シニアでの初練習を終えて貴子ちゃんと一緒に帰る。
一年ぶりの感覚だな。
俺が貴子ちゃんと一緒に帰ると一也が凄い驚いていた。
でも、その後直ぐにニヤニヤとしていたな。
性格悪いぞ、一也!
え?誉め言葉?
まぁ、いいか。
そんな感じでシニアの練習をして時間が過ぎていく。
そして、いよいよシニアで初めての公式戦。
夏のシニアリーグ選手権大会に参加する事になった。
シニアで初めての公式戦だが、俺は第2先発に選ばれたぜ!
監督曰く、リトルでの経験を買ってだそうだ。
ただ、マウンドとキャッチャーの間の距離が伸びた事と、シニアでは1試合七回になった
影響がどこまであるかわからないので、四回~五回で交代を考えているそうだ。
まぁ、どんな役割を与えられても俺に出来るのは野球を楽しむ事だけだ!
あ、ちなみに一也はベンチ入りしたけどレギュラーじゃない。
一也も色々と監督にアピールしたんだけど、クリスさんからマスクを奪うには
まだまだ足りないようだな。
一也は残念そうだったけど納得もしていた。
でも、キャッチャーのスタメンの座は微塵も諦めていないとさ。
クリスさんも一也と競いあう様になってから、さらに練習に熱を入れる様になっている。
これからも2人には切磋琢磨していってもらいたいな!
でも、俺も負けないぜ!
◆
夏の大会の第二回戦。
俺は城南シニアとの試合で先発をするので能力を確認していた。
基礎能力2
弾道:2
ミート:F
パワー:E
走力:D
肩力:D
守備:E
捕球:D
シニアに上がったからか軒並み野手能力が下がっている。
特にミートがめっちゃ下がってるんだよなぁ…。
投手能力はシニアの練習初日に成長させてから変わらないから割愛だ。
「お~いパワプロ、見てみろよ。」
能力を確認していると、一也が呼んで来たので行ってみる。
手にしているのはメンバー表かな?
「どうしたんだ、一也?」
「城南シニアのスタメン、2人が1年なんだ。」
「へ~。」
どれどれ?
「センターにカルロスって言うのと…ピッチャーに成宮?」
「あぁ、向こうのベンチにいる白黒の2人だな。」
一也の指が示す方に顔を向ける。
すると、肌が黒い人と髪の毛が白い人がいた。
「リトルでは見たことないなぁ。」
「俺も無いな。でも、1年でレギュラーって事はそれだけ実力があるって事だろうな。」
一也の言葉に適当に頷いていると、向こうのベンチの白髪くんと目が合った。
俺は彼にサムズアップをする。
俺と切磋琢磨しようぜ!
だが、白髪くんに目を逸らされた。
う~ん、残念。
「葉輪、投球練習を始めるぞ。」
おっと、クリスさんに呼ばれたから行かないと。
「それじゃ、行ってくるぜ!」
俺は一也に手を振ってベンチを出る。
貴子ちゃんと目が合ったのでサムズアップをする。
貴子ちゃんはニッコリと笑顔で手を振ってくれた。
おかげで俺のテンションはMAXだぜ!
◆
城南シニアのベンチで1人の少年が葉輪の投球練習を見つめていた。
「どうした、鳴。」
投球練習を見つめていた少年、成宮 鳴に話し掛けたのは神谷 カルロス 俊樹という少年だ。
「あいつ、生意気。」
そう言って成宮が指差すのは投球練習をしている葉輪だ。
「たしかリトルのMVP投手だろ?」
「俺の方がボール速いし!」
そう言う成宮にカルロスは苦笑いする。
「じゃあ、あいつに投げ勝って鳴の方が上って証明してやれよ。」
「俺の方が上だし!投げ勝つのは当たり前じゃん!」
カルロスは1つ肩竦めてからバットを手に取りベンチを出ていく。
成宮は葉輪の投球練習から目をチームメイトに向ける。
見ると、チームメイトの皆がそれとなく視界に葉輪の姿を入れて、タイミングを
取りながらバットを振っている。
チームメイトだけじゃない。
耳に入ってくる声から、球場に応援に駆けつけた人達も葉輪に注目しているのがわかる。
成宮はそれも気に入らない。
自分が投球練習をしていた時はそうじゃなかったからだ。
「あいつ、やっぱり生意気。」
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