副司令とミッテルトはあの後を致せるのかどうか、展開にも巻きを入れないとマズいし……。
それではどうぞ。
あれから夜が明けて早朝、俺達異世界組は仮眠のような短時間睡眠を経て朝食を口にする。
あの後どうなったのかって? 簡単にざっくりと言うと、『青少年保護育成条例』ってしつこい?
冗談はさておき、本当にあの後補佐官の怒突き回しと書いて指摘と読むで一気に仕事が動き、式典については今度の日曜日に行う事になり、関係者各位は当日に本部へと移動することになった。
副司令とミッテルトの件に関して、天使としてはあの『えっちらおっちら』は大変宜しくないというわけで処されてしまわれたわけです、ハイ。
なお、隊長と補佐官、トリーとポーラさんは朝食前に本部に戻った。その際のトリーの眼に浮かんだ禍々しい光に俺の背筋が怖気立ったのはここだけの話。
……ヤツは何を企んだ?
そして学業を終えて放課後、俺と3人組はグレモリー眷属の居る旧校舎のオカ研部室にお邪魔している。
「……そう、昨夜でそれだけの進展があったのね」
リアスは俺の報告を聞いてこめかみを抑えて呻く。すると話を横で聞いていたイッセーから声が上がった。
「ってことは、その式典ってのに俺とアーシアは出なきゃマズいんすよね?」
「ああ、司令直々のお達しだからな。欠席は出来ねえぞ?」
「でも服とかはどうしたら」
「必要な服は向こうで揃える。私服も問題なら向こうで用立ててくれるぜ?」
アーシアの不安げな貌に対して俺は率直に答える。制服自体向こうで集うする事になってるんだ、私服の一つや二つ、オマケでやってくれるさ。何しろアチラさんには本職のファッションデザイナーが居るし、細かい金具を作り上げる彫金師もいる。
……蚊帳の外に放り出したリアスの気持ちまで察してくれるかどうか分からないけどな。
「今度の日曜ですか、仕事が無ければ問題は無いですね」
木場は独り言のように自分の予定を確認し、多分大丈夫だと伝えてくる。小猫や朱乃も同様なのか多くは語らない。
そこで口を出してきたのは、グレモリー眷属の主ことリアスであった。
「ところで、その式典とかいうものに、部外者は立ち入れないのかしら?」
「そいつは遠慮してほしい所だけどな、お前さんらの席はあるぜ? 本部の連中がお呼び立てなんだよ」
俺はそう言って明け方に届いた招待状のデータを人数分出力して封入した封筒をテーブルの上に置いて見せる。リアスはそれの一つを手に取り、検める。招待状としては問題の無い形式の物だから問題は無いはずだ。
「着て行くものに困ったら制服で構わないとさ、司令の配慮だよ」
「その事については感謝するわ」
リアスは司令の配慮に感謝の言葉を漏らすが、そこで引っ込む俺じゃない。俺は確かにお前に渡した服があると。
「どうせならグレモリー眷属の主だか王らしく、『タイラント』で行こうぜ!」
ズパァンッ!
懐の封印球から、前に製作した衣装を手にした途端に俺はハリセンの一撃をこの口で受け止めさせられた。
「あ、あんなハレンチな衣装で行けるわけないでしょう!?」
リアスは顔を真っ赤に染め上げながら烈火のごとく大声で拒絶した。主の威厳ばっちりだと思うんだけどな、真紅のレザーのボンデージ。アレならどこに出しても恥ずかしくない女王様だぜ。上が前開きベストでバッチリ開いてるