いらない娘のいきつくところ   作:林屋まつり

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十三話

 

 というわけで、出かける前に私たちは執務室へ。

「どうぞっ、長門さんたちねっ」

「失礼する。秘書艦殿」

 執務室に入る。提督はいなくて、秘書艦殿と鹿島がいる。とんとん、と秘書艦殿は数枚の書類を叩いて揃える。

「しれーかんから聞いてるわ。

 はい、島の地図よ。それと前に渡したと思うけど改めて、こっちが基地内の地図ね。地下の、まあいろいろあるところも地図もあるわ。いい機会だし、気分転換の方法や娯楽も考えてみるといいわね。

 春風はお料理が好きなのよねっ、鹿島さんとかが集まってお菓子作りとかもしているし、今度参加してみるといいわ」

「はいっ、楽しみにしていますっ」

 春風は嬉しそうに応じる。瑞鳳も手をあげて「私もいい?」

「もちろん、歓迎するわ」

「ねえねえっ、それつまみ食いとかしていいっ?」

「そっちなのっ」

 勢い良く手を上げる時津風。瑞鳳は、ぺし、と彼女を叩く。

「だめよ」

「……うそ、んなばかな」

「そんなに残念か」

 がっくりと項垂れる時津風。

「それと、こっちが本命だけど、」

 ちょいちょい、と秘書艦殿は手招き。私たちは彼女の座る机の周囲に集まる。

 伊島の地図。そして、正確には、

「しれーかんが統括する伊島基地。規模、範囲としてはお隣の前島や棚子島も含まれるわ。

 けど、そっちに行ってはだめよ」

「そなの? 何かあるの?」

 時津風は首を傾げる。それは瑞鳳と春風も同じ。

 私と初月は朝に提督から少し話を聞いたから、そこに何があるのか、予想は出来る。

 雷は鹿島に視線を向ける。鹿島は、困ったように頷いて、

「ええ、私みたいな。……その、精神面に、ちょっと問題を抱えた娘たちがいるの、よ。

 戦うのを恐れる娘とか、海を怖がる娘、提督、という人種そのものに忌避感を抱く娘。……特定の艦娘に怯える、娘、とか。ね」

「あ、……そう、なん、だ」

 時津風の声が沈む。「業腹な事だけどね」と、秘書艦殿は軽く手を振って、

「そういう娘って、結構多いのよ。ほら、春風。提督の命令は極力聞くべき、なんて言ってたでしょ?

 春風には悪いけど、雷からしてみればとってもおばかさんな事だと思うわ」

「…………いえ、大切なのは教えていただいた通り、民と国を護る事です。

 何も考えず唯々諾々と命令に従うのは、確かに愚かな事だと思います」

「そうね。けど、真面目にそう考えている艦娘って結構いるのよ。

 そういう娘はね。真面目に理不尽な命令を聞いて、真面目に心が擦り減っていくの。で、そんな艦娘がまともに戦えるわけないでしょ?

 心が擦り減った艦娘は当然のように戦果を落とす。失敗ばっかり続ける艦娘を提督は切り捨てる。滅茶苦茶な命令ばっかりする提督が悪いっていえばそうだし、何も考えないで唯々諾々と従い続ける艦娘の自業自得っていえばそうかもしれないけど、事実としてそういう事はよくあるのよ。

 そこにいるのは、そういう、ちょっと辛い思いをしすぎた娘達ね。鹿島さんが言った通り艦娘に対して恐怖心を抱いている娘もいるから、誰でも簡単に会ってもらうわけにはいかないの。トラウマのフラッシュバックなんて事になったら大変だもの」

