『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第100話

夏の高校野球選手権全国大会の3回戦。

 

試合は進んで3回の表の青道高校の守備を迎えていた。

 

だが、守備につく青道メンバーの表情は固い。

 

その理由はスコアボードを見ればハッキリするだろう。

 

スコアボードにある青道のエラーの所には、まだ3回の表でありながら

4の数字が記録されているのだ。

 

キンッ!

 

丹波が投げたボールを相手チームの打者が打ち返す。

 

打球は遊撃手の方向に飛んでいく。

 

だが…。

 

『あーっと!青道高校の先発、丹波選手が打ち取ったと思われた打球が

 センター前に抜けて行きました!』

『3回になっても青道のメンバーは動きが固いですねぇ…。一歩目が遅れてますよ。』

 

実況と解説が話す通りに、青道高校のメンバーは緊張で動きが固くなっていた。

 

『青道は2回にも続いてノーアウトでランナーを出してしまいましたね、解説の――さん。』

『えぇ、そんな状況の中でも先発の丹波くんは腐らずによく投げていると思います。』

 

解説の言う通りに、青道メンバーの多くが動けない中で頑張っているのが丹波である。

 

元々丹波はノミの心臓と言われる程に緊張に弱い男だった。

 

だがそうであるが故に、他の誰よりも多く緊張と向き合う機会があったのだ。

 

これまでの丹波は緊張でダメになる自分を克服しようと誰よりも努力をしてきた。

 

その努力の中で、丹波は仲間に何度も救われて来た。

 

丹波は今こそ自分が踏ん張る時だと、マウンドに立ち続けているのだ。

 

『ノーアウト、ランナー1塁の状況!――高校のバッターはバントの構えを見せています。』

『1ー4で3点をリードしていますが、――高校は打の青道と言われる青道打線の爆発力を

 警戒して、動きの固い今の内に1点でも多くとっておこうとしているのでしょう。』

 

解説の考えた通りなのか、相手チームはランナーを進めようとバントをした。

 

だが…。

 

『サードの東選手が猛チャージ!素早く2塁に送球!判定は…アウト!アウトです!』

『ワンアウト、ランナー2塁がワンアウト、ランナー1塁になりました。

 これは丹波くんを救うファインプレーですね。』

 

青道メンバーの多くが緊張で動きが固い中、丹波以外にも動けている者がいる。

 

その1人が東である。

 

東はドラフト候補として以前から注目を浴びていた事もあり、注目を浴びるのは慣れていた。

 

そしてもう1人、いつも通りに動けている者がいる。

 

『解説の――さん。東選手のプレーは思いきりが良かったですね。』

『東くんのチャージも見事でしたが、状況をよく見ていたキャッチャーのクリスくんの

 コーチングも見事でしたね。』

 

もう1人の動けている者とはクリスの事だ。

 

クリスは元プロ野球選手のアニマルが父親である事もあり、幼少時から注目を浴びて来た。

 

さらに、パワプロと共に何度も全国の舞台を経験しているクリスは、

大舞台でも物怖じしないパワプロに負けないように努力を重ねてここまでやって来たのだ。

 

『さぁ、青道高校のメンバーから声が出てきましたよ!』

『今のワンプレーが空気を変えましたね。東くんとクリスくんのファインプレーです。』

 

このワンプレーで緊張を乗り越えた青道メンバーは、激戦区である西東京地区を

勝ち抜いた力を発揮していった。

 

その後、5回の裏に逆転をした青道高校は10ー7で3回戦を勝ち上がった。

 

そして迎えた4回戦、多くの高校野球ファンが予想した通りに大坂桐生高校と戦う事になった。

 

多くの高校野球ファンやライバル校の注目が集まる中で、パワプロは笑顔で

甲子園のマウンドに上がるのだった。




次の投稿は午後3:34の予定です

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