剣狂い転生漫遊記   作:アキ山

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 お待たせしました、ニートリアINルルハワ最終話です。

 本来なら昨日に投稿するつもりだったのですが、加筆修正が予想以上だった為に時間がががが……。

 さて、ここからは本編と第五次を中心に書いていくぞー!

 余談ですが、少し前に話題に上げた真・女神転生のクローンゲーム。

 プレイして分かったのはオリジナルと違って精神系バステがバンバン成功するという事。

 つまり『マリンカリン』→『パーティメンバー魅了』→『同士討ち』→『死』

 や『シバブーもしくはドルミナー』→『メンツ金縛り・睡眠』→『死』

 なんて事故が頻発するのですよ、奥さん。

 ぶっちゃけ、オリジナルより難易度は高いので挑戦すると言う奇特な方はお覚悟を。


【ネタ】ニートリアのサバフェス旅行(4)

 ルルハワ諸島を赤く染めていた太陽も水平線の向こうに身を隠し、夜空を満たすのは一面の星の群れ。

 

 天体観測や恋人たちの逢瀬(おうせ)には最適なシチュエーションですが、生憎と私達の前に立つのは足元から触手を生やしたBBです。

 

 ハワイの神であるペレ、そして外なる邪神であるナイアルラトホテプを取り込んだと自称するBB。

 

「まずは小手調べ。この程度で死なないでくださいね」

 

 そう言うと彼女は魔力を凝り固めた血色の鎌を手に襲い掛かってきます。

 

 しかし、大物を気取る輩はどうして小手調べをしたがるのでしょうか?

 

 戦場は常に命がけなのですから、手心を加えて相手の力量を見るなんて無駄な事でしょうに。

 

 というワケで、私は初撃から全力全開で行きます。

 

「間合いが甘い! 全て遠い理想郷(アヴァロン)!!」

 

 BBとリツカの間に割り込んだ私は手にした聖剣の(さや)の真名を開放し鎌の一撃を弾き返し、同時に逆の手に持った聖剣の刀身は理力を収束した黄金の光を纏っています。

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

 ランスロットの縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)と同じく極光を集中させた聖剣を、無防備になったBBへと袈裟斬りに叩きつけ、間髪入れずに跳ね上げた刃で彼女を宙に打ち上げます。

 

「終わりです! 最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)!!」

 

 そしてチャージを完了した聖槍を相手の腹部に打ち込み、止めとばかりにゼロ距離で真名開放の全エネルギーを叩き込みました。

 

 『最果てにて輝ける槍』の放つ局地的な竜巻が天を衝き、BBの姿は遥か上空へと吹き飛んでいきます。

 

 十数年ぶりに封を解いた『アーサー三連殺』。

 

 その威力に他の面々は湧きたちますが、私は逆に警戒を強めました。

 

 何故なら先ほどの連撃を打ち込んだ際に感じた手ごたえは、まるで分厚く硬いゴムを打つように奇妙なものだったからです。

 

 そしてその予感は的中します。

 

 まるで黒い外套を羽のように広げて舞い降りて来るBB。

 

 その身体には先程の攻撃による傷痕は見受けられません。 

 

「いきなり宝具三連発とか、ヒドいことしますねぇ。でも、この程度ではこのBBちゃんは倒せません。私の魔力障壁はAランクの宝具の一撃を防ぎますし、この身は治癒能力も備えてますので多少のダメージはすぐに回復してしまうのでした~」

 

 おどけた態度を取りながらも、BBのこちらを見下す視線に変化はありません。

 

 自身の手札を暴露したのは絶対的な余裕からでしょう。

 

 その証拠にこちらの攻撃は殆ど通用せず、セイバーの『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』やガウェインの『転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)』の真名開放も、威力の大半を障壁に阻まれてロクなダメージを与えることが出来ません。

 

 対するむこうは鎌がモーニングスターに変化したり、影を使った足元からの攻撃に触手による拘束。

 

 挙句の果てには謎のビームと、その多種多様な攻撃の前にこちらは(しの)ぐので精一杯。

 

 最初はこの人数ならば邪神だろうと楽勝だなんて思っていましたが、どうやら見積が甘かったようです。

 

 余談ですが、隣で無駄にイケボでシャアの物マネをしつつ攻撃を次々と回避する『ボブい彗星』が非ッ常にウザかったのも付け加えておきます。

 

 劣勢に立たされた私達の切り札は『邪神ハンター』を自称していたXXなのですが、ここで予期せぬ事が発覚します。

 

 なんとこのXX、例のパワードスーツが無いと戦闘力が格段に低下するというではありませんか。

 

 『コンバットスーツの無い宇宙刑事』なんて『炭酸の抜けたコーラ』と同じようなモノなので理屈は分かりますが、それで納得できるかと言われれば別の話。

 

 盾を掲げるマシュの後ろに隠れて『陰キャが無理やりテンションをあげて見苦しい! そんなだから原作でBBルートが作られないんですよ!!』と意味不明なヤジを飛ばすその姿には、思わず力が抜けてしまう情けなさがありました。

 

 もっとも、その罵詈雑言もBBは聞き逃さなかったようで『ルートどころか相手もいないイロモノに言われたくありませんよ、この喪女がっ!!』というクリティカルカウンターで、言った本人は泣かされてましたけど。

 

 こんな風に随所にコメディ要素を挟んでいますが、私達に余裕がある訳ではありません。

 

 BB有利のワンサイドゲームで進む戦況の中、私達に犠牲者が出ないで済んでいるのは、むこうが宝具を切ってこないからです。

 

 冬木のサクラに瓜二つのBB、月世界の健康管理AIだったという彼女がどんな宝具を持っているのかは見当もつきません。

 

 しかし、ここまで圧倒的な力を持つ彼女の事です、宝具を開帳されてしまえば全滅の可能性もあるでしょう。

 

 絶対的優位を疑わないBBが舐めプしている内に突破口を見つけようとしていたところ、仲間が窮地に立たされてしまいました。

 

 嗜虐の笑みを浮かべながら手にした鎌を振りかぶるBB。

 

 邪神の視線の先にいるのはセイバーでした。

 

「まだ終わらん! キリツグからパチッたスキル、『スケープゴート』発動! 私の為に死ね、ボブ!!」

 

「図ったな、セイバー!?」

 

 ジオン軍服の襟首を掴んで強引に盾にしようとするセイバーと、見せ筋Dを使って必死に振りほどこうとするシャアもどき。

 

 というかボブよ、そのセリフは貴方のコスプレ元に嵌められた坊やのモノでしょう。

 

 眼前で展開する旧友たちの何とも醜いやり取りには頓着(とんちゃく)せず、血色の刃は獲物の首を刈り取らんと迫ります。

 

 それが抵抗虚しく引き摺り出されたボブを捉えようとしたその瞬間、突如としてBBが後方に吹き飛びました。

 

 現れた新たな気配に振り返ると、そこには弓を構えたアルケイデスと兄上の姿が。

 

「なんとか間に合ったみたいだぞ、アルケイデス殿」

 

「かなり際どいタイミングだったがな」

 

 全身泥と生傷だらけの二人は、私達の中に脱落者がいない事を確認すると安堵の息を吐きます。

 

「私の障壁に干渉せずにダメージを与えてくるなんて……!? 一体何をしたんですか!」 

 

 苦々しげに掃き捨てるBB。

 

 その左胸には大きな穴がパックリと口を開いていたのですが、それも治癒能力によって時間を巻き戻す様に塞がっていきます。

 

「ほー、随分とタフだな。心臓を一つ潰した程度ではくたばらんか」

 

「仮にも神を名乗る者、生き汚いのは当然だろう。とは言え、こちらの攻撃が通じぬワケではない。ならば、相手が息絶えるまで撃てばいいだけの事だ」

 

 そう呟いたアルケイデスは再び手にした剛弓に手槍の如き矢を(つが)え、重厚な(きし)みを響かせながら弦を引き絞ります。

 

「では行くぞ。射貫く───死翔の矢(ゲイボルグ)!!」

 

 言霊を紡ぎながら手を離すアルケイデス。

 

 矢が弦から弾かれた瞬間、先ほどの焼き増しのように左胸から鮮血を迸らせながら吹き飛んだBBは、宙を錐もみ回転して激しく地面に叩き付けられました。

 

 至近距離で見せられれば、私達も事態を把握せざるを得ません。

 

 無茶苦茶なアレンジがかかってますが、彼が使ったのは紛れもなく青ランサーことクー・フーリンの誇る『突き穿つ死棘の槍(ゲイボルグ)』と同じ技です。

 

 これには私達はもちろんのこと、カルデアや衛宮邸警備隊の面々も開いた口が塞がりません。

 

 というか、まさか弓で再現するとは思ってませんでした。

 

 手を離した瞬間に、アルケイデスの最大威力と速度が籠ったあの太っとい矢が心臓に直撃するとか、エゲツないにも程があるでしょう!

 

「覚えたての技をああも正確に()てるとは、流石はアルケイデス殿。これはこっちも負けてられんな」 

 

 あまりの事に硬直している面々を他所に地面を蹴った兄上は、BBが体勢を立て直すよりも早く懐に飛び込みます。

 

 その手にはホテルに預けていたはずの無銘の倭刀。

 

 よく見れば、鞘と鍔の間からはバチバチと紫電が漏れています。

 

「それじゃあ行こうか、吉野御流合戦礼法“迅雷”が崩し……電磁抜刀(レールガン)・“(まがつ)”!!」

 

 瞬間、雷鳴のような轟音と共に倭刀の鞘から閃光が迸り、BBは血煙と共に三度地面に叩きつけられました。

 

 えーと、なんですかアレ。

 

 私の目から見ても剣筋が全く見えなかったんですが……。

 

 というか、一撃振っただけで刀身が真っ赤に赤熱化するとか、どんな技を使ったんでしょうか?