「そう、……だよね」

「捨てられる辛さくらいはわかってるつもり」

 沈鬱な表情で頷く時津風を、瑞鳳は後ろから抱きしめる。

「そういう事情なら、無理に行ったりはしないわ。捨てられるだけでもあんなに辛いのに、それ以上の事なんて、想像も、出来ないわ」

 抱きしめる腕に力がこもる。時津風は困ったように瑞鳳を見上げる。

 捨てられた、か。そういえば、山風もそんな事を言っていたな。

「ここの基地は、そのような方たちも、集まるのですね」

「というか、この基地にいるほとんどの艦娘はそれよ。

 捨てられた娘、居場所がなくなった娘ばっかりね。しれーかんが建造した艦娘は二人だけだもの」

「ふ、……た、り?」

「ええ、雷と古鷹さん。雷が最初で、そのあとに一人、拾って、その次に古鷹さんを建造して、それ以降、建造はしてないわ。

 あとは元の提督に捨てられた娘たちよ。しれーかん、……っていうか、中将ね。一部の中将さんは元帥さんに頼まれてよくそういう事をしているのよ。

 で、ある程度やっていけそうになったら、ここで頑張ったり、ほんとのほんとに復帰の見込みがなければ元帥さんが手を回して完全に艦隊とは離れた生活をしているわ。

 もっとも、だからって民と一緒に暮らす事なんて出来ないから、結構不便な生活で大変らしいけど、それはそれでいいのかもしれないわね」

「そんな事、……してたん、だ」

 信じられない、と瑞鳳。

「そういう事よ。……みんなも、それがどういう気持ちかわかると思うから、ね?」

「ああ、わかった」

 艦隊が解体され、僚艦と離れ離れになった失意。……そして、それ以前、守りたかった娘を守れず、目の前で沈めてしまった無力感。

 きっと、この基地にいる皆はそんな、辛いものを抱えているのだろう。

 秘書艦殿は、透明に微笑む。

「それでも、…………いえ、だからこそ、ね。だからこそ、見てもらった通りここにいるみんなは必死に生きてる。

 辛い過去よりも楽しい今を生きようと頑張ってる。民を護るなんてそんな理想に縋って、失意を振り払いながら必死で戦ってる。だから、同情はいらないわ。けど、そういうところ、だっていうのは知っておいてね」

 頷く。と、扉が開いた。

「おやあ、長門君たちかあ。……ふむう? お話しているみたいだなあ。

 ありがとうなあ。雷君、鹿島君」

 集まっている私たちを見て提督はのんびりと手を上げる。秘書艦殿は胸を張って「ええっ、ばっちりやっておいたわっ! しれーかんがお口を挟むことなんて何もないんだからっ!」

「そうかあ、…………私は、なぜここにいるんだろうなあ」

「しれーかんがここに存在する価値なんて何一つないわよっ!」

「私は、…………無価値なのかあ」

「そ、それはちょっと直接的すぎるような」

 いやな結論に達して天井を見る提督。

「しれーかんは、無価値じゃないわ」

 対して、秘書艦殿は重々しく口を開いた。びしっ! と、指を突き付けて、

「見苦しいおでぶさんなおっさんだもの、むしろマイナスよっ!」

「そこで追撃するのかっ?」

 炸裂する舌鋒に春風と初月が慄いている。提督は「ふむん?」と首を傾げて、

「それじゃあ、私はもうちょっと部屋を出てるよお。

 長門君たちも、ごめんなあ、呼んでおいてほとんどお話しなくてなあ」

 そそくさと部屋を出た。「しれー、お仕事忙しいの?」

 どこか急いた仕草に時津風は首を傾げる。鹿島は困ったような表情で、

「ええ、その、予備艦の秋津洲さんが、ちょっと不調を重ねちゃってね。

 実戦配備の自信を無くしちゃったから、どうすればいいかわからなくて相談に来たのよ。ちょっと前に」

「あ、そうなんだ」

「お忙しいところに来てしまいましたか?」

 春風が問いに鹿島は困ったように頷く。

「秋津洲さんも、結構思いつめちゃって、事前連絡に気が回らなかったみたいなの。

 本来ならよくない事だけど、だからって追い返すと、……その、秋津洲さんにも辛いから、代わりに私と秘書艦さんが引き受けるように頼まれたの」

「それなら仕方ありません。むしろ、秋津洲さんを優先していただける司令官様は、ありがたいお人ですね」

 同感だな。

 

