『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第69話

今日は春季大会の東京地区予選の、第3回戦だ。

 

いよいよ俺の高校野球デビューの日がやって来たぜ!

 

しかも、相手は成宮達がいる稲城実業なのだから、俺のモチベーションは

非常に高くなっている。

 

高くなっているのだが…稲実のベンチを見ても、成宮のあの特徴的な髪色が見当たらない…。

 

「どうした、葉輪?」

 

試合前の肩作りをしながら、稲実のベンチをチラチラと見ている俺に、

肩作りの相手をしてくれているクリスさんが声を掛けてきた。

 

「クリスさん、成宮達の姿が見当たらないなぁと思いまして。」

 

俺がそう言うと、クリスさんは苦笑いをした。

 

「葉輪、高校野球に限らずシニアとかでも、この時期の新入生は身体作りが基本だ」

「そうなんですか?」

 

俺はクリスさんの言葉に首を傾げながら返事をする。

 

「それと、春季大会前に片岡監督が言っていた様に、夏の大会前に、同地区の高校には

 あまり情報を与えたくないという事情もあるだろうな。」

「なるほど。」

 

つまり、成宮達は秘密兵器という事か。

 

カッコいいじゃないか!

 

「納得したなら、アップを続けるぞ。」

「はい!」

 

そう返事をした後、俺は球場の雰囲気を楽しみながらアップをしていくのだった。

 

 

 

 

「ほら!やっぱりパワプロは試合に出るじゃん!」

 

春季大会の東京地区予選の第3回戦となる、青道と稲実の試合が行われる球場のスタンド。

 

そこには、試合を見学する稲実の1年生達の姿があった。

 

そして今声を上げたのは、パワプロが稲実のベンチに目を向けて探していた成宮である。

 

「鳴の勘が当たったな。」

 

肩作りをしているパワプロを見ながら、成宮にそう返事をするのはカルロスだ。

 

「青道は打撃では有名だけど、投手はそうでもないからね。だから、パワプロに

 投げさせるんじゃない?まぁ、パワプロなら夏の大会前に、ある程度情報を取られても

 大丈夫とか思っているのかもしれないけどね。」

 

成宮達と並んで見学をしている白河が、言葉に少し皮肉を込めてそう言うと、

成宮が噛みつく様に声を上げた。

 

「俺だって情報を取られても大丈夫だし!」

 

そう言いながら成宮は、カルロスと白河に顔を向けるのだが、2人はパワプロの動きを

集中して見ているので、成宮が見ている事に気づかない。

 

そんな2人の様子に、成宮は面白く無さそうに鼻を鳴らすと、

自分もパワプロの観察を始めたのだった。

 

「先に高校野球デビューするのは譲ってやるよ。でも、甲子園には俺が行くからな!」

 

 

 

 

さぁ、いよいよ稲実との試合開始だ!

 

だけど、試合開始の挨拶に向かう前に、俺は片岡さんにある制限を言われるのだった。

 

「葉輪、この大会、カーブ以外の変化球を使うな。」

 

カーブ以外の変化球禁止?

 

「よくわからないけど、わかりました!」

 

俺が片岡さんに敬礼しながら返事をすると、片岡さんの後ろにいた太田部長が

オロオロとしている姿が目に入った。

 

太田部長はどうしたんだ?

 

トイレにでも行きたいのかな?

 

そんな事を考えながら首を傾げていると、ベンチでスコアブックを手にしている

貴子ちゃんと目が合う。

 

貴子ちゃんは両手をキュッとして俺を応援してくれた。

 

行ってくるぜ、貴子ちゃん!

 

俺は貴子ちゃんの応援にサムズアップで応える。

 

「葉輪!整列や!」

 

おっと、東さんが呼んでるから急ごう。

 

こうして、俺の高校野球デビュー戦が始まるのだった。

 

お願いします!




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