 

「やれやれ……わかっていたけど、コイツはちょっとクセがあるな。電磁発勁必須なのもそうだけど、撃つ度にこうも刀身に負荷がかかるのは困る」

 

 『速度と威力は凄いんだけどなぁ……。マッハ7くらい出てるし』と刀を振って冷ましながら愚痴る兄上。

 

 電磁発勁? レールガン? 

 

 不穏な単語連発で嫌な予感しかしません。

 

「あの、アルケイデスさんが使ってるのはクー・フーリンさんの宝具ですよね!?」

 

「アルガさんって、何をしたの? 全く見えなかっただけど!?」

 

 私の疑問を代弁するように、泡を喰って問いかけるリツカとマシュ。

 

 そんな彼女たちの様子に、二人は不思議なモノを見るように首を傾げながら答えます。

 

「今日買った指南書の中に、この技を記したモノがあったのでな。神との闘いというので、早速覚えてみたのだ」

 

「鞘の中で刀身を電磁加速して放つ抜刀術。電気については裏技で何とかしてみた。術理を書いた指南書もあったし、この位なら読めばできるさ」

 

 ……できねーよ。

 

 本を読んだだけで技を覚えるとか、どこの『くにお』と『りき』ですか、アンタ達は。

 

「クッ……!? どうしてアイツらの攻撃が防げないの!? 因果逆転の呪いがあったとしても、そんなもの私に通じるはずないのに!!」

 

 不屈の闘志というべきか、超絶の魔技を三度受けても立ち上がるBB。

 

 荒い息と共に吐きだされた言葉に、アルケイデスはあっさりとタネを明かしました。

 

如何(いか)に抗呪や対魔力が高くても無意味だ。元の『突き穿つ死棘の槍(ゲイボルグ)』は魔槍の魔力を使って因果逆転の呪いを掛けるそうだが、私の技は違う。こちらは込めた魔力と得物の扱いによって、因果の逆転の効果のみを再現しているのだからな」

 

(ちな)みに、俺の場合はそっちの障壁を因果ごと断ち斬っただけな。ま、こっちも魔術でも呪いでもない純粋な技だから、(かわ)すには見切るしかないぞ」

 

 二人の言に一気に顔が蒼白になるBB。

 

 妙ですね。

 

 三つの神の権能を持つ彼女なら、相手が悪過ぎると言っても技を躱すくらいなら何とかなると思うのですが。

 

「BBって、自分の有利なフィールドでチート特盛で蹂躙するのが基本スタイルだから。こういう劣勢に慣れてないんじゃないかな」

 

「あいつは元々月の健康管理AIだからな、戦闘技術や経験なんて殆ど無いのさ。その辺のハンデはイカサマとムーンセルからの情報を解析することで事前に対処法を構築してたみたいだが、あの二人が使ってるのはまったくの新技。その手は通じないってワケだ」

 

「あれほどの武芸者を前にして、素人同然のBBに技を見切れと言うのは無茶が過ぎるというものです」

 

 リツカ、ロビンフット、牛若丸の説明に私はBBが詰んだ事を理解しました。

 

 彼等の情報が正しければ、彼女に兄上達の攻撃を抗する術はない。

 

 いくら強力な再生能力を有していようと、肉体が破損するという事はダメージがあるという事。

 

 ならば、何百・何千・何万と攻撃を浴びれば精神か肉体のどちらかに限界は訪れるのは想像に難くありません。

 

 そしてアルケイデスはどうだか知りませんが、兄上はその何百・何千・何万もの攻撃を放つのを苦としない人です。

 

 むしろ新技の習熟に丁度良いと、嬉々として振るってくるでしょう。

 

「たかが二人助っ人が増えたくらい───ッ!?」

 

 自分を奮い立たせながら攻撃を加えようとしたBBですが、鎌は兄上の剣で触手はアルケイデスの放った矢によって全て破壊されてしまいます。

 

 さすがはギリシャの大英雄。

 

 振り返る事無く曲射で背後の触手まで撃ち抜くあたり、彼の弓は本気で桁が外れていますね。

 

「さて、まだやるかい?」

 

「愚問だぞ、アルガ殿。神が人間に首を垂れることなどありえん。こやつの悪意が我等の家族に降りかかる前に始末するべきだ」

 

 余裕を見せる兄上と殺意増し増しのアルケイデス。

 

