時渡達の第2戦、彼等は活躍できるのか。
それではどうぞ。
イッセー達がアワアワと渡された物に狼狽えている一方で、俺達採石場組は作戦会議を終了させた。正確には個々の判断で動け、としか言えなかった。
「ヒッデェ作戦だよ。何様?」
「仕方ないだろ」
ミッテルトの嘲笑に俺は独り言ちる。
「作戦の立て様が無いんだからよう」
「それで良く支部長に任命されたわね」
困る俺に対して今度はカラワーナが呆れかえる。分かっていても視線が痛い。だがそこに話題を変えようとドーナシークが提案を出してきた。
「月並みな作戦ではあるが、相手の弱点となる弱者を集中的に攻撃する方法が有るが……」
「連中で1番弱いのはあのゴリラマッチョな凄腕女傭兵、ジャベリン先輩だ。あれでも百以上もの紛争を潜り抜けて勝ち抜いてきた猛者だそうだ」
俺の一言でこの場に静寂が訪れた。古株幹部の中で一番弱いと言ったら、序列一番下の彼女しか居ないんだよ。後の連中はゼロの術式の手数を幾つも持ってるし。ジャベリン先輩だけだよ、面倒くさがってまともに術式を使わないのは。
驚愕していた中からいち早く我に返ったトリーが俺の胸ぐらを掴んで喚きだした。
「それを早く言えよ!」
「「「言われても無理!」」」
アイツの言葉を即座に三羽烏が否定する。何しろ一番の弱者がよりによって数多の戦場を潜り抜けた傭兵さんだなんて冗談にも程がある。
「止むを得ん、とにかくて身近な相手を集中攻撃で個別撃破を狙うしか無いか」
ドーナシークは肩を落としながら最後の手段とばかりの攻撃方法を提案してくる。基本とはいえ必勝の公式だからな、この手のやり方は。
「仕方ないわね。時渡さんとトリーさんが狙われてるみたいだから、そこを囮にして三人で単騎撃破を狙いましょう」
「異議なし」
カラワーナが言葉を繋ぐとミッテルトがそれに賛成する。
「囮は引き受けるから、全力でやっちゃってよね」
仕方ないと言いたげにトリーが折れると、三人は一斉に頷く。
そして無情なゴングの音が……。
……俺達の受けた強引なパワーボムの激痛と共に消えていく。
俺達の活躍の場は何処さいった!?
「ケッ! トロくせぇ動きしてっから埋められちまうんだろうが」
埋めた本人のリバーサル先輩が親指で自分の首を掻き切る真似をする。アンタが速すぎるんだよ!
「ハッ、これでもジャクラウスの幹部だった俺等だ。テメェ等クソガキ共に負けるワケがねぇんだよ」
「まぁ、リバーサルにおいしい所を持って行かれたのは癪だけどさぁ、元賞金稼ぎだしィ、私より上の幹部だから仕方無いわよねぇ」
色気のある声音でマクレノリス先輩がクスクスと嘲笑してくる。相当魅惑的な笑みを見せるんだけど、この先輩ってば人妻、いや旦那が居るんだよな。職場内結婚というか同期のさく……は違うか。
いや待て、ジャクラウスの幹部だったって事は……まさかバッキバキの悪のエリート集団って事か!? いやいや、ポーラさんはダークネスが出来た後からの幹部入りだから生粋の筈が無い。でもあの幹部五人はマジで凶悪集団じゃねえかよ。