さて余興が始まろうと、いやカケカケの公開処刑か?
もちろん忘れてはいけないイベントがありまして、そこの消化分です。
それではどうぞ。
俺はジャベリンの胸に抱かれたまま採石場の光景へと運ばれようとしていたと言えば聞こえは良いが、その実筋肉ゴリゴリの大女に拉致られているというのが正しい構図だ。
だがそこに呼び読める声が俺達に届いた。
「待てジャベリン! 時渡を今暫しワシに渡せ」
「ハッ!」
隊長の待ったの声にジャベリン先輩が即座に反応し、俺を放してその場に片膝を着く。そんな俺達の所に辿り着いた彼はそのまま俺の頭を無造作にわし掴みにした。
「はえ?」
「では行くぞ」
「へっ? 行く? 行くって?」
理解の利かない俺に対して隊長は問答無用とばかりに俺の頭を掴む手に意識を集中させた。
「ぬぅんっ!」
ギリィィィィッ!
「あぎぃやあぁぁぁぁぁぁ!」
あっ、頭が! 頭が!
俺の頭が割れるかと思った次の瞬間、俺の頭の中に膨大な量の何かが押し込まれてきた。まるで口の中に大量の食い物を詰め込まれたような感じだ。しかし苦しいとか何か嫌なものは一切感じない。押し込まれた物が何なのか、僅かながらも不思議と理解できた気がする。
「これで良い。ジャベリン、連れて行け」
「ハッ!」
用事が済んだのか、隊長が俺の頭から手を放してジャベリン先輩に後を任せる。呆気に取られている俺は再び地獄への道程を引きずられて行った。
「……何なんだよ、あれ」
「気にするでない。すぐに貴様等にも施す」
イッセーが呆気に取られている所に、騒動の主の隊長が到着した。その後ろからは目を丸くしながらも駆け寄ろうと走る司令の姿があった。
「へ? 施す?」
「何を……ですか?」
イッセーとアーシアの2人は揃って首を傾げるが、そこをそのまま、2人の頭を先程の俺の様に掴んで意識を集中させた。
「ぬぅんっ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
2人が悲鳴を上げて頭を抱えた時、そこに司令が到着した。その光景を見て何を察したのか、彼は肩を落とし、隊長に確認する。
「……もうやったのか」
「ダークネスの幹部として必要な能力なのでな、早く施すに越した事は無い」
司令の呟きに隊長が当然と答えるとその場に居るトリーと3人組に向かってヤツの後を追いかけろと口にする。その声を聞いて呆気に取られていた面々もすぐに我に返って俺を追いかけ始めた。
だがこの時、アーシアとイッセーの呟いた言葉が何を物語るのかは誰一人として気づけなかった。司令の方はドーナシーク達の背中を見送っていて、隊長は自分の手の感触を確かめていたためだろう。
「……すっごく大きな木が……見えましたぁ……」
「……お、オッパイ……」