 眼前に立ちはだかる二人の男を睨みつけるBBの目からは、未だ怒りと戦意は消えていません。

 

「妙な手品を憶えたくらいで調子に乗らないで! 私にはまだ切り札があるんだからッ!!」

 

 そう言うとBBの影は一気に広がり、兄上とアルケイデスを地面ごと飲み込んでしまいました。

 

 そして、球状に変化した影は兄上達を飲み込んだまま徐々にその大きさを縮めていき、それに連動するように中の兄上達も人形程度のサイズの大きさへと変化します。

 

「フフ、フフフ……。もう逃げられませんよ」

 

 吊り上げた口元から笑みをこぼしながら、目の前に来た影の中に手を差し入れるBB。

 

「これが欲望の果て、肥大したエゴの末路……カースト───キャアッ!?」

 

 そうして中にいる縮小化した兄上達を地面ごと掬い上げたところで、彼女は悲鳴を上げました。

 

 反射的な動きで引き抜かれた手からは鮮血が飛び散り、次いで影球に幾つもの斬閃が奔ると陶器が割れるような甲高い音と共に兄上達が飛び出してきます。

 

 兄上の手にした倭刀の刃は血に濡れているところを見るに、どうやら二人を握り潰そうとしたところで反撃を受けたようですね。

 

「私の虚数空間を……どうやって………ッ!?」 

 

「我が一刀が(もたら)すは因果の破断。即ち、万物全てへの絶対不可避の破壊なりってな。こちとら妖精郷の壁もぶった切れるんだ、お前さんご自慢の虚数空間程度ワケないってことだ」

 

 あ~、言われてみればそうでした。

 

 ガウェイン達を取り戻す時だって、妖精郷の壁も英霊の座への壁も全部ぶった切ってましたね。

 

「化け物……ッ! 神の権能を得ても、世界そのものを破壊することなんてできないのに……」

 

「失礼な。こっちだって伊達に1500年研鑽を続けている訳じゃないんだ、一芸を極めれば世界と渡り合う事も不可能じゃない。そう思わないか?」

 

 いいえ、思いません。

 

 間違いなく、そんな真似ができるのは貴方だけです。

 

 周りの皆も同じ想いであろうツッコミをよそに、尻もちをついたままのBBの前にアルケイデスが歩を進めます。

 

「どうやら万策尽きたようだな。ならば覚悟を決めるがいい、邪神よ」

 

 弓を引き絞る大英雄の一切の容赦もない視線を、眼尻に涙を溜めながら睨みつけるBB。

 

 肌を斬るような静寂が沈黙が辺りを支配する中、不意に吹いた一陣の風が山肌を撫でると、BBとアルケイデスの間に上空から光が降り注ぎました。

 

 突然の事に天を見上げてみれば、光の源は先ほどまで姿を見せていなかった満月。

 

 差し込んだ月明りの帯は時間と共に細くなり、それが途絶えた後にはBBを庇う様に両手を広げた一人の女の子が立っています。

 

 両肩と襟を通る様に赤い帯の文様が成された白いドレスと、ウェーブが掛かった茶色の長い髪が特徴的な東洋系の少女。

 

「先…輩……?」

 

 あり得ないモノを見たように呆然と言葉を漏らすBBを後ろに、彼女は兄上達を真っすぐに見据えながらこう言い放ちました。

 

「サクラを、私の後輩をイジメてはいけない」

 

 予想外の言葉に顔を見合わせる兄上とアルケイデス。

 

 それを他所に少女は言葉を続けます。

 

「私は貴方達が武器を取った事情をよく知らない。おそらく、後ろのラスボス系後輩がヤンチャをしたのが原因だと思う。だけど、どうか武器を収めてくれないだろうか? サクラに迷惑を掛けられて(いきどお)る気持ちは分かる。無理にテンションを上げて自爆する後輩のことだから、ノリにまかせて上から目線で失礼な事を言ったのだろう」

 

「だっ……誰が無理にテンションを上げて自爆する、ですか!? 事あるごとに記憶を失う先輩に言われたくありませんっ!!」

 

 庇っているはずなのにボロクソな言いようの少女に、BBがさっきとは違う意味の涙目で反論します。

 

 赤の他人が言うのもなんですが、貴女の事をよく見ていると思いますよ。

  

「けれど、私にとってはサクラは大切な後輩だ。右も左もわからない私を必死に助けようとしてくれた、心優しい女の子なんだ。納得がいかなかったり気持ちが治まらないと言うのなら、その分は私がサクラの代わりに受ける。だから、この子は許してやってくれないか?」

 

 そこまで言うと、彼女は唇をぐっと(つぐ)んで私達を見据えました。

 

 恐怖の為か両足が小刻みに震えていましたが、それでも彼女はBBを庇う姿勢のまま動こうとしません。

 

