに残っているのは先生自身の爪の跡……何度も何度も引っ掻いてできた傷の上に、新たに傷が増えていく。

 

「屋上へ行こうか……愛する生徒達に歓迎の用意がしてある。……ついて来てくれるよなァ?お前らのクラスは……俺の慈悲で生かされているんだから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かなり強い風が吹いている。広い屋上にあるのは常設されたヘリポートと、そこへ向かうためにある1つの梯子だけ……そんな場所で、私たちと鷹岡先生は対峙していた。

 

「盗んだ金で殺し屋を雇い、生徒達をウイルスで脅すこの凶行……血迷ったか!」

 

「おいおい、俺は至極まともだぜェ?これは地球が救える計画なんだ。おとなしくそこのちっこいの2人に賞金首を持ってこさせりゃ……俺の暗殺計画はスムーズに仕上ったのになァ」

 

そう言いながら鷹岡先生が見ているのは渚くんと……え、私じゃない?……渚くんの隣にいたカエデちゃんだった。そのまま楽しそうに笑いながら話し出した計画は、人としてありえないようなものだった。

対先生弾が大量に入ったバスタブに『背の低い女子』として呼んだ生徒を殺せんせーを抱いた状態で入れ、上からセメントで生き埋めに……殺せんせーが対先生弾に触れずに完全防御形態から元の姿に戻るには、周りのエネルギー体を爆発させるしかない、でも一緒に入っている生徒を守るためにはそんなことは出来るはずがない……したがって、何も出来ずに溶かされるだろう……そんな、悪魔のような計画。

 

「許されると思いますか?そんな真似が……」

 

「これでも人道的な方さ……お前らが俺にした……非人道的な仕打ちに比べりゃな」

 

悪魔のような暗殺計画を聞かされ、私たちのことを大切にしてくれている殺せんせーは……イトナくんの触手を見た時と同じように、真っ黒な顔色で静かに鷹岡先生へ声をかけた……ものすごく、怒ってる顔だ。対して鷹岡先生はといえば、私たちに比べれば人道的だという。中学生に負けて任務に失敗したという汚点、それによって周りからの評価は下がり屈辱の目線を向けられ、騙し討ちのように突きつけられたナイフ……それが頭から離れないからって。

 

「計画では……あー、茅野っていったっけ?そいつを使う予定だったんだがなァ」

 

「……どういうこと?アンタが指名した『クラスで一番背の低い男女』は渚君とアミーシャ……もう1つの要求だって該当するのはアミーシャだよ。茅野ちゃんは関係ないじゃん」

 

「まさか真尾が背の低い女子で該当するとは思わなかったからなァ……だからと言って名指しすれば学校に、お前らE組に出入りした奴だとバレる危険性が上がっただろう?」

 

カルマが聞き返したことでハッキリした。もともと鷹岡先生が要求していたのは背の低い男女として渚くんとカエデちゃん、月の姫の縁者として私……この3人だったんだ。……じゃあ、カエデちゃんはあの計画で使うから呼んだのだとして、私と渚くんは……?一体、なんのために……

 

「落とした評価は結果で返す。受けた屈辱は……それ以上の屈辱で返す!特に潮田渚、真尾有美紗!お前ら2人は最後まで悪い子だったなァ……俺の未来を汚したお前らは絶対に許さん!」

 

自分で決めたルールなのに自分で負けた賭け……負けた原因は騙し討ちのようにナイフを当てた渚くんだって言い張るそれは、完璧な逆恨みだった。多分、私が呼ばれた理由は同じようなこと……賭け以前鷹岡先生に反抗し、先生曰く教育的な罰を受けていないから。そして罰を受けた生徒を治療したから。

 

「へー、つまり渚君とアミーシャはあんたの恨み晴らすために呼ばれたわけ。その体格差で勝って本トに嬉しい?俺ならもーちょっと楽しませてやれるけど?」

 

「イカレやがって……テメーが作ったルールの中で渚に負けただけだろーが。それに真尾だって……こいつなりの正義で反抗しただけだ。言っとくけどな、全員同意見だ……あの時テメーが勝ってよーが負けてよーが、俺等テメーのこと大ッ嫌いだからよ!」

 

「ジャリ共の意見なんて聞いてねェ!!俺の指先でジャリが半分減るってこと忘れんな!!」

 

カルマが代わりに出ようとしてくれている。寺坂くんがみんなの言葉を代弁してくれている。だけど鷹岡先生は興奮しきっていて、その言葉たちを耳に入れることなんてなく、ただ怒鳴り散らすだけ……まともに会話になるはずがなかった。それに爆弾のスイッチを手にしているから、下手に刺激してボタンを押されても困る……それ以上の口出しはできなかった。