 どこに行こうか、私たちの部屋で地図を広げてみる。

「こうして改めてみると広いよねー」

「そうだな。それに、伊島に加えて前島や棚子島もか。……まあ、こっちはちょっと特殊なところ、のようだけど」

「司令官様の配慮は適切と思います。

 わたくしも、……その、どうお声をかけていいかわかりませんし」

 春風は困ったように呟く。「そうだね」と、瑞鳳も頷いて、

「けど、避けてばっかりってわけにもいかないし、いずれ、行けるようになりたいね」

「朝、少し提督からその話を聞いた。

 まだ僕たちの事を信用していないから、らしい。ちゃんと信用されるようになれば、向こうに行く許可も出るかもしれない」

「そうだな」

 提督の事だ。不必要な言葉の選択ではなく、ちゃんと意味があっての言葉だろう。

 信用されていけば、いずれ多くの事が出来るようになる。それは、嬉しいな。

「朝?」

「ああ、たまたま早起きしたから長門さんと散策をしていたんだ。

 運動場で提督や、何人かの艦娘がいた」

「えーっ、なにそれーっ! あたしも誘ってよーっ!」

 時津風は不満そうだ。と言われてもな。

「そうですね。皆様とお話しできる機会があれば、わたくしも行ってみたかったです」

「…………わかった。わかった。明日、朝に声をかける」

 春風からも非難の視線を向けられて両手を上げた。

 もっとも、私もその気持ちはわかる。非難は、仕方ないか。

 ああ、そうだ。

「以前にも朝に散策をして、その時に話を聞いたのだがな。

 秘書次艦たちは0500からすでに仕事に取り掛かっているらしい。提督や秘書艦殿に至っては0400だ。無理に早起きをして生活のサイクルを乱し、結果として不調になったでは本末転倒だが。そうならないように少しずつ早起きを意識するのはいい事だと思う。

 周りにつられて余計な事をするな、とは提督から命令をされているが、意識するくらいなら問題はないだろう」

「あ、あたし早起き得意っ」

 ……なんとなく、そういうイメージあるな。

「それいいかも。みんなの朝ご飯作ったりとかっ」

「あら? それは散策と迷いますね」

 瑞鳳の提案に春風もくすくすと笑って頷く。もちろん、私はどちらもいいと思う。

「そうだな、間宮の負担もあるし、作ってくれるなら有り難い。

 二人で考えてみてくれるか? 出来る限り私も手伝おう」

「…………いや、長門さんは外で提督や他の艦娘から話を聞いた方がいいと思う。僕たちとの時間を大切にしてくれるのはありがたいけど、旗艦として、他の艦隊の艦娘と情報交換も必要だ。

 瑞鳳さん、春風、大変なら僕と、時津風が手伝おう」

 初月の提案。……まあ、それもそうだな。……………………いや、大切な事か。

 的を射ている初月の提案を少し残念と思ってしまったが、仕方ない。……いや、みんなと料理をするのも、楽しみだったのだが。

「あたしもっ?」

 で、料理が無理らしい時津風が変な声。初月は彼女の頭を軽く叩いて「これを機会に料理を覚えたらどうだ?」

「そんな、あたしが料理やるなんて、…………んなばかな」

「そんなに苦手なのか?」

 