 後ろでBBが触手を使って彼女を退けようとしていますが、傷つけないように威力を絞っている為か、少女の身体を囲う障壁をぺちぺちと叩くだけです。

 

「───其方の言い分は解った。だが、その女は邪神だ。我等を繰り返す時間の檻に閉じ込めたとの情報もある。そ奴の意図は解らぬが、我等の家族にその権能が牙を剥く可能性がある以上は捨て置くわけにはいかぬ」

 

「そうなのか、サクラ?」

 

 強硬な態度を崩そうとしないアルケイデスに、少女は背後のBBに水を向けます。

 

「ああもう! わかりました、私の負けです!!  一から十まで全て説明しますから、先輩に武器を向けないで!!」

 

 そんな二人のやり取りに観念したのか、BBはやけっぱちな様子ながらも全ての事を洗いざらいブチ撒けました。

 

 詳しい事は後述するとして、どうやらBBは邪神ではないようです。

 

 ルルハワ内での行動もその根幹は善意であった事も判明した為、兄上とアルケイデスは武器を収めました。

 

 二人に倣って我々も武装を解除すると、気が抜けたのかBBの先輩という少女はその場にヘタリ込んでしまいます。

 

「ありがとう、こちらの要求を聞き届けてくれて」

 

 ほほ笑みながらこちらに礼を言った彼女でしたが、すぐさまBBによって後ろを向かされてしまいます。

 

「何を考えているんですか!? 何も無かったからよかったようなものの、むこうがその気だったら先輩なんて跡形も残らないところだったんですよ!!」

 

「それは分かっている。でも、サクラがピンチだと知ったら居てもたってもいられなかったんだ」

 

「だいたい、どうしてムーンセルに解体されたはずの先輩が生きてるんですか!? ここは特異点だと言ってもムーンセルがある世界じゃないし、何より先輩がいるって分かってたら私も月から降りたりしなかったのに……」

 

「すまない。私もあの時に解体されたと思ったんだ。けれど、次に目を覚ましたら知らない内に月の新王にされてしまっててね。それで、今まで新しくなったセラフを管理する仕事をしていたんだ。あと、ここに来る云々については、王様権限を使わせてもらった」

 

 ドヤッと、得意満面に右手を掲げる少女。

 

 そこに嵌った指輪を見てBBは険しい表情を浮かべます。

 

「これはレガリア……。ムーンセルめ、あくまで先輩を利用し尽くす気なのね」

 

「しかし驚いたよ。仕事の合間にサクラを探していたら、地上にいたんだもの。南国でバカンスしてるのが見えたから、一緒に休みを取りたいと思って頑張って仕事を終わらせて来たのに、気が付けばこの騒ぎだ。正直言って胆が冷えた」

 

「そ……、それは悪かったと思ってます。むこうのセンパイにもお世話になった事だし、ここでループを体験させて悲劇的な未来を見ない様にしてあげようと……」

 

 バツが悪そうに顔を背けるBBに、少女は小さく息を付きます。

 

「……監禁願望は相変わらずか。まあ、サクラが善意でやったのは解ってる。でも、それは本人に全てを話して選択させるべきだと思う。でないとサクラの好意は伝わらないし、彼女だって閉じ込められたと勘違いしてしまう。私を月の裏に退避させた時もそうだったじゃないか」

 

「うぅ、ごめんなさい」

 

「謝るなら私じゃなくて彼等に、だ」

 

 そういって少女が私達の方を指差すと、立ち上がったBBはこちらを向き直って深々と頭を下げました。

 

「…………皆さん、すみませんでした。邪神の影響もあって色々としちゃったけど、悪気はなかったんです」

 

 言葉を発するまでの間を見るに、BB自身本意では無い様子。

 

 私達よりも付き合いが長いであろうリツカが唖然としているところからも、彼女が自分の非を認めるのは相当珍しい事が良く分かります。

 

 それでも謝罪したのは、彼女があの少女には逆らえないからでしょう。

 

 漏れ聞こえた彼女たちの会話も随分と親しい間柄のようですし、きっと私達には分からない深い事情があるに違いありません。

 

 ともかく、こうしてBBは謝罪をしてきましたけれど、私的には許すも何もありません。

 

 リツカ達はともかく私達は別段迷惑を掛けられたわけではありませんし、ルルハワのバカンスはしっかりと満喫させてもらいました。

 

 問題のループも根底にあるのは善意だし、解除が約束されたのなら問題は無いでしょう。

 

 『衛宮家警備隊』の面々はへたばってしまって動く事も出来ないようですし、ここは私が取り仕切ってしまっても問題は無いと見ました。

 

「許してもらえてよかった。ところでサクラ、良かったらこの島を案内してもらえないだろうか?」

 

