『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第64話

いよいよ、俺の投手能力テストの番がやって来た。

 

捕手は宮内さんからクリスさんに代わるみたいだ。

 

俺はクリスさんとキャッチボールをして肩慣らしをする。

 

クリスさんの返球の姿を見ているが、去年の学校見学の時の様な違和感はない。

 

うん、クリスさんの怪我はちゃんと治ったみたいだ。

 

「監督、葉輪の投球を見学してもいいですか?」

 

クリスさんとのキャッチボールで肩慣らしが終わった頃、そんな言葉が聞こえてきたので

振り向くと、丹波さんと純さんの姿があった。

 

「構わん。」

「ありがとうございます。」

 

どうやら、丹波さんと純さんが俺の投球を見るらしい。

 

俺の青道高校での練習初日に、ブルペンで一緒に練習した時に、俺の投球を

ある程度見ている筈なんだけどな。

 

まぁ、いいか。

 

俺は気にしない事にして、投手能力のテストを始める。

 

といっても、いつもの投げ込みと変わらないんだけどな。

 

「クリスさん、フォーシーム行きます!」

 

クリスさんが頷いて、ミットを右打者のアウトローの位置に構える。

 

ノーワインドアップで足を上げてから、ゆっくりと下ろしていく。

 

そして、前に滑るように踏み込む。

 

踏み込んだ足を、突っ張る様にして股関節を使う。

 

一連の動作の力をリリースで解放。

 

俺が投げたフォーシームは、狙い違わずにクリスさんのミットに納まった。

 

「ナイスボール!」

 

俺はクリスさんの返球を受けながら笑顔になる。

 

うん、いい感じだ。

 

成長させた球速の感覚に、だいぶ馴染めたな。

 

これなら、そろそろ3球種目の変化球を覚えても大丈夫そうだ。

 

そんな事を考えていると、クリスさんがミットを構える。

 

今度のコースは…さっきのコースのボール半分外か。

 

俺はクリスさんの要求するコースにフォーシームを投げ込む。

 

狙いはバッチリ!ボールはしっかりと、クリスさんの構えるミットに納まった。

 

その後も、クリスさんはインローやインハイ一杯に構えたり、ボール1つ分外したりと、

色々なコースを要求してきた。

 

俺はクリスさんが要求してくるコースに、フォーシームを投げ込んでいく。

 

そんな感じで10球程、フォーシームを投げ込むと、礼ちゃんから

そろそろ変化球をと言われた。

 

なので、今度はカーブを投げ込んでいく。

 

クリスさんが時折、わざとワンバウンドを要求してきたりする。

 

俺はその要求に応えて、カーブを投げ込んでいく。

 

なんか、丹波さんが食い入る様に見てきているな。

 

そして、カーブをある程度投げ込んでいくと、また礼ちゃんから違う変化球をと言われた。

 

なので、今度はチェンジアップを投げ込んでいく。

 

チェンジアップを投げ始めると、今度は純さんが食い入る様に見てきた。

 

丹波さんはカーブが持ち球だからわかるけど、純さんってチェンジアップ投げてたっけ?

 

そんな風に考えながらもチェンジアップを投げ込んでいくと、いつの間にか

テストが終わってしまった。

 

う~ん、もっと投げたい。

 

「葉輪、他に球種はあるか?」

「ありません。でも、覚えようと思っているのはありますね。」

 

片岡さんは1つ頷いて俺に話しの続きを促してきた。

 

「覚えようと思っているのはスライダーです。」

「そうか。」

 

片岡さんが俺の言葉に1つ頷く。

 

「投げ込み過ぎて肩を痛めない様に気をつけろ。」

「はい!」

 

こうして、今年の新入部員の能力テストは終わったのだった。

 

 

 

 

翌日、新入部員が集められると、能力テストの結果を片岡さんが発表した。

 

俺は一軍に合流する事が決まった。

 

ひゃっほい♪

 

他に新入部員で一軍に合流する事になったのは、一也、川上、倉持、

そして白州という奴だった。

 

他の新入部員は、残念ながら二軍以下からのスタートだ。

 

でも、青道高校は実力主義なので、学年を問わずに一軍、スタメンの可能性があるとの事。

 

だから、一軍に選ばれたからといって油断をしない様にと言われた。

 

そして、選ばれなかった者は這い上がって来い!待っているぞ!と言われた事で

新入部員の皆は燃え上がっていた。

 

いいね!俺も熱くなってきた!

 

エースの座を勝ち取ってやるぜ!




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