青道高校野球部の冬合宿も最終日となった。
最終日の今日は３軍と２軍、そして２軍と１軍の紅白戦が行われる。
俺は２軍と１軍の紅白戦の時に２軍側で先発する事になった。
それを聞いた１軍の人達はかなり気合いが入った表情をしてたな。
今回の紅白戦で俺は同じ１年の小野と初めてバッテリーを組む事になった。
小野は残念ながら俺のスライダーを捕れないのでスライダーは封印となった。
まぁ、ケガ防止の為に投手陣は全力で投げたらダメらしいのでちょうどいいか。
落合さん曰く、打たれても動揺しない様にする練習と考えろとの事。
あとは勝負所の試合終盤に力を発揮出来る様にするペース配分の練習にもなるらしい。
ベストなのは要所要所でギアを上げられる様になればとの事だ。
うん、頑張ってみよう。
そんな感じで始まった冬合宿の締めの紅白戦、投手陣は制限があるものの打者陣には制限が無いので打撃戦になると思ったんだけど、意外にもそうではなかった。
１軍側の先発は丹波さんなんだけど、力を抜いて投げているからなのかいつもよりもボールの制球がよく、ノビる様になったフォーシームがいい感じに四隅に決まっていった。
そのおかげで２軍チームは丹波さんから中々ヒットを打てなかった。
対して２軍チームの先発である俺なんだけど、三振は中々奪えないけど打たせて抑えていく事が出来た。
それでも流石は１軍メンバーといったところなのか、試合中盤になると何本もヒットを打たれてしまった。
でも、１軍打者陣が合宿の疲労で動きが鈍っていたからなのか失点まではしなかったけどね。
１軍チームは丹波さんが３回まで投げると、４回からは純さんが投げた。
純さんも力を抜いて投げているからなのか、いつもよりも制球が良かった。
いや、純さんは制球だけでなくボールのキレも良くなっている様に感じた。
いつもの力投って感じの投球フォームよりも、今日の脱力する投球フォームの方が純さんに合っているのかな？
純さん自身も驚いているけど、今の感覚を確かめる様に１球１球丁寧に投げ込んでいった。
そして６回まで純さんが投げて、７回からはノリが登板した。
ちなみにこの時に１軍のキャッチャーがクリスさんから一也に交代している。
ノリは２軍チームに何本もヒットを打たれたけど、３イニング投げて１失点にまとめた。
この１失点は２軍チームにいる増子さんに奪われたものだ。
紅白戦の試合結果は俺が６回を投げきって降板した後の７回から２軍チームの投手達が大量失点をしてしまい、１ー７で１軍チームの勝ちで終わった。
紅白戦に負けてしまったのは残念だけど、紅白戦の後に特殊能力の『尻上がり』のコツを入手出来たぜ！
ちなみに『尻上がり』の詳細はこんな感じだ。
『尻上がり』
・試合後半になるとギアが自然に上がる特殊能力である。
・各種ボールのキレが上がり、最高球速で無理なく投げられる様になる。
・『尻上がり』が発動してギアが上がっても投球に必要なスタミナ消費は変わらない。
うん、めっちゃいい特殊能力だ。
後でゲットしておこう。
まぁこんな感じで紅白戦が終わって冬合宿も終わりとなると、青道高校野球部の皆は疲労で地面に倒れながらも笑顔になっていたのだった。
◆
冬合宿が終わると時間はあっという間に過ぎていった。
春の高校野球選抜大会で稲城にリベンジするために集中して日々の練習をしていたせいかな？
俺個人としては『尻上がり』の特殊能力をゲットしたり、投手と野手の基礎能力をアップしたりしていったぐらいで、他には特に変わった事はなかったな。
あるとすればプライベートで２月半ばのイベントの時に脳内に機械音が鳴らなかったぐらいだ。
まぁ、毎回機械音が鳴ってもどうかと思うので良かったと思おう。
ボーナスポイントはちょっと惜しいけどね。
そう言えば２月半ばのイベントの時に、一也は菓子代が浮いたって喜んでいたな。
もちろん一也にお返しを贈る気持ちなんて欠片も無い。
性格悪いぞ、一也！
そんなこんなで時は流れて３月。
いよいよ、春の高校野球選抜大会が始まるのだった。
次の投稿は１１：００の予定です。