『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第62話☆

俺が青道高校野球部に入っての練習初日、入学式がまだ行われていない為、一般入部の

新入部員達がいない中で練習が行われている。

 

全体練習として基礎を行った後、俺はブルペンへと向かった。

 

「おう!待ってたぜ、パワプロ!」

 

そう言って、ブルペンで俺を迎えてくれたのは純さんだ。

 

ブルペンには他に、丹波さん、クリスさん、そして見知らぬ先輩が1人いた。

 

「今日から、よろしくお願いします!」

「パワプロ!エースの座は譲らねぇからな!」

「望むところですよ、純さん!」

 

俺と純さんがそんなやり取りをした後、少し遅れて一也がブルペンにやって来た。

 

「遅くなりました!」

「おう!御幸、待ってたぜ!」

「よろしくお願いしますね、純さん。」

 

そう言って、一也は純さんと握手をした。

 

「丹波さん、身長…伸びました?」

「あぁ、180cmを超えたな。」

 

そう答える丹波さんは、去年の学校見学の時に比べて、一回り大きくなっていた。

 

「葉輪、丹波は秋の大会が終わった辺りから成長痛になってな、走り込みなどが

 出来なかった代わりに、体幹を中心に鍛えたんだ。」

「へ~…あ、クリスさんお久しぶりです!」

 

そう言って、俺はクリスさんと握手した。

 

「クリスさん、怪我は大丈夫ですか?」

「あぁ、リハビリも終わった。これから復帰して、レギュラーの座を取り戻すさ。」

「おぉ!復帰おめでとうございます!」

 

去年の学校見学の際に、怪我が発覚したクリスさんは、手術する事になった。

 

怪我の方は早期発見だった事もあり、こうして半年程で復帰出来たらしい。

 

ただ、長い間野球をしなかった事で、感覚を一から作り直さないといけないようだ。

 

「それじゃ、パワプロ達も来たことだし、投げ込みを始めるか!」

「パワプロ、一緒にやろうぜ!」

 

純さんの号令で投げ込みを始める事になった時、一也が一早く俺を誘って来た。

 

だが、クリスさんがそれに待ったを掛ける。

 

「御幸、まずは伊佐敷や丹波の球を受けたらどうだ?」

「いやいや、練習初日ですから、まずは慣れているパワプロの球を受けますよ。」

 

「現在のエース候補は丹波と伊佐敷だ。スタメンのマスクを被るつもりなら、2人の球を

 受けるべきだと思うがな。」

「復帰祝いにお譲りしますよ、クリスさん。」

 

クリスさんと一也のやり取りに、なんかデジャヴを感じる。

 

丹波さんと純さんは、そんな2人のやり取りに苦笑いをしている。

 

そして、俺のボールを受ける為のジャンケンが、宮内さんという先輩も

参加して行われたのだった。

 

 

 

 

「宮内さん、フォーシーム行きます!」

 

ジャンケンの結果は、宮内さんの勝利だった。

 

なので、俺は宮内さんにボールを受けてもらい、投げ込みをする事になった。

 

ちなみに、丹波さんのボールはクリスさん、純さんのボールを一也が受けている。

 

まずは軽めにフォーシームを投げる。

 

パンッ!

 

クリスさんや一也程ではないが、宮内さんはいい音を出して捕球してくれた。

 

「ナイスボール!」

 

そう言って、宮内さんが返球してくる。

 

だが、狙いが少しずれてしまったので、俺は首を傾げながらボールを受け取った。

 

その時…。

 

ピロン♪

 

頭の中で、機械音が聞こえた。

 

俺は握りを確かめる振りをしながら、能力を使う。

 

 

基礎能力

 

最高球速:140km(※160km)

 

制球:A

 

スタミナ:D

 

変化球:カーブ5(※7)

 

変化球2:チェンジアップ5(※7)

 

 

※現所属カテゴリーを参照して、能力の表示を変更しました。

 

※上記に伴い、能力の成長限界を一部解放しました。

 

※身長の変化に伴い、制球のランクが変化しました。

 

 

スタミナのランクがかなり下がっている以外は、大きな変化は無いな。

 

投手能力を成長させる前に、野手能力を確認しておこう。

 

 

基礎能力2

 

弾道:2

 

ミート:F

 

パワー:E

 

走力:D

 

肩力:B

 

守備:D

 

捕球:C

 

 

肩力以外がかなり下がってる…。

 

流石は高校野球ってところだな!

 

とりあえずは、制球をSに、変化球2つを6に成長させる。

 

そして、球速を145kmまで成長させた。

 

まだポイントはあるが、これ以上は体調不良になりかねないので、

成長した能力に慣れるまで後回しだ。

 

よし!投げ込み再開だ!

 

「フォーシーム行きます!」

 

感覚の変化を確認しながらボールを投げる。

 

俺が投げたボールは、狙い違わず宮内さんのミットに吸い込まれていった。

 

だが、宮内さんは捕球しきれずにボールを落としてしまった。

 

「すまん!だが、ナイスボールだ、葉輪!」

 

そう言って、宮内さんはユニフォームでボールを拭いてから返球してきた。

 

その後、数球程フォーシームを投げて感覚を確認していく。

 

フォーシームの感覚を掴んだところで、今度はカーブを投げる。

 

「宮内さん、カーブ行きます!」

 

俺の宣言に、宮内さんはミットを叩いて応える。

 

何やら視線を感じて目を向けると、他の2組が俺の投球を見ていた。

 

そんなに注目されたら、テンションが上がるじゃないか!

 

俺は笑顔でカーブを投げる。

 

ボールは狙い通りのコースに行ったと思ったのだが、予想よりボールが大きく変化した事で

ワンバウンドしてしまった。

 

そのワンバウンドしたボールを、宮内さんは後逸してしまう。

 

「宮内さん、いつでも代わりますよ!」

「宮内、遠慮しないでいいぞ。」

 

宮内さんの後逸を見た一也とクリスさんが、宮内さんにそう言って発破を掛ける。

 

…発破を掛けたんだよな?本当に交代したいわけじゃないよな?

 

宮内さんは、そんな2人の言葉を「ンふー!」と荒い鼻息で退けた。

 

「オラァ!御幸!俺のボールに不満でもあるのか!?」

「よし!次行きましょうか、純さん!」

「誤魔化すんじゃねぇよ!」

 

純さんと一也がそんなやり取りをしながら、投げ込みを再開した。

 

2人に続く様に、丹波さんとクリスさんも投げ込みを再開する。

 

純さんと丹波さんの投げ込みを見ていると、去年の学校見学の時よりも

成長しているのがわかる。

 

それが嬉しくて、笑顔になってしまう。

 

この2人とエース争いをして、切磋琢磨出来るのが嬉しくて堪らない。

 

俺は一球、一球を楽しみながら、宮内さんと投げ込みをしていくのだった。




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

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