「ルルハワをって、月に帰らなくていいんですか?」

 

 突然の少女の提案に、BBは目を瞬かせます。

 

「仕事は完全に終わらせてきたから数日なら問題ない。ただ、慌てて来たものだから王様なのにお供もいないし、現地の下調べもできてないんだ」

 

 『だから、美味しいお店とか名産品なんかを教えてくれると助かる』と続ける少女に、ほんの少しは調子を取り戻したBBが尊大な態度を見せる。

 

「……先輩は相変わらず肝心なところで抜けてますね。私がいないとダメなんですから」

 

「そうだな、私はサクラがいないとダメだ。だから、ここで遊び終わったら一緒に月に帰ろう」

 

「…………はい」

 

 少女に縋りついて涙を流すBBを見るに、今回の騒動も一件落着のようです。

 

 

 

 

 さて、この後はあまり語る事はありません。

 

 3日間延長されたバカンスの中、私たち家族はサバフェスでの疲れを癒しながらゆっくりと過ごしました。

 

 兄上は買って来た実用書を活かして魔猪の皮を(なめ)してモカシンを作ったり、溶岩石を加工してアクセサリーを制作したりとモノ作りに嵌った様子。

 

 母上は部屋に備え付けられていたキッチンでハワイ料理に挑戦。

 

 パンケーキはそこらの店に負けない味で、家族から絶賛されていました。

 

 姉上はどこからともなく持ってきたペレ由来の魔術素材を使って、耐火マントを作っていました。

 

 なんでも火気を感知するとマント自体が燃え上がり、炎の鎧として相手の炎熱攻撃を相殺する仕組みだとか。

 

 理論上はガラティーンの真名開放に耐えうると言ってましたが、本当なんでしょうか?

 

 術式を変えるだけで身に着けた相手を焼き殺す暗殺マントに変わる辺り、姉上の魔女っぷりは健在のようです。

 

 ガウェイン達はBBに歯が立たなかった事や兄上の『電磁抜刀』が衝撃的だったらしく、兄弟三人で修行に勤しんでいました。

 

 ぶっちゃけ、妖精郷に帰っても剣術の鍛錬は続くのですから、ここでやる必要は無いと思うのですが。

 

 まあ、そんな言葉で止めるようなら三人ともとっくの昔に剣を置いていますよね。

 

 ガレスは今回の事で本格的に執筆活動に目覚めたらしく、Web投稿する用の原稿に着手しました。

 

 題名は『剣を抜いたら王様にされたんだけど、どうすればいい?』

 

 ……これって明らかに私がモデルですよね。

 

 あの子に乞われるままに教えた当時の愚痴とか不平不満がそのまんま書かれてるんですけど。

 

 まあ、騎士王様は山ほどいると分かりましたし、これだけメタ発言やら汚い台詞が乱立するアーサー王物語なんて誰も実話だと思わないでしょう。

 

 あ、ガレス。

 

 初期のころに王様業務にブチ切れて家出した事は書かないでください。

 

 モードレッドはアルケイデス一家の子供達と朝から夕方まで遊び回ってました。

 

 荒事云々からは蚊帳の外だった子供達にしてみれば、この余暇は旅行が3日延びただけですからね。

 

 白い肌を小麦色にしての満面の笑顔。

 

 あの子がああして笑っているのなら、この旅行も成功ではないでしょうか。

 

 ギャラハッドはマシュやリツカ達と一緒に行動していたようです。

 

 曰く『マシュの事は妹みたいで目が離せない』だそうで、甘酸っぱい関係を期待していた姉上達は肩を落としていました。

 

 どうやら兄夫妻が孫の顔を見るのはまだ先のようです。

 

 XXはめでたく銀河警察を円満退社することができました。

 

 邪神を倒さねば退職できないのでは、ですって?

 

 もちろん倒しましたとも。

 

 ああ、勘違いしないでくださいね。

 

 BBは彼女の先輩である岸波白野とバカンスを楽しんだ後、一緒に月に帰りましたから。

 

 彼女を生かしたまま邪神を討伐したカラクリは、XXのツインミニアドを使ってBBの持つナイアルラトホテプの権能を封印したのです。

 

 もともと、問題とされた邪神反応はカルデアの天体観測器でBBがナイアルラトホテプと目が合った所為で、かの神の権能をコピーしてしまった事が原因です。

 

 ならば、その権能を封印してしまえば討伐したも同然。

 

 銀河警察には『現地女性に乗り移った邪神を倒し、その女性の命を救った』という風に報告しています。

 

 もう退職した場所ですし、全てを書いていないだけで嘘を報告したワケでもありません。

 

 後日ツッコまれるなんて事も無いでしょう。

 

 余談ですが、XXはウチでは『アリア』と呼ばれる事になりました。

 

