今年もこの作品をよろしくお願いします。
今年から受験生のため、忙しくなり更新ができない時もあるかもしれません。
四年生の、春。
ホグワーツから離れて、程々に休暇を楽しんでいた頃リリーは風邪をひいてしまった。
「リリー、大丈夫?私はもうホグワーツに行かなきゃいけないの」
ホグワーツに行けば薬などいくらでもあるし、そこらへんの魔法使いに頼めばいいのかもしれないが、マグル生まれである以上、そうはいかない。
マグル生まれというだけで、睨まれる世の中だというのに。
「シャーロット、ごめんなさい。
今年は行けそうにない…。」
泣きそうな目でいうリリーに、申し訳ない気持ちもあったが、わかったといいリリーの家を出た。
「あっ、セブ…っ!」
一緒に行こう、と声をかけようとしたもののセブは他の魔法使いたちと笑っていた。
ここで声をかけるのは、楽しんでいるのを邪魔している気がするのでやめておく。
はぁ、とため息をつく。一人は寂しいものだ。
「や、やぁ、シャーロット!」
久しぶりに聞くその声に、懐かしささえ感じる。
「あら、ポッター。今日はリリーはいないの。ごめんなさい。」
意地悪に笑ってみせるとわかっているさ、とため息をつかれた。
風邪ときいたよ。と、寂しげにいうポッターにどうして知っているのか、と不思議に思う。
この男はどこまでリリーのことを知っているのか。
「今日はお前に聞きたいことあってさ。
って、そんなに嫌そうな顔するなって!」
久しぶりに見た、ここまで憎ったらしい顔!
三年前くらいにちょっといいこといったからって、調子乗って話しかけてきたのなら憎たらしい。
こいつの弟、レギュラスとかいう奴も相当な純血主義者らしい。
ここは関わらないのが得だ。私の本能がそう言っている。
「あ、ごめんね、ちょっとまって」
「ルーピン。」
彼は一年生のころより丸くなったらしい。
他の奴らが酷くなりすぎただけかもしれないが。
彼の話ならば少しは聞く気になる。
「ちょっと、質問したいんだ。いこうか」
え、と声を出す暇もなく彼らに手を引かれて列車の中に連れ込まれる。
フクロウが騒ぐのもお構い無しに。
「何?私、貴方達のこと大嫌いって、わかるわよね?」
怯えたようにおどおどするペティグリューに腹が立つ。
一年生のころ、こいつが嫌いだった。
シリウスやジェームズについていく、悪ガキもどき。
気持ち悪い。
「わかってるさ!リリーのことで、ききたいんだ」
珍しく真剣なポッターに笑ってしまう。
リリーのことなら、私は答えられない。
「リリーはどうして、僕らを避けるのか。
頭のいい人がいいのなら、僕らはそれなりにいい成績だ。
クィディッチなら、僕はエースだ。
面白い人がいいのなら、毎日楽しませてみせる。
どうして、スニベリー…いや!スネイプなんだ?」
「リリーが振り向くわけないでしょう。リリーは、あなたが嫌いなの」
「なら、好きにさせるさ。
もう一度、こちらをむいてくれないかな?」
それを私に言ってどうしろというのだろうか。
ブラックとルーピンは呆れていたが、かっこいいとペティグリューは目を輝かせていた。
ああ、気持ち悪い!
「知らないわよ」
私も、リリーも、こいつらを避けるのはセブをいじめるから?それとも、いたずら好きの卑しいヤツらだから?
わからなかった。
「なぁ、シャーロット」
寂しげな声でいってくるブラックに、驚いてはいけない。こいつは女を落とす手をわかっている悪魔に違いない!
最初からそう決めつけるのはよくないと、わかっているのだけれど、私は性格が悪いのか、そうしてしまう。
「もう一度、あのときみたいに、俺の悪口をいってくれないか?」
「悪口を言われたいだなんて変わっているのね。
相変わらず変な人」
呆れたように言ってみせると、はは、と小さく笑った。
「あ、あ、あの、あのさ」
ここにきてやっと発言をしたペティグリューに驚いてしまったが、平然を装う。
「確かに、僕らは嫌われることもあるしずる賢いし駄目かもしれないけど、いや、駄目なんだろうけど、だけど、確かにセブルスとかもいじめているけど、それでも、僕みたいな弱い奴を仲間に入れてくれたり悪い人たちじゃないんだ…!
だから、しゃ、しゃべってあげられないかな」
ビクビクと怯えながらいうペティグリューにそんなに怯えるなら言わなければいいのに、とも思う。
「わかった、だけどリリーがどうかは別よ」
リリーは弱いものいじめをするヤツらが嫌いだ。
セブが弱いという訳では無い。
自分の意見もいうが、グリフィンドールとスリザリンの対立はよくあることだ。
シリウス・ブラックがここ、グリフィンドールにきた理由がわからないが組み分け帽子は嘘をつかない。
彼はブラック家であるが、それ以上に1人の魔法使い。
彼がどんな魔法使いになるかは家柄がきめるものではないのだから。
「ほんとかい!?ありがとう!!
リリーと話したかったんだ、ずっと。」
「リリーに変なことしたら許さないから。
ストーカー紛いのことももうやめてね」
もちろん!と元気よくうなずくポッターに、この先どうなるのかを不安に思いながら微笑んで見せた。
「本当にありがとう、シャーロット。
リリーにもどうにか、言ってくれると嬉しい」
それはお断り、とブラックがこの台詞を言ったら言っていただろうが、相手は優等生のルーピンだ。
ええ、とやっと声を出して頷き、リリーの看病で寝れなかった分の睡眠をとることにした。