『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です。


第197話

1軍と2軍の紅白戦の3回の裏、パワプロは1軍打線を3者連続三振で抑える。

 

そして4回の表の1軍チームのマウンドには降谷が上がった。

 

降谷は沢村との球速差もあり、4回の表の2軍打線は3人で抑える。

 

4回の裏の1軍チームは1番から始まったが、1番の倉持はまたしても三振で抑えられた。

 

ここまでの1軍チーム打線はクリス以外の打者全員が三振という結果だった。

 

だが、ここで2番打者の小湊がその選球眼とバッティング技術で粘りをみせる。

 

小湊はノーボール、ツーストライクと追い込まれてからパワプロのフォーシーム、カーブ、チェンジアップの3種類を辛うじてファールにしていった。

 

(少しぐらいコントロールを間違えてボール球を投げてもいいと思うけどね。)

 

緩急差にバッティングフォームを崩されながらも粘る小湊は、集中を切らさない為に一度も打席を外さなかった。

 

(打席を外してもパワプロのリズムは崩せないからね。ほんと、頼もしいエースだよ。)

 

8球目、ここで2軍チームのキャッチャーである小野はパワプロに高速スライダーを要求した。

 

パワプロがフロントドアで高速スライダーを投げ込むと、小湊は色が落ちた視界の中で幾つもの思考が重なっていった。

 

(球種はスライダー。)

(身体には当たらない。)

(コースはストライク。)

(バットを振れ!)

 

カキンッ!

 

小湊がバットを振りきると、1軍打線にとって初めてバットの快音が鳴り響き、球足の速いゴロが1、2塁間に転がっていく。

 

2軍チームの1塁手が打球に飛びつくが届かない。

 

しかし、2軍チームの2塁手である小湊 春市が横っ飛びでボールを捕らえた。

 

左打者の小湊 亮介が1塁に全力で駆ける。

 

パワプロも反応早く1塁ベースカバーに向かっていた。

 

ボールを捕球した春市が素早く上体を起こして目線を1塁方向に向ける。

 

(立ち上がっていたら兄貴を刺せない!)

 

春市は瞬時に判断して膝立ちの状態で1塁ベースに向かっているパワプロに送球した。

 

亮介とパワプロがほぼ同時に1塁ベースを踏む。

 

塁審の判定は…?

 

「…アウト!」

 

アウトの判定を聞いた亮介は天を仰ぐと、1つ息を吐いてから弟である春市へと目を向けた。

 

(ナイスプレー、春市。お前なら今年の夏の大会で1軍になれるかもね。けど…。)

 

亮介は踵を返すと、微笑みながらベンチへと駆け足で戻っていく。

 

そして…。

 

「春市、お前に1軍のレギュラーはまだ早いよ。」

 

この言葉が聞こえたのか膝立ちの状態のまま小さくガッツポーズを取っていた春市は、前髪に隠れた目に強い闘志を宿らせて立ち上がったのだった。

 

 

 

 

亮さんはやっぱ凄いバッターだわ。

 

フロントドアのスライダーをジャストミートだもんなぁ。

 

インコースを待ってたのかな?

 

紅白戦が終わったら聞いてみよ。

 

しかし、弟くん…ナイスプレー!

 

位置的に見ると、予め1塁よりに守ってたのかな?

 

よくわからないけど、とにかくナイスプレー!

 

さて、亮さんをアウトに出来てこれでツーアウトだけど次のバッターは哲さんだ。

 

今の亮さんの一打で哲さんが燃えている。

 

いいね!俺も燃えてきた!

 

さぁ、勝負を楽しんでいくぜ!




次の投稿は11:00の予定です。

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