 

「チビ共、お前ら2人だけで登ってこい。この上のヘリポートまで……父ちゃんと補修をしようじゃないか」

 

私たちが黙ったのを見て、ウイルスの治療薬が入ったスーツケースをつかみ、鷹岡先生は上へと上がっていく。……なんとなくやらせようとしていることは見えている……受けた屈辱はそれ以上の屈辱で返す……その言葉から。

 

「渚、アミサちゃん。ダメ、行ったら……」

 

「………行きたくないけど、行くよ。あれだけ興奮してるんだ……何するか分からない」

 

「……少しでも、治療薬を壊されないで済む方法があるなら……みんなが助かるなら、私はそっちを選ぶ」

 

渚くんはカエデちゃんに殺せんせーを渡してヘリポートを見上げる。そして私と目を合わせると、梯子へと歩き出した。私がそれに続こうとした時……

 

「…………離してよ、カルマ」

 

「ねぇ、アミーシャ……これだけ正直に答えて。何度も聞いてるけど……何か、隠してるよね」

 

「!」

 

前に進めなくなって、腕を掴まれていたことに気づいた。梯子を登る途中で振り返った渚くんが、登るスピードを落として時間を稼いでくれているのが見えた。上で鷹岡先生は、怒鳴り散らしてるけど……今はこっちをどうにかしなくちゃいけない。

振り向かないまま、前を向いたまま手を引き抜こうとしたのだけど、全く動かせなかった。軽く力を入れて引き抜こうとしても同じ……行くのを止められるのかな、なんて思っていたのに……今日何度も聞かれた質問をされて、思わず抵抗するのをやめてしまった。もう、既に疑問ですらない、確信した言い方だったから。

 

「……気のせいだって思おうとしたけど……やっぱりおかしいんだよ、いつもと違う。この潜入の間だってあれだけ隣にいたのにコンサートホールに入る時くらいから全然目を合わせようとしない、低すぎるこの低体温も、今だってかなり力を入れて握ってるはずなのに何も言わないのも、だから……」

 

「隠しごとなんて、」

 

この、たった1時間足らずの時間で、よく気づいたなって思うほどに並べられたカルマが感じた違和感たち……そして確信を持って私が隠しごとをしていると言ってきた。……ホントなら、言わなくちゃいけないんだろうね……だけど、私はどうしても臆病だから。だから、カルマの言葉を遮るように続けた。

 

「……隠しごとなんて……そんなの、出会った時からいっぱいしてるよ」

 

「……ッ!……ぁ……アミーシャ!」

 

振り返って、まっすぐ彼の目を見て、笑顔をむけて、告げる。今の問いに適さない、答えになってない答えにすり替えて返したけど、カルマは驚いて掴んでいた手を緩めた……その隙に手を引き抜いて私はヘリポートに向かって歩き出す。だって『私が多くの隠しごとをしている』っていうその肯定も、ある意味カルマがずっと聞きたがっていた答えだったから。

後ろから私を呼ぶ声が聞こえたけど、今度は振り返らなかった。振り返ってしまったら、せっかく笑顔に隠した恐怖と、言い表せない胸騒ぎと……さっきも感じた体の違和感、それらに気づかれてしまう気がしたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんで、あんな顔見せんのさ……隠せてないんだよ、……くそっ」

 

 

 

 

 

 

 

 




「渚……」
「真尾……」
「何か、できることないの……?ただ、見てるしかできないの……?」
「!わ、私何かないか探してくる。これだけ暗いし屋上だったら何か備品が置いてありそうだし!」
「暗いし俺もついてくよ」



「…………チッ」
「……カルマ君、君は隠し事の内容如何によっては引き止める気だったのではないですか?」
「……うん、そのつもりだった」
「ふむ……参考までに君の感じた一番の違和感は何ですか?」
「……感覚が、ないみたい。わざと爪を立てて握っても気付かない、《魔眼》の使用後の副作用を感じていない、何より……さっき、腕を掴んだ時、最初気付いてなかったんだよ。『前に進めなくなった』から、俺が掴んでるって気付いたみたいだった」
「…………感覚、ですか」


++++++++++++++++++++


黒幕の正体が判明。
次回、オリ主の隠し事を1つ公開します。今回の律との会話でわかった方もいるかもしれませんが……まだお口ミッフィーでよろしくお願いします。


短いですが、今回はここまで。次回、鷹岡戦です。




この沖縄リゾート編での服装イラストを『プロフィールの時間』にアップしました。文字だけではわかりにくかったと思いますが、こんな感じの服を着てました。
そして何気に断髪後の初イラスト……髪型とかはこんな感じです。



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