【完結】真・誤解†夢想-革命?- 蒼天の覇王   作:しらいし

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第二十一話.幼女の元へ逃げる聖人

「ぽちがいないですって?」

「はい、ぽち様の姿が何処にも見当たらないようです」

「ふむ……」

 

 ぽちがいなくなったとすぐさま孔明から曹操の元へ報告が上がった。

 

「……洛陽の動きは?」

「確か、何進の動きが活発になっているとか……まさか!?」

「でしょうね。ぽちらしいじゃない」

「私達は、頼りにならないんでしょうか……」

「違うわ。誰も傷付けたくないのよ、ぽちはね」

 

 まるでぽちが一人で反曹犬連合の起こりを、戦を止めに行ったかのように話をして納得している曹操と孔明。出ていったのまじでお前ら二人のせいだからな。

 

「あ、後は恋さんもいなくなってます」

「なんですって!?」

「あの、華琳様?」

 

 曹操は口元に手をやり、わなわなと震えだした。曹操は考える。ぽちと恋、その組み合わせの二人きりはまずい。これじゃ折角ぽちの童貞が守られるように噂を色々こっそり流した意味がなくなるじゃない! と。曹操よ、元凶お前かい。弟の事になるとほんと馬鹿になる曹操様可愛い。馬鹿姉よ、震えて眠るがいい。

 とりあえずぽちが戦を止める為に恋を連れて街から出たという事になったので、他の皆はしぶしぶ納得してぽちの帰りを待つ事にした模様。

 

 まさか年単位で帰ってこないとは誰もこの時は思うまい。弟馬鹿の震えて眠る夜が始まる。

 

 

 

 

 場面は変わって、ぽちは泣いていた。ぽちは童貞扱いは事実だからまだ耐えられたがネコって。俺犬やぞと謎の突っ込みを心で入れながら気が付いたら牧場王に跨がって街から飛び出していた。

 

「……拭く?」

「ああ、ありがとう……って恋?」

 

 ぽちに涙を拭えと手拭いを差し出してきたのは呂布。一人でこっそり飛び出したと思ったら元々護衛していた飛将軍が付いてきていた。ぽち、お前程度が撒ける相手じゃねえぞ。この世界最強の武力チートだからな。お前光栄で武力表示されると5くらいだからな。おそらく運補正が乗る系のスキル付いてるけど。

 

「……ぽち様、街、戻らない?」

「このまま麗羽さんと美羽ちゃんの所に顔出しに行く。久しぶりに会いたいし」

「……分かった。……恋、ぽち様守る」

「え、あーうん、宜しく」

 

 ほんとは一人旅して麗羽や美羽の所でうだうだごろごろして惰眠を貪る予定だったぽちだが、よくよく考えると賊に襲われれば瞬殺されるので、たかが賊相手の為に呂布に護衛してもらうという贅沢な選択をした。尚、賊は呂布が一睨みするだけで脅えて逃げ出す模様。

 

 

 

 美男美女の二人旅。普通に考えて何も起こらない訳がない。が、残念! 普段究極の武を見せつけてくれる呂布に手を出す勇気が童貞で無くても有る訳がなく、何事も浮き沈み無く普通に袁術のいる街までやって参りました。城の門番に「曹犬だけど、美羽ちゃんいる?」っと聞いたぽち。は? こんなとこに聖人様がおるわけないやろと怪しまれ、偽名を名乗ったと決め付けられ引っ捕らえられそうになる始末。そして始まる呂布無双。バッタバッタと次から次に現れる袁術軍の兵士を薙ぎ倒しその数が百を超えた辺りでやっと、袁術に仕える古参の兵士が、「あ!? 本物の曹犬様だ!?」と声を上げる。「うっそだろ」「え、まじもの?」と疑惑の声が上がるも、話を聞いて慌てて出てきた袁術軍の大将軍、張勲がぽちに平謝りし始めたのを見てその場の全員が打ち首を覚悟した。

 

「ぽち様、大変失礼致しました」

 

 袁家の関係者は、全員ぽちに対して様付けである。

 

「いやいや、連絡無しに来てごめんね?」

「そんな、ぽち様ならいつでも大歓迎です。お嬢様もお喜びになりますし、そんなお嬢様の姿は大変可愛いらしいですし」

「七乃は相変わらずだね」

「いえいえ、ではぽち様に失礼をしたこの者達は私のほうで処罰しておきますのでー」

「処罰? この人達は真面目に働いてただけなんだからそんなのいらないよ。ね、恋」

「……殺さないよう手加減はした」

「ぽち様がそう仰るのであれば処罰はしな──」

「ぽち兄様ーー!!」

 

 城からとてとてと駆けてきた美羽ちゃんがそのままぽちに飛び付いた。美羽ちゃんが走って飛び付くのはぽちに対してのみ。張勲はあらあらと言いながら羨ましそうな表情を隠さない。気持ちは分かる。

 

「ぽち兄様、久しぶりなのじゃ!」

「美羽ちゃん、久しぶり。走ると危ないよ?」

「わらわもぽち兄様に負けないよう鍛えておるから大丈夫なのじゃ!」

「七乃?」

「はい、お嬢様は治世も武も頑張っておられますよ」

「ふふん、ぽち兄様のように立派になる為に頑張っておるのじゃ!」

「そっか、美羽ちゃん偉いね」

「ぽち兄様、もっと誉めてたも!」

「偉い偉い」

 

 ぽちに誉められたくて凄く色々頑張ってきた美羽ちゃんはここぞとばかりにぽちに甘えた。尻尾があればはち切れんばかりに振っていることであろう。まさかとっくに知力も武力もぽちを超えているなんて美羽ちゃんは思うまい。ぽちは多分もう俺より上やろうなぁと思ってると思う。幼女に負ける自信満々なネコ。じゃなかったぽち。お前それでいいんか。

 

 

 

「雪蓮、何故今皆で美羽様の元へ行かねばならんのだ?」

「冥琳、そりゃあなんとなくよ。なんとなく行ったほうが面白そうだからね」

「……はあ」

「雪蓮姉様、冥琳もため息をつきます。いきなり全員連れていくだなんて。私と思春だけでも建業に残っていたほうがいいのでは?」

「だーめーよ。蓮華は絶対連れていくわ」

「何故です?」

「勘よ」

「……はあ」

「何よー。蓮華までため息付いてー」

「まったく、最近は落ち着いてきたと思ったらこれじゃからのう」

「いいじゃない。美羽の所で美味しい酒でも貰って呑みましょう?」

「……まあ旨い酒に罪はないからのう」

「さっすが祭は話が分かるー!」

「雪蓮! 祭殿もあまり雪蓮を甘やかさないで下さい!」

「あっははー。冥琳こわーい」

「雪蓮!」

 

 ぽちが無事に美羽の元へ辿り着いたその頃、孫家一向も孫策のなんとなくだけどと言ったあやふやだけど超強引な命令で全員美羽の所を目指していた。




明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。

呉の人物は真までしか出しません。太史慈や魯粛やらは呉の革命待ちなのです。恋姫シリーズは英雄譚だけ未プレイなもので。呉革命のティザーサイト公開されてましたね。真では呉が一番好きだったので待ち遠しいです。蜀は話のラスト作り直せまじで。あの話のままだと蜀だけ買わないぞ。


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