 いつまでも『謎のヒロインXX』などと名乗るのはナンセンスですし、アルトリアでは私と被ります。

 

 そこで母上が挙げた名が『アル』もしくは『アリア』でした。

 

 どちらが良いかと問われて彼女が選んだのが『アリア』だったというワケです。

 

 社畜時代とサーヴァントユニバースのクセが抜けないために時に、ちょくちょく奇行に走る彼女ですがそれも今だけの話。

 

 私がしっかりと『ファーマー』として更生させていくので、問題はありませんとも。

 

 というワケで、アリア。

 

 まずはその物騒な槍を鍬に持ち替えなさい。

 

 最後に私ですが、このたび農地を一つ任される事になりました。

 

 これも十年の努力が実を結んだという事でしょう。

 

 未だニートライフには後ろ髪を引かれるものがありますが、責任のある立場になったからには未練は断ち斬らねばなりません。

 

 一国一城の主となった以上、種を啄む怪鳥や根っこを齧るワーム、さらには魔猪の群れに作物を根こそぎ食い荒らすニーズヘッグとの戦いが待っているのですから。

 

 というか、いい加減このブッサイクな土竜ヤロウを回収しに来なさい、北欧神話の神々よ!!

 

 ウチを襲うたび兄上に首かっ飛ばされてるのに、なんで生きてるんですか、コイツ!?

 

 エクスカリバーで斬れないくらいに硬いわ、無駄に生命力は強いわ、挙句の果てに口から波動砲ブッパするんですよ!? 

 

 放っておいたら一日で作物が全滅するし、害獣ってレベルじゃねーぞ!?

 

 今度来たらアリアから取り上げた槍を使って『アーサー三連殺・ツインミニアドバージョン』を叩き込んでくれるわ!

 

 というワケで人理やら何やらと難しい事案に関わらなくとも、私の戦いはまだまだ続くという事です。

 

 その辺については、また筆を執る事があれば書きたいと思います。




 オマケ『ニートリア・サーヴァント台詞集』

召喚 『あれ、サーヴァント契約ってまだ生きてたんですか? ……呼び出されたのなら仕方ありません。サーヴァント……セイバー、じゃない。ランサーも違うな。……ニート。ええ、ニートが一番妥当ですね。改めて、ニートのアルトリアです。働いたら負けだと思ってますので、引き籠れる部屋を用意してください』

レベルアップ 『なんかレベルがあがった。部屋でソシャゲしかしてないはずなのに……。え~と、ありがとうございます?』

霊基再臨1 『服は変わらないのか、ですか? 部屋でまったりするのに着替える必要なんてないでしょうに。まあ、ここは暖房が効いてるので、ジャージの下くらいは脱いでもいいと思いますけど』

霊基再臨2 『マスターさん。ニートを強くするより、他のやる気がある人を上げた方が効率的ですよ?』

霊基再臨3 『ふむ。ゲームも佳境ですし、テンションも上がってきました! ここは動きやすいようにジャージを脱ぐべきでしょう!! 見ていてください、Tシャツ短パン姿になったからには、私のコントローラー捌きは格段に上がりますよ!!』

霊基再臨4 『ヒキニートをここまで気に掛けるとは、マスターさんも物好きですねぇ。まあ、これだけ強くしてくれたんですから、お礼に宝具の一つも見せてあげてもいいでしょう。他のアルトリアが泣くと思いますけど、フォローの方はお願いしますね』

開始1 『戦闘とかメンドイんで、ちゃちゃっと終わらせますよ』

開始2 『命のやり取りですし怠けてはいられませんね。ソシャゲのイベントがあるので、手早く済ませましょう』

スキル1 『久々に使うんで、上手く動けばいいですけど……』

スキル1 『このスキルってこういう効果だったっけ?』

コマンドカード1 『りょーかい。作戦を自分で考えなくていいって、楽ですねぇ』

コマンドカード2 『はいはい。ちょっと人使いが荒いかも……』

コマンドカード3 『戦場ですし、真面目にいきますか』

宝具カード 『さて、私の奥の手を見せてあげましょう!』

アタック1 『よっ』

アタック2 『動きが荒いですよ』

アタック3 『久々だけど、憶えてるもんですねぇ』

エクストラアタック  『間合いに呼吸、すべてが甘いッ!』

宝具 『これぞ我が最強奥義! 全て遠い理想郷(アヴァロン)で防ぎッ! 約束された勝利の剣(エクスカリバー)で斬り伏せッ! そして最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)で消し飛ばすッッ!! その名をアーサー三連殺!!』

