『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

68 / 291
本日投稿5話目です


第66話

春季大会が2日後に迫った日、先日のブルペン組みは、青道の一軍打線を相手に

シートバッティングをする事になった。

 

ちなみに、3年生の投手と捕手の方々はブルペンである。

 

青道の一軍打線は春季大会で結果を残して、夏の大会でレギュラーになろうと気合い十分だ。

 

そんな青道打線に最初に挑む事になったのは、丹波さんだ。

 

そして、丹波さんのボールを受けるのは、宮内さんである。

 

1年でありながら、倉持が一番バッターで登場する。

 

丹波さんは、カーブで倉持を打ち取ると、続いて二番バッターの小湊さんと対戦する。

 

小湊さんは8球程粘って四球で出塁した。

 

続く三番バッターで登場したのは、クリスさんだ。

 

丹波さんは、クリスさんにフォーシームをホームランにされてしまう。

 

少しの間、マウンドで呆然としていた丹波さんは、四番バッターの東さんが打席に入ると、

大きく息を吐きながら、帽子を被り直す。

 

打席に入った東さんは、去年会った時に比べて身体が引き締まっており、強打者としての

風格が漂って見える様だ。

 

丹波さんは東さんにフォークを投げたのだが、東さんはボールを膝元まで

呼び込んで、右方向に弾き返した。

 

東さんが打ったボールはグングン伸びていき、ホームランになった。

 

二者連続ホームランで3失点。

 

丹波さんはマウンドで、また大きく息を吐きながら帽子を被り直している。

 

5人目の打者として、結城さんが打席に入る。

 

丹波さんは、結城さんに左中間へのツーベースヒットを打たれた。

 

これで3連打だ。

 

だが、丹波さんの様子は、クリスさんにホームランを打たれた時に比べて、

落ち着いてきた様に見える。

 

その後の打者に、丹波さんは結城さんをホームに返されてしまったが、

1つずつアウトを重ねていった。

 

丹波さんのシートバッティングは、打者1巡で4失点の結果だった。

 

だが、マウンドを降りる時の丹波さんは、何かを掴んだのか、控えめに右手を握り締めていた。

 

丹波さんの次にマウンドに上がったのは、純さんだ。

 

純さんのボールを受けるのは、一也だ。

 

そして、クリスさんの代わりに、宮内さんが打線に入った。

 

純さんはフォーシームとツーシームを中心に、青道打線と勝負していく。

 

一番バッターの倉持が、ツーシームを三遊間に転がすと、内野安打で出塁した。

 

二番バッターの小湊さんが打席に入ると、バントの構えをして、純さんを揺さぶっていく。

 

純さんは、セットポジションから投球をするのだが、クイックは苦手と言っていた。

 

そんな純さんから、倉持は1球目で走る。

 

純さんのボールを受けた一也が、2塁に投げるが、倉持は余裕を持って2塁に滑り込んだ。

 

倉持の足、めっちゃ速い。

 

何あれ?カルロスと同じぐらい速いんじゃないか?

 

盗塁に成功した倉持を、小湊さんが3塁にバントで送る。

 

ワンアウト、3塁の場面ではあるが、純さんは落ち着いて三番バッターをツーシームで

内野ゴロに打ち取った。

 

だが、その内野ゴロの間に倉持はホームに帰ってきた。

 

倉持はほんとに足速いなぁ~。

 

その後、純さんは東さんにツーベースヒットを打たれたり、結城さんにヒットを

打たれたりしたが、青道打線の1巡を2失点で抑えた。

 

そんな純さんは「オラァ!」と威勢良く吠えながらマウンドを降りた。

 

さて、いよいよ俺の番だ。

 

キャッチャーは一也からクリスさんに代わり、宮内さんの代わりに一也が打線に入った。

 

一番バッターの倉持との対戦。

 

俺は倉持をカーブで空振り三振に打ち取ったのだが、クリスさんが珍しく、

ボールを後逸してしまった。

 

この後逸の間に、倉持は振り逃げで出塁した。

 

二番バッターの小湊さんが打席に入ると、クリスさんから牽制のサインが出る。

 

なので、1塁に牽制!

 

惜しい!

 

残念ながら牽制で倉持をアウトに出来なかったが、倉持のリードを縮める事には成功した。

 

それでも、走る気満々に見えるなぁ。

 

まぁ、いっか。

 

クリスさんのサインはフォーシーム。

 

俺は頷いて投げる。

 

倉持が走った!

 

小湊さんが、倉持の盗塁を助ける為に空振りをする。

 

クリスさんはボールを捕球すると、素早く2塁へ送球!

 

だけど、クリスさんの送球は上に逸れてしまい、センター前に行ってしまう。

 

うおっ!?

 

クリスさんが送球ミス!?

 

俺が驚いている間に、倉持は素早く3塁に進塁していた。

 

これで、いきなりノーアウト、3塁のピンチである。

 

だが、ピンチはヒーローになるチャンスだ!

 

俺は笑顔でマウンドに立つ。

 

外野フライでも1点の場面。

 

俺はクリスさんのサインに頷いて、ボールを投げ込んでいく。

 

そして、小湊さんを空振り三振に抑える。

 

続く三番バッターは、一也だ。

 

チャンスに強い一也との勝負…燃えるぜ!

 

俺はクリスさんのサインに頷いてフォーシームを投げる。

 

すると…。

 

キンッ!

 

金属バットの音が響き、打球はレフトへと飛んでいく。

 

定位置のレフトがボールを捕球すると、直ぐにボールをキャッチャーへ投げる。

 

倉持はタッチアップしてホームを目指す!

 

クロスプレーになるが、判定は…セーフ!

 

見事に一也に犠牲フライを打たれてしまった。

 

一也は倉持とハイタッチした後、俺にサムズアップしてきた。

 

へんっ!次は抑えてやるからな!

 

ツーアウト、ランナー無しの場面で迎えるのは、四番バッターの東さんだ。

 

クリスさんのサインに頷いて投げていき、2球でツーストライクに追い込んだ。

 

そして、クリスさんの要求に従って投げた3球目のチェンジアップは…。

 

カキンッ!

 

東さんにセンター方向へのホームランにされてしまった。

 

「どうや!これで去年の借りは返したで!」

 

東さんが悠々とベースを回りながら、俺を指差して吠える。

 

そんな東さんに、俺は舌を出して返事をした。

 

「可愛いげの無い奴や!少しはへこまんかい!」

 

だが断る。

 

その後、結城さんにツーベースヒットを打たれて、またピンチの場面になったが、

後続は抑えて2失点でマウンドを降りた。

 

俺自身の投球感覚は悪いものではなかったが、どうもクリスさんの動きが

ピリッとしていない様に感じて、少しモヤモヤとした気分が残ったのだった。

 

あ、ちなみにノリのシートバッティングの結果は、1失点だったぜ。

 

やるな、ノリ!




これで本日の投稿は終わりです

また来週お会いしましょう

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。