『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です


第88話

東を三振に抑えた後の成宮は、続く青道打者達にも見下ろしながらボールを投げていった。

 

「まったく、生意気な白髪の小僧やな…。」

 

ベンチに戻った東は、そんな成宮の投球を食い入る様に見ている。

 

「やけど、あの小僧の放るボールは本物や。今日の試合は1点勝負になりそうやな。」

 

成宮は東に続く青道の5番打者も三振に抑えると、マウンドの上で軽く舌を出していた。

 

「俺がフォーシームと思って振ったあのボールはなんや?カットボールか?」

 

東が首を捻りながら6番打者の結城と成宮の対戦を見ていると、成宮はチェンジアップで

結城を三振に抑えていた。

 

「それに加えてあのチェンジアップや。あれはアカン。ボールが来ないだけやない、

 エグ過ぎる程に落ちよるわ。」

 

東が頭をガシガシと掻いていると、結城がベンチに戻って来た。

 

「去年までの俺だったら間違いなく打てんかったな。バット振ってきて良かったで。」

 

東はそう言いながらグローブを手に取ると、3塁手の守備位置へと向かう。

 

「高校通算50本まで後8本やったな…。今日で7本以下にさせてもらうで、白髪の小僧。」

 

3塁手の守備位置についた東は、青道の誰よりも声を出していくのだった。

 

 

 

 

2回の裏も三者三振に成宮が抑えると、多くの者達が予想した通りに試合は投手戦となった。

 

3回の表までにパワプロは稲実打線から7三振を奪う好投を見せる。

 

対する成宮は8番バッターの御幸に連続三振を止められてしまったが、

パーフェクトは継続して8三振を奪っていた。

 

4回は双方共に三振を1つずつ奪って迎えた5回。

 

本日2度目となる4番バッターとの対決。

 

パワプロは原田をカーブで三振に抑えたが、成宮は東に甘く入ったカットボールを

三遊間に運ばれるヒットを打たれた。

 

だが、成宮は後続を抑えて追撃を許さない。

 

試合は進んでいき7回の裏。

 

3度目となる成宮と東との対決。

 

ワンボール、ツーストライクに追い込まれた東は、7球連続でファールを打つ粘りを見せた。

 

だが、7球目のファールとなったフォーシームとの緩急を活かしたチェンジアップに、

東のバットは空を切ってしまった。

 

パワプロと違い4回でノーヒットが終わった成宮だったが、ドラフト候補と噂される

東を抑える力投が球場に歓声を引き起こさせる。

 

東は悔しさのあまり、金属バットでヘルメットを被る自身の頭を叩いていた。

 

球場の雰囲気が稲実に流れて迎えた8回の表。

 

青道のマスクを被る御幸は、マウンドのパワプロの元へと向かったのだった。

 

 

 

 

「パワプロ、大丈夫か?」

「ん?まだまだ行けるぜ!成宮との投げ合いは楽しいからな!」

 

パワプロの言葉を御幸は素直に頼もしく思う。

 

そんなパワプロを信じて、御幸は勝負を掛ける事を決断した。

 

「パワプロ、この回はスライダーを使うぞ。」

「おぉ!?ようやくか!待ちくたびれたぜ!」

 

パワプロの笑顔を見た御幸は勝ちたい、パワプロを勝たせたいと強く思った。

 

「パワプロ、俺達で流れを引き寄せるぞ!」

「おう!」

 

御幸はミットをパワプロのグローブと合わせると、キャッチャーボックスに戻る。

 

(俺にあのスライダーが捕れるのか?)

 

もしパスボールをしたりすれば、青道の皆の緊張感が無くなってしまうかもしれない。

 

(捕れるかどうかじゃない…、捕るんだ!)

 

御幸は打席に入った原田を一瞥すると、球場内に響く歓声が

聞こえなくなるほど集中するのだった。




次の投稿は11:00の予定です

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