ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうも、今日の二回目のバグパイプです。

会場が用意できたようでこれから会場に踏み込む時渡達には何が待ち受けているのか。

それではどうぞ。


第86話 式典はつつがなく

 幹部に言われて行動へと足を踏み入れた俺達を迎えたのは、壇上にある華々しい花瓶の花と青紫の緞帳、そこそこの数のパイプ椅子そして舞台の反対側にある、どうやって用意したのかさっぱり分からない採石場だった。特撮物のお約束の戦場で知れたヤツ。

 

 この行動の不可思議さに言葉も無いグレモリー御一行であった。顔も引きつってることだし。

 

「それで時渡達ダークネスの面々は舞台手前の左、こちらから見て右手に席があるからそこに座ってもらう。席順としては舞台側から時渡、イッセーにアーシアと三人組となる」

 

 バゼルザークによって俺達は組織側の連中は席に座らされる。一方のリアス達来客はそこから少し離れた所に席が用意され、そこに座る事になった。バゼルザーク達ダークネス幹部は彼女達の後ろの席に座るらしい。

 

「まあ、式典と言っても大した時間も無いだろう。表向きの理由付けと言ったところなのでな」

 

「ところでバゼルザークさん、こういう事をする辺り、規模としてはどうなのかしら?」

 

「ノーコメントだ」

 

 リアスはなぜか組織に対する追及を口にするが、バゼルザークが答えるわけが無い。ちゃんと返答するだけマシかもしれない。あのジャベリンだったら即座に鼻で嘲笑うだけだもんな。

 

 そして俺達が入ってきた入り口から続々と関係者が入ってきてはそれぞれ決まった席へと座る。無論司令や副司令、隊長達の姿もあるし、見覚えの無い来賓らしい方々の姿もある。

 

 そしてトリーも姿を現し、副司令が舞台傍の式台に立ち、式典が始まった。

 

「只今より『特殊部隊レッドベレー、異世界支部創立』式典を執り行う。なお、部隊右側に居られる各界代表には日頃よりの感謝の意を申し上げ、ご挨拶を省略させていただきます」

 

 お偉方かよ! っていうかそんな方々に挨拶もさせねえのか! 普通なら挨拶を賜るモンだろ!

 

 俺達とグレモリー陣営は卒倒したものの、何だかんだと式次第とかいうやつに則って俺達が舞台に上がっては辞令交付を受けたり、司令の手でイッセー達に隊員の証である赤いベレー帽をかぶせて貰ったりしたわけだが。

 

「次、トリー・コロール隊員」

 

 副司令からトリーが呼ばれ、アイツが壇上に上がる。そして辞令が読み上げられた時、俺達の度肝を抜いた。

 

「トリー・コロール殿、貴君に対し諸般の事情によりシーカー所属からダークネスへの派遣の異動を命じる。。なお、創設する異世界支部との連絡員としての任を帯びるものとする」

 

 何ですとぉーっ!

 

 あの野郎、やりやがった! シーカーの椅子を蹴ってでも俺に付きまとう方法をもぎ取りやがった!

 

俺のショックを知らぬ素振りでアイツは辞令を受け取る。それも晴れやかに。あの時泣き喚いていたのが嘘くさく感じるほどに。

 

 トリーが壇上から降りたところで壇上に残っている司令から声が上がった。

 

「今、新たに隊員となった者達に告げる。そのベレー帽は我らが組織が、例え血に塗れ絶望の大地に立つ事になっても、救うべきもの達の為に持てる力を揮う事を明かしたものである! 願わくば救うべき命を全て救う事が出来る事を祈る、以上だ」

 

 司令が言葉を終えた時、そこにあったのは拍手という音の津波では無く、一糸乱れぬ敬礼という敬意の姿だった。

 

 俺としては前にも聞いたけど、やはり重い一言だ。


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