 さて、あのまま話し込んでいては午前中などあっという間に過ぎてしまいそうだ。なので少し強引にだが話を区切り、まずは地下へ向かってみる。

「どんなのがあるかなー」

「か、カラオケとか、ちょっと興味あるわねっ」

 時津風と瑞鳳は楽しそうに先行する。

「長門さんは、どのようなところに興味ありますか?」

 不意に、春風が問いかけてくる。興味、か。

「そうだな。……訓練とは言わないが、体を動かすところがあれば有り難いな。スポーツとか」

「どちらかといえば運動場ですね。

 皆さん、チームを作ってスポーツをしていたら、参加をしてみるのもよろしいのでは?」

「ああ、そうだな」

 チームでスポーツか。…………これは胸が熱いな。

 地図にある通り階段を下りて地下へ。「そういえば、みんなは来たことはなかったのか?」

 確か、私よりも早くこの基地に着任していたはずだが。

「うん。……その、実は訓練が大変で、あまりそんな余裕はなかったんだ」

「わたくしもです。といっても、わたくしも、ここに来てまだ一週間と経っていませんが」

 二人は苦笑。そうか、訓練か。

 途中でストップがかかってしまったからよくわからないが。やはり大変なのだろうな。

「あたしも、っていうか知らなかった。

 なんでこんなすみーっこの方に階段あるんだろ、気付かないよ」

 時津風の言葉に皆が頷く。一階の、本当に隅っこ、意識して探さないと見つからないような場所にあった。

 不満そうな時津風に瑞鳳は軽く肩をすくめて、

「鹿島さん、継ぎ足したとか言ってたし、その弊害じゃない? 要望があったから付け足したけど場所がなかったから隅っこになっちゃったとか」

「そうかもしれないな」

 ともかく到着。「食堂?」

 下りると広い部屋には丸テーブルが並び、艦娘たちが思い思いの椅子に座り談笑している。

 食堂、……いや、ちょっと違うか?

「あら? 長門さん、と、僚艦の皆さまですわね」

 優雅に紅茶を飲んでいた熊野が視線を向ける。

「ああ、基地内の散策をしている。ついでに、秘書艦殿から何か趣味を見つけておけ、だそうだ」

「ここって、食堂?」

 瑞鳳の問いに熊野は辺りを見て、

「半分はそんな感じですわ。

 ほら、一階の食堂も広いけど、場合によっては百人近い艦娘が集まるわけですわよね。それで、入り切れないときもありますわ。

 一応、少し狭いのを我慢すれば入れるようなのですが、それよりはこっちで食事をとる人もいますのよ」

「ああ、それはそれでいいかもな」

「あとは、」熊野はとある一点に視線を投げかけて「お酒目当てですわね。今は閉まっていますけど、夕食後に鳳翔さんとか、お酒を出していますわよ」

「酒か」

 遅くなるつもりはないが。……いや、少し飲んでみようかな。

「千歳さんとか、凝り性な娘が集まって提督に飲んでもらう理想のカクテルを作るんだとか。いろいろ試してましたわねえ」

「提督もお酒飲むの?」

「土曜日の夜に、夕食後少し飲みに来ますわ。寝酒らしいですわね。

 ただ、酔うほどは飲みませんわよ。千歳さんや那智さんが勧めても巧く避けて帰ってしまうそうで、残念がっていましたわ」

「提督とお酒かあ。…………うーん、……うん?」

 なぜか首を捻る瑞鳳。熊野は楽しそうに笑って「一緒に飲みたいっていうよりは提督に気分転換してほしい、という事ですわね。あれでお仕事も大変なわけですし」

「ああ、そうだな」

 酒癖とか、想像もしたくないが、とはいえ激務をこなしているのは事実だろう。

「あと、」つい、と熊野は部屋の周囲を示して「扉、いくつかありますでしょう? カラオケルームとか、卓球台とか、家庭用のゲーム機を集めた部屋とか、なんとなく趣味で持ち込んだものを詰め込んだ部屋とかがありますわ。ここにあるものは自由に使っていい事になっていますし、趣味を見つけるにはいいかもしれませんわね」

