Uー18日本代表チームはヂップマンを攻略する事は出来なかったが、後続のUー18キューバ代表の投手達を打ち崩し8回の表までに7点を奪った。
だがUー18キューバ代表も轟の守備の穴をついた攻撃で9回の裏に2点差にまで詰め寄ったが反撃もここまで。
Uー18日本代表とUー18キューバ代表の試合は7ー5で日本代表が勝利して、決勝戦へと駒を進めたのだった。
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「『おっと、先客がいたようだね。』」
ロジャーズスカウトのベックはUー18日本代表とUー18キューバ代表の試合が終わった後にヂップマンを訪ねようとしていたが、ヂップマンの元には既に他球団のスカウトの姿があった。
「『あの様子だと彼を取られたかな?仕方ない、僕はパワプロと御幸に挨拶をしてから引き上げるとしようか。』」
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Uー18台湾代表とUー18アメリカ代表の試合は8ー2でアメリカ代表が勝利した。
台湾代表は球数制限の影響でエースの楊が登板出来なかったのが痛手だった。
こうしてUー18硬式野球国際大会の決勝戦はUー18日本代表とUー18アメリカ代表の組み合わせとなったのだった。
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「明日の決勝の相手は予想通りにアメリカだ。各自、後で資料に目を通しておいてくれ。それじゃ、明日のスタメンを発表するぞ!」
Uー18日本代表チームの監督さんがメモを片手にスタメンを発表していく。
先発ピッチャーは俺、キャッチャーは一也とスタメンが発表されていったんだけど、サードは轟じゃなくて別の奴だった。
どうもキューバ戦で4回エラーをした事を考えてサードのスタメンから外したようだ。
でも轟をDHで起用する辺り、バッティングには期待しているみたいだな。
ただ、4番じゃなくて6番にしたのは何でだろう?
「アメリカ代表の先発はおそらくエースのJ・コンラッドがくるはずだ。コンラッドは左のサイドスローで150km以上のフォーシームを投げ込んでくるメジャースカウトからも注目されている男だ。おそらくは体験した事のない角度からボールがくるだろう。」
他にもアメリカのエースの特徴を話した監督さんは、皆を見渡した後に俺に目を向けてくる。
「慣れないマウンドにボールと大変だろうが、決勝のマウンドはお前に任せた。」
「はい!」
さぁ、国際大会で初めての先発だ。
思いっきり楽しんでやるぜ!
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「『明日の日本代表の先発は、おそらくフウロ・ハワがくるだろう。』」
アメリカ代表チームの監督の言葉に、アメリカ代表チームのメンバーは首を傾げる。
「『ボス、誰なんだそいつは?』」
「『まずはこの映像を見てくれ。』」
ホームアドバンテージとして地元のメディアから映像を入手していたアメリカ代表チームは、オーストラリア代表との試合で投げたパワプロの映像を流す。
「『速いな。』」
「『ヘイ、コンラッド。お前よりもコントロールがいいんじゃないか?』」
「「「『ハッハッハッ!』」」」
パワプロの投球映像が終わると、アメリカ代表チームの監督はチームメンバーの顔を見渡す。
「『知人に聞いた話では、ロジャーズのスカウトが彼に声を掛けているらしい。メジャーのスカウトが日本人のまだ学生である彼に声を掛ける…それほどの才能の持ち主という事だ。』」
監督の言葉にアメリカ代表チームのメンバーは表情を引き締めた。
「『明日の決勝戦は多くのメジャースカウトが視察に訪れる。君達は大いにアピールするといい。そして、日本代表チームに本物のベースボールを教え、我々が勝利するのだ!』」
監督の檄に応え、アメリカ代表チームは士気を上げたのだった。
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