現代日本のオタサーの姫が、古代ブリテンのお姫様になったら   作:蕎麦饂飩

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某オタサーの姫が可愛過ぎて、(見た目以外)可愛くないオタサーの姫を用意してみました。


世界で一番お姫様なわたし

わたしの名前はアムル。ブリテン王国のお姫様なのですっ。

因みに前世では底辺校のじょしだいせーやってました。

でもこっちのみんなには内緒だゾ☆

 

前世の名前はぁ織田姫子っていうの。

名前はどこかの武将の血を引いてそうだけど、実際は先祖は遡っても農民しか見当たらないみたい。

ざ~んねん(-_-;)

 

でも、わたしったらカワイイものだから、周りが勝手にお姫様扱いするのよね~。やーん姫子困っちゃう(棒読み)

えっ、わたしの地元ってやっぱりあの信長と関連ある地域なの?

すっご~い。○○クンってやっぱり物知り~~っ!!

――――ってキャラ作りをした結果、変なのに好かれて、それをフったら、

逆上した勘違いストーカーに殺されてしまいましたとさ。

まあそういうこと。

 

 

アレは私が本命のカレと帰っている時だった。

いつだったか覚えてないけど、

見た目は憶病そうなのに、少し優しくしたら、のめり込んでき過ぎたキモメンがいたので、

正面からしっかりと誤解を解いてきたら、それに逆上してきたわけ。

何時も以上にキモい喋り方で、私に悪い所がある様に文句言ってきたの。

私だってその醜悪な存在自体に文句言いたかったわ。

 

「あっ、ああ…よっよくも…。うっ、その…そう、そうだ。

他に男がいるなんて、きいてっ、ないぞぉ」

 

まあ、言った事も無かったし当たり前のことではあった。

 

「ひっ、ぼ、僕にはひどい事を言ったのに。

『アンタと付き合うくらいなら靴下を恋人にした方がマシよ』って、

ひどい、ひどいよぉおおおおお」

 

本命のカレの前で、変な事を言われては面倒だったので、

 

「えっ、そんなこと言ってないですよぉ?

わたしが言ったのはぁ、長靴を穿いたネコさんが恋人だって言っただけなのにぃ。」

 

そう誤魔化していたところで、キモいのがナイフを取り出して来たから、

カレに助けてもらいながら逃げようと思っていたら、私より先にカレ…ううん、あの最低男が逃げちゃった。

そして刺されて、ジ・エンド。

 

あ~あ、ホントに家柄も容姿も良い女の子たちと比べられたら勝てないからって、お姫様扱いされないからって、

オタクたちの集まりに自分から行って、興味も無いアニメの話に相槌を打って、苦行積んで人生詰んじゃうなんて、正直最悪ね。

あのキモい奴等なんて、セイバーがどうとか、ライダーがどうとかいつも過呼吸みたいに有害物質が詰まっていそうな臭い息吐いて、

苦痛でしょうがなかったのよね。

 

そんな奴に殺されるなんて最っ低。

視界が真っ暗になっていく。痛いし、顔にも傷が付いたし、服汚れるし、死んじゃうしマジで最低ね。

 

あー、お姫様扱いされたかったな。本物のお姫様に生まれていれば良かったのに。

本物のお姫様なら何もしなくても、キモいのだけじゃなくてイケメンたちからもチヤホヤされたのに。

 

人生うまくいかないな。

お姫様になれないなんて人生終ってた。お姫様にさえなれれば他はどうでも良かったのに。

もしくは、最初から希望も持たない位救いが無かったら、こうはならなかったのでしょうね。

まあ、どっちでもいいや。私の人生おーしまいっと。

 

 

 

 

 

――――そう思った時に、気が付いたら私は産まれていた。

ブリテン王アーサーの娘、つまりブリテンのお姫様として。

 

私はお姫様になれた。それは運を使い果たして走馬灯の中でお姫様になったのかと思った。

でも、これは現実だった。私は遂にお姫様に、本物のお姫様になったのだ。

 

 

私の母親は私を産んで直ぐに死んでしまったようだけど、まあ私がお姫様になれたから特に問題は無い。

どうせ、私を産むしか存在価値の無い、ブリテンの主役なお姫様の製造機だ。役目を果たした後は知った事じゃない。

何せ、父親のブリテン王アーサーが健在で私の事を認知しているのだから問題は無い。

 

その例の母親は、王の正妃では無かったようだけど、

王は正妃(現時点では正式婚約者)とは産んだ後継ぎがいない様だし問題は無いかな。今のところ。

第一、名前も知られてないような女に王を取られるくらいだしね。

 

今後の事は、いざとなったら…まあ、鬼灯的な薬味を手に入れればいいだけだから。

敢えて言わなくても言いたいことは伝わるでしょう。ねぇ?

不倫をでっち上げても良いかもね。その後に信じていた正妃に裏切られて、義憤に駆られた『わたし』をアピールすればいいだけだし。

 

 

正妃のギネヴィア、それともグィネビアだっけ、まあ一見冷たそうな美人だし、

裏切り者に仕立て上げるのは意外性とああやっぱり感が絶妙なバランスっぽいから、

まあ何とかなるでしょう。

 

 

私はそんな考えを表に出す事無く、生前の日本にはとても見かけないレベルのイケメンばかりの騎士たちを、

どうにか落とすため、男の理想的な『お姫様』として成長する様を演じてみる事にした。

 

取り敢えずイケメン全員私の物にしたいけど、今のところはマーリンっていう人と、ランスロットって人が今のところいい感じかな。

マーリンって人は私の事少し冷たい目で見てくるけど、まあ、イケメンだから許す。

それに宮廷魔術師って肩書が高給取りのインテリみたいで良いしね。

 

 

そして私は目的の為に、カワイイ『わたし』を演じながら、カワイイ『お姫様』として成長した。

世界は私をお姫様にして、わたしは世界のお姫様になるの。いいでしょう。ねぇ?




ふんわり度はマイナス80くらいでお送りしました。

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