「ここからいけるのですね」

「ええ、前に卓球で熱戦を繰り広げてここでぐったりしている娘たちがいましたわ。

 あとは、歌いすぎて酸欠気味でぐったりしている娘とか、……食堂というよりは休憩所みたいなところですわね」

 カラオケか。

「そういえば、大型テレビを持ち込んでアニメや映画の観賞会とかしていますわ。

 チャンネルの奪い合いに発展する事もありますわね。……まあ、それを楽しんでる娘もいますが」

「大型テレビ、そんなものまであるのかっ?」

 驚いた。が、熊野は苦笑。

「いえ、もともとは元帥さんのものらしいですわね。それに、元帥さんも貰い物と言っていましたわ。

 立場としては偉い人ですもの、そういう物ももらったりするみたいですわね。誰から、なんて不躾な事は聞きませんでしたが」

「え? 熊野って、元帥と知り合いなの?」

 時津風が目を見張る。それは確かに、驚くべき事だな。

「ええ、…………そうですわね。たまに、遊びに来ますわ。

 元帥さんと提督は友人でもありますのよ。前にいい歳したおっさんが部屋の隅っこで顔を突き合わせて女の子との接し方を真面目に議論していたとか、鳳翔さんがものすごい微妙な笑顔をしていましたわ」

「…………それは、出口あるの?」

 瑞鳳の問いに熊野はけらけら笑って「場の空気が微妙になるだけでしたわねっ。ほんと、仕方のない二人ですわっ、……と、まあ、そういう場所ですわ」

 ふと、熊野は壁に掛けられた時計に視線を向ける。

「待ち合わせか?」

「ええ、鹿島さんが、情報の整理方法について相談をしたいと。というわけで、これからわたくしたちはお勉強ですわ」

 用事があるのか、なら、長話も出来ないか。

「あの、熊野さん。元帥様の事。個人的にもご存じなのですか?」

 そういえば、……ふと、先の会話を思い出す。

 仕方のない二人、困ったような笑顔で熊野は元帥と提督を評した。熊野も艦娘、軍属だ。見覚えがある、という程度なら軍部の最上位に位置する元帥をそんな風に評する事はないだろう。

 春風の問いに熊野は頷き、

「ええ、そうですわよ。

 解体を命じられたわたくしは元帥さんに命を拾われた。いわば恩人ですのよ。ここを紹介してくれたことも含めて、とても、とても、感謝していますわ。もっともっ、提督とは違ってお仕事はからっきしなので、尊敬は、ぜんっ、ぜん、出来ませんけどねっ!」

 楽しそうに、笑った。

 

 熊野の言う通り、いろいろな部屋があった。カラオケルームでは球磨と多摩がくまくまにゃーにゃー歌だかわからない歌を歌って北上がタンバリンを適当に叩いて大井がゆらゆら死んだような目で揺れていた。木曽は動かなかった。

 卓球台では秋月と照月が真剣な表情で高速のラリーを続けていた。あまりにも真剣な様子に初月は引きながら話しかけたが、どうも、対空射撃には反射神経が重要らしい。卓球で訓練になるのかは不思議だが初月は「さすが姉さんだ」と、感心していたので、防空駆逐艦としては正しいのかもしれない。後日参加をする約束をして部屋を出る。

 大型テレビのある部屋ではアイドルの娘がヒロインらしいアニメをやっていた。那珂が真剣な表情で衣装の評論をしている。

「みんな楽しそうだねー」

 時津風が不意に口を開く。「そうだねー」と、瑞鳳も頷く。

 楽しそう、そうだな。みんな、楽しそうに遊んでいた。……だからこそ、秘書艦殿の言葉を強く意識する。

 捨てられた、居場所を失った娘達。熊野もそれは同じだった。解体を命じられた、と。言っていたのだから。

 ああ、だから。

「遊ぶことにも、戦う事にも真剣に向き合っているのだろうな。

 趣味は見つけられそうか?」

「あたしゲームやりたいっ!」

 ばっ、と手を上げる時津風。ああ、そうだな。ゲームに見入り、一緒にやろうと誘った娘に、あとで、と返していたな。

「卓球か、……反射神経。…………いや、確かにあの時の姉さんたちの動きは凄かった。

 うん、これはやるべきだな」

「卓球ってそういうスポーツじゃないと思うんだけど」

 で、真面目な表情で頷く初月。瑞鳳には同感だ。

「姉と遊ぶのはいい事だな」

 姉妹艦として交流を持つのはいい事だろう。……私も、陸奥と何か共有できそうな趣味を探してみるか。

 


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