『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です。


第229話

秋の高校野球選抜東京大会が始まった。

 

俺達、青道高校はシードなので第2回戦からだ。

 

今大会なんだけど、俺はレフトでの出場で中継ぎや抑えで投げるのが基本運用らしい。

 

俺と一也が国際大会に行っている間に1年生投手達やノリのピッチングを見ていったらしいけど、そこで第2先発を決めきれなかったって落合さんが言っていた。

 

その結果、強豪校と試合をする時に万全の状態で俺に先発させるためにはこうするのが一番なんだそうだ。

 

中継ぎや抑えも好きだから別にいいけど、出来れば先発で長くピッチングを楽しみたいなぁ…。

 

まぁ、チーム事情的に仕方ないか。

 

多く投げれない分はバッティングを楽しもう。

 

そういえばクリスさん達三年生だけで出場した国体なんだけど、優勝したってさ。

 

先輩方!おめでとうございます!

 

 

 

 

秋の高校野球選抜東京大会の1回戦に勝利した帝東高校は、第2回戦の相手である青道高校との試合に向けて最後の調整をしていた。

 

「向井、調子はどうだ?」

「いいですよ、乾さん。早く葉輪さんと投げ合いたいですね。」

 

帝東は今年の夏の大会で東東京代表として甲子園に出場している。

 

さらに向井は1年生でありながら甲子園の舞台を経験しており、今大会ではエースナンバーを背負っている。

 

その為なのか、向井は青道との試合が迫っていながらもリラックスした様子で帝東の正捕手である乾と話していた。

 

「たぶんだが、次の青道戦の先発は葉輪じゃないぞ。」

「チーム事情ってとこですか?1年ナンバーワン投手と2年ナンバーワン投手で投げ合いをしたかったんですけどね。」

 

向井の物言いに乾は苦笑いをする。

 

向井は左のサイドスローの投手で抜群のコントロールを持っており、ストライクゾーンの奥行きを使うピッチングを得意としている。

 

そのピッチングで夏の大会では甲子園出場に貢献している事もあり、向井は自身を世代ナンバーワン投手だと自負している。

 

そんな向井だが、一人だけ注目している投手がいる。

 

それは1つ年上のパワプロだ。

 

現在の高校野球界で誰もがナンバーワン投手だと認めているのがパワプロである。

 

自信家の向井はそんなパワプロとの投げ合いに勝ち、自分こそがナンバーワン投手だと認めさせたいのだ。

 

「まぁ、先発しないなら引き摺りだせばいいだけですよ。」

 

不敵な笑みをしながらそう言いきる向井の姿に、乾は頼もしさを感じたのだった。

 

 

 

 

秋の高校野球選抜東京大会の第2回戦が行われる当日、片岡から今日の試合のスタメンが発表された。

 

1番セカンド、小湊 春市。

 

2番センター、白州。

 

3番レフト、パワプロ。

 

4番キャッチャー、御幸。

 

5番ファースト、前園と発表が続いていく。

 

呼ばれたメンバーが大きな声で返事をする中で、今もまだスランプに悩む倉持は8番ショートで呼ばれた時に、大きな声で返事をしながらも悔しそうに拳を握り締めていた。

 

(俺自身、打てる気がしねぇ…けど、守備でしか期待されてねぇのはやっぱり悔しい…。)

 

9番ピッチャーで降谷の名前が呼ばれた時、倉持は気持ちを切りかえる為に深呼吸をした。

 

(気持ちを切りかえろ。試合中に悩んでいてミスをしたら、増子さんみたいに下げられるぞ!)

 

もう一度深呼吸をした倉持は片岡の話に耳を傾ける。

 

「帝東の先発はおそらく1年生の向井だ。向井は今年の夏に1年生ながら甲子園を経験している男だ。油断をせずにいけ!」

「「「はい!」」」

 

選手達の返事に頷いた片岡は降谷に目を向ける。

 

「降谷、お前にとって初めての高校野球の公式戦だ。スタミナ配分は気にせずに最初から全力でいけ!」

「はい。」

 

降谷の返事に頷いた片岡は全員の顔を見渡す。

 

「昨年は後一歩のところで敗れ、春の甲子園には推薦で出場した。今年は最後まで勝ち抜き、自力で春の甲子園に行くぞ!」

「「「はい!」」」




次の投稿は午後3:34の予定です

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