ダメージ1 『あいたっ!?』

ダメージ2 『顔面は無しでっ!?』

戦闘不能1 『あぁ……やっぱり鈍ってましたねぇ……』

戦闘不能2 『ニートにはこの辺が限界ですか……』

勝利1 『私を部屋から引きずり出したワリには、大した事なかったです』

勝利2 『マスター、契約通りポテチを部屋に持ってきてくださいね』

会話1 『私が言うのもなんですが、部屋で怠けてていいのですか? 私は適当に遊んでますので、クエストに行くなら気にしないでいいですよ』

会話2 『正直、闘いとかもういいかなって思ってるんですよ。でも実家で母上が脱ニートを期待してますし……。そういうワケなので、色々とお世話になります』

会話3 『どうしてニートになったか、ですか? うーん、ブリテン時代に働き過ぎた反動と言いますか……。私の所為で死んだ甥っ子達も帰って来たし、実家に戻った事もあって、緊張の糸が切れちゃったんですよねぇ。一番の原因は現代の娯楽が面白いという事ですが』

会話(アルトリア(剣)) 『ブリテン滅んだのにまだ王様やってるんですか、彼女。なんというか、物好きですねぇ。私なんて滅ぶ前に統治権を委託したっていうのに……』

会話(アルトリア・オルタ(剣)) 『あれはSSライター……ではありませんね。多分、ブリテン時代のブラックぶりにキレてしまったのでしょう。マスターさん、彼女はそっとしておきましょう』

会話(アルトリア・オルタ(槍)) 『おおぅ! やはり私も母上や姉上のようなメロン体形になれるのですね! つい最近、胸が育って来たからもしかしたらと思っていたのですよ!!』

会話(アルトリア(槍)) 『え、槍を使い過ぎたら洗脳される? そんな呪いのアイテムでしたっけ、これ。私はぜんぜん問題ないんですけど……』

会話(アルトリア(百合)) 『懐かしいですねぇ。私にもあんな穢れの無い時代がありました。まあ、そんなものは兄上にカリバーンごと斬り捨てられたんですけどね』

会話(ブーディカ) 『なんか物凄く優しくされたんですけど、あの人はヤバい。なんというか、絶対に人をダメにするタイプです。少なくとも、私はあの人と住んでいたらニートを止められない自信があります』

会話(ガウェイン) 『ウチの甥よりムキムキです。ウチのでさえブリテン時代にゴリラって言われてたのに、さらに筋肉を付けてどうするつもりなのでしょうか? あと、私は彼等の王ではないのですから、部屋から出そうとするのは止めてもらいたい』

会話(弓エミヤ) 『えーと、ボブに退化するまえのアーチャーがいますね。私達と賭けマージャンをしていなければ、彼だって今でも正義の味方をしていたのでしょうか……』

会話(モードレッド) 『あれが別世界のモードレッド……。あの姿を見たら姉上は兎も角、母上は泣きますね。実家に帰ったら姪っ子の教育方針に一言モノ申さねば……!』

好きなこと 『好きな物は家族です。ぶっちゃけ、世界がどうなろうと家族が無事なら問題ありません。逆に家族に塁を及ぼす相手なら、どんな手を使っても殲滅します。ええ、ニートを脱却してでも』

嫌いなこと 『そうですねぇ……。私の世界のランスロットとグィネヴィアは嫌いです。国に関してはどうでもいいのです、どうせ放っておいても滅んでましたし。ただ、甥っ子達を殺めた事に関しては許せません。グィネヴィアは私に咎があると言っていたようですが、それならばランスロットと共に堂々と私の首を獲りに来ればよかったのです。それを関係のないアグラヴェイン達を……と、すみません。変な愚痴を聞かせてしまいましたね』

絆1 『どうも。今はソシャゲのイベント中ですので、外出は出来ません。悪しからず』
 
絆2 『随分と足げく通うのですね。……ふむ。外には出ないが来客をもてなすのはニートの務め、それではマシュも呼んで一緒にドカポンをやりましょう』

絆3 『マスターさんもいきなり人類なんてモノを背負わされて大変でしょう。この部屋にいる間くらいは、重荷の事を忘れてまったりしてください。貴方はどこにでも居る一人の人間で、『人類最後のマスター』なんて存在じゃないんですから』

絆4 『ほかのアルトリアと違う、ですか? まあ、彼女達は王という存在で、私は人に戻ったからでしょうね。だから、私は自身を王とは思ってません。私はアーサー王という偶像ではなく、アルトリアという一人の娘ですから』

絆5 『まったく、マスターさんも粘り強い。そんなに構われたら情が移ってしまうじゃないですか。……仕方ありません。本気を出すのは20年先と定めていましたが、貴方の為に今だけ限定開放いたしましょう!』

イベント開催中 『おや、イベント期間中ですか。こういう時はレアモノがいつも以上に手に入るチャンスです。私の部屋に籠ってないで周回して来なさいな』

誕生日 『誕生日、おめでとうございます。大したことはできませんが、今日くらいは部屋でゆっくりしていってください』

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