バカな筋肉と優等生   作:諦。

10 / 34
応募していただきましたクラスメイトの方々、とても楽しく書かせていただきました!Fクラスに負けず劣らず、濃いクラスになったとしみじみ思います…。


清涼祭編(第2巻)
第一問


桜が散り始め、新緑が芽吹き始めた頃。

アタシ達の通う文月学園では、年に一度の文化祭ーー別名『清涼祭』の準備が動き出していた。勿論それは、アタシ達Aクラスも例外ではなく。

 

「ーーそれじゃ、清涼祭の出し物を決めます。何か意見がある人は挙手!」

 

ざわざわと騒がしい教室内で声を張る。すると、すぐにちらほらと手が上がりだした。流石文化祭、張り切ってる人が多いのかしら。

 

「じゃあ森兵さん」

 

適当に目についたクラスメイト、森兵恵さんを指名すれば、彼女は意気揚々と立ち上がった。

 

「やっぱり文化祭といえばお化け屋敷でしょ!!暗がりの中、彼と二人きりで縮まる距離!!『こわ~い』なんて腕を掴めば『俺に捕まってろよ…』とか頭ぽんぽん撫でられてたりしちゃって…最高のラブロマンス!ビバお化け屋敷!!!フゥーー!!!!」

「夏目」

 

一人盛り上がる森兵さんを軽く流し、アタシの横で書記を務める夏目に声をかける。

しばらくパソコンをカチカチと操作すると、ディスプレイに『お化け屋敷 「ラブロマンス」』の文字が表示された。

…何書いてんのよこの馬鹿は。

 

「はい次、」

「はいはい、はーい!!」

「…樋野くーー「無視は良くないですよ木下さん!こっち向いて木下さーん!!!」…じゃあ岡田さん」

「はいっ!」

 

元気良く立ち上がったのは、栗色の髪を腰の辺りまで伸ばし、碧眼をキラキラと光らせる美少女もとい問題児(女版夏目)ーー岡田ミーナさんである。

 

「私が提案するのはズバリ、ウェディング喫茶ですよ!」

 

「「「…ウェディング喫茶…??」」」

 

って何かしら?お客さんの服をウェディングドレスとかタキシードに着替えさせるとか…??よくわからないわね…。

 

「?皆さん知らないんですか??ウェディング喫茶っていうのはウェディングドレスで接客する喫茶店なのです!ウェディングドレスを着るのは女子の夢ですよねっ、ねっ?」

「…………………やりたい」

「代表!?」

「…………………代表権限で決める、出し物はウェディング喫茶で決定…!」

「ダメよそんなの!!」

 

「…なぁ、一つ良いか」

 

アタシ達のそんなやりとりを遮るように声をかけたのは、黒に近い焦げ茶色の髪でやや童顔気味の男子生徒ーー横田弘君だ。

 

「何かしら」

「結婚は人生の墓場って言うだろ、女子はともかく男子には重いんじゃないか?」

「そんなことありません!女の子にとっては永遠の憧れなんですよ!?男性の方も微笑ましく見守ってくれるはずです!」

「…本音は?」

「文化祭のノリで既成事実を作りあげようかと」

「やっぱりかこの野郎…!!」

「いだっ!鳩尾にグーパンは酷いですよ弘さんっ!!」

 

チラリ、と代表に目を向ければ、代表もその気だったのか完璧岡田さん側だ。ーーと、なると。

 

「?どうした優子」

「…いや、アンタもどうせこれやりたいんでしょ?」

 

我関せず、の体で横田君と岡田さんの漫才(いつもの)を見ていた夏目に声をかける。

…わかってるわよ、どうせアタシにウェディングドレスを着ろって言うんでしょーー「いや、俺は反対だな」…え?

 

「どうしてですか夏目さん!貴方なら食い気味に賛成してくれると思っておりましたのに!」

「…………………惣司郎、なんで」

 

これは岡田さんと代表も予想外だったみたいで、夏目に詰め寄っている。

 

 

「人生で一番の晴れ姿をこんなお遊びで見たくないからな」

 

 

「「おぉ…………………」」

 

「ちょっやめてよこの空気凄い気持ち悪いでしょ!!!」

 

夏目の珍しい真剣な様子に湧くクラスメイト達。

だからアタシと夏目はそんなんじゃないっていうのに!!

 

「ああもう次!これで最後ね!!ーー樋野君!」

「おう」

 

最後と言われ悠々と立ち上がったのは、黒髪を肩の辺りまで伸ばし、少し鋭い目つきをした男子生徒ーー樋野篝(ひのかがり)君。

 

「定番中の定番だけど、メイド喫茶とかーー」

 

「Oh,Japaneseメイド喫茶!?ステキヨ、ワタシ是非やりたいネ!」

 

樋野君の提案に食い気味に賛成したのは、目の覚めるような明るい金髪のショートカットに、シンプルなカチューシャをつけた女生徒、ジェシーことジェシカ・ブラウン。

机から乗り出して樋野君をキラキラとした瞳で見つめていた。

 

「わかってくれるか、ジェシー!」

「モチのロンヨ!メイド喫茶はJapaneseが誇る名文化!こんなところで体験出来るなんてとてもウレシイネ!」

 

と、お互いの手を取り合う二人。

そうか、これがーー

 

「洗脳、か」

「オイコラ惣司郎…!!」

「…あの、樋野君…メイド服が好きなことはどうこう言わないから…クラスメイトをおかずにするのはやめた方が…」

「なんて誤解してんだよ!?別に俺は女子のメイド服が見たいからメイド喫茶を提案したんじゃなくて、「でも見たいんでしょ」……………それは否定しない」

 

 

「…一応案だから書いておいてくれる?」

「わかった」

 

夏目がカチカチと操作すると、ディスプレイには『メイド喫茶 「性欲の捌け口」』ーーってちょっと待った。

 

「流石にそのタイトルはやめなさい」

「む、ダメか」

「ダメに決まってるでしょ!?」

「そうよ、もっとこうーー「お帰りくださいませご主人様っ♡」「美少女メイドとお呼び!」とかーーって余計な口挟みしないの愛子と半田君(馬鹿二人)!!!」

 

教室の奥の方で、愛子と黒髪で女顔をした男子生徒ーー半田洋介君がニヤニヤとこちらを見ていた。

軽く殴ってやろうかと身を乗り出せば、二人の近くにいた茶髪のショートカットに凛々しい瞳をした女生徒、戦国有志さんが軽く拳骨で二人を殴る。

いつものことだけど、ナイスアシスタント!流石戦国さん!

 

「ふむ…こうか!」

 

Aクラスの数少ない良心に感動していると、夏目がそう言ってエンターキーを勢い良く押した。タァン!と力強い音と共に表示されたのは、「メイド喫茶 『ご主人様とお呼び!』」の文字。

…何か違う気がするけど、もういっか……。

 

 

「ハイ、じゃあこの三つの案から出し物を決めます!やりたいものに手を上げてください!」

 

 

ーーこうしてとった採決の結果、アタシ達のクラスはメイド喫茶をやることになった。




まだまだ出ていないクラスメイトの方々も沢山いるので、今後の話でどんどん出せるように頑張ります!
まだまだ応募受け付けしておりますので、是非よろしくお願い致します~!

‐追記‐

出演キャラクター【()内は作者様】
・岡田ミーナ(倶利伽羅峠3号様)
・横田弘(同上)
・樋野篝(kitto‐様)
・半田洋介(同上)
・戦国有志(同上)
・ジェシカ・ブラウン(ベトンベトン様)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。