『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

194 / 291
本日投稿2話目です。


第192話

春季関東大会が終わり、青道高校は夏の大会に向けて練習を開始した。

 

まず行われたのは紅白戦だった。

 

組み合わせは1年生チーム対2、3年生混合の2軍チームだ。

 

1年生の先発は降谷。

 

対して2軍チームの先発は丹波さんだ。

 

丹波さんは春季大会で第2先発になれなかった事を悔しく思っていて、それで紅白戦への参加を志願したらしい。

 

紅白戦の先攻は2軍チームからだ。

 

降谷はワインドアップの投球モーションに入るとフォーシームを投げ込んだ。

 

すると…。

 

「か、片岡監督!?大丈夫ですか!?」

 

1年生チームのキャッチャーが降谷のフォーシームを捕る事が出来ず、主審をしていた片岡さんのマスクを被る顔に直撃した。

 

リトルの時、俺も監督の顔にぶつけたなぁ…。

 

「降谷、明日から2軍に合流しろ。」

 

どうやら降谷はあの1球で2軍行きが決定したらしい。

 

後で落合さんに聞いた話だけど、球威は1軍でも通用するけどコントロールに課題が残るとの事。

 

あれでも体力測定の時に比べれば少しだけコントロールが良くなったんだけどねぇ…。

 

それと、まだ身体が出来ておらず、ケアに対する意識も低い今の状況でピッチングを続けるとケガに繋がる可能性が高いそうだ。

 

そしてケガをした後に無理をした結果、ケガが癖になった選手を多く見てきたそうだ。

 

なので、降谷は2軍で身体作りを中心にじっくりと育てていくそうだ。

 

頑張れよ、降谷!

 

さて、降谷が1球で降板した事で急遽登板したのは東条である。

 

でも、強豪の松方シニアでエースだった東条は急な登板でも落ちついていた。

 

だけど…。

 

「東条!後ろを信じて打たせていけー!ストライクが入ってないぞ!ボス!俺はいつでもいけますよ!」

 

こんな沢村の声が飛んでしまう程に、東条は2軍チームの先頭バッターに対してボール球を続けた。

 

沢村、多分だけど、東条はわざとボール球を投げてるぞ。

 

まぁ、紅白戦だから肩を作る時間はもらえても、気持ちまで作る時間はなかったからな。

 

だから東条はマウンドで強く腕を振って色々と準備をしてるんだろうな。

 

俺の予想が当たったのか、東条は2番バッターからはしっかりとピッチングをしていった。

 

ノーアウトでランナーを出したせいか1失点はしてしまったものの、東条は落ちついて初回をその1失点だけで切り抜けてみせた。

 

1回の裏の1年生チームの先頭バッターは亮さんの弟くんだ。

 

弟くんは初打席で丹波さんのフォーシームをファールにしてみせたけど、丹波さんのナックルカーブにはまだ対処出来ないようで空振り三振に抑えられていた。

 

丹波さんは弟くんを空振りに抑えた勢いのまま、初回の1年生チーム打線を三者三振に抑えた。

 

紅白戦は進んで3回終了時点で東条は4失点、丹波さんは無安打無失点で降板した。

 

どうやら東条は明日から2軍の練習に合流するようだな。

 

東条が降板して4回の表のマウンドに上がったのは沢村だ。

 

「わはは!待ってました!」

 

左肩をグルグルと回して片岡さんに好調をアピールしている。

 

好調をアピールしているのはいいんだけど、少しはムービングボールを制御出来る様になったのか?

 

そんな俺の心配をよそに、沢村は打たせて取るピッチングをして4回の表は無失点で抑えた。

 

4回の裏の2軍チームのマウンドには2軍の2年生が登板した。

 

あいつは…名前なんていったっけ?

 

後で貴子ちゃんに聞いておこう。

 

2軍のピッチャーは4回の裏の先頭バッターとして打席に入った亮さんの弟くんにヒットを打たれた。

 

うん、ナイスヒット。

 

続く1年生打者が送りバントをしようとすると、主審をしている片岡さんがそのバッターに何かを言ってヒッティングをさせた。

 

まぁ、紅白戦だしね。

 

もっと積極的にバットを振っていこうって事だろうな。

 

片岡さんの言葉のおかげなのか、1年生の2番バッターも続けてヒットを打った。

 

弟くんの好走塁もあってノーアウト、ランナー1、3塁になった。

 

2軍チームのキャッチャーをしている小野がタイムを取ってマウンドに向かった。

 

うん?なんか2軍ピッチャーの動きが固いな。

 

一緒に紅白戦を見ている一也曰く、普通はピンチの場面を迎えたらあんな風に緊張するそうだ。

 

そうなの?

 

俺が首を傾げると、一也は苦笑いをした。

 

小野の声掛けが良かったのか、次の3番打者はセカンドフライに抑えた。

 

でも、次の4番打者に入っている東条と同じ松方シニア出身の金丸に、タイムリーツーベースヒットを打たれて2失点をしてしまった。

 

フォーシームに躊躇なくバットを振り抜いたなぁ。

 

ナイスバッティング!

 

4回の裏の2軍チームは金丸のタイムリーツーベースヒットにより2失点をしてしまうが、後続は抑えて5回の表に沢村の攻略を狙う。

 

沢村はムービングボールをどんどんストライクゾーンに投げ込んでいった。

 

不運なポテンヒットが続いて満塁になったけど、沢村は5回の表も無失点で切り抜けた。

 

そして紅白戦の最終回となる6回の表の沢村なんだけど、沢村は6回の表だけで3失点してしまった。

 

理由は打球の速さに野手が対応出来なかったからだ。

 

そして紅白戦は2軍チームの勝利で終わった。

 

1年生チームの多くの者がこの結果に項垂れたけど、沢村は元気に1年生チームの仲間に声を掛けていた。

 

うん、野球を楽しんでいていいね!

 

それで沢村なんだけど、沢村も明日から2軍の練習に合流するみたいだ。

 

でも片岡さんは沢村にこれからも続けてタイヤを牽いて走れだってさ。

 

ピッチャーの事を覚えていくのは身体が出来てからと話を聞くと、沢村は紅白戦が終わった後に元気に声を出しながらタイヤを牽いて走りだした。

 

その沢村につられる様に他の1年生も走り出すと、2年生や3年生も負けられないとばかりに練習時間が終わっても残って練習をしていったのだった。

 

ちなみに、金丸と亮さんの弟くんも2軍の練習に合流するってさ。

 

来週には1軍と3軍、そして1軍と2軍のダブルヘッダーでの紅白戦だ!

 

よっしゃ!やってやるぜ!




次の投稿は11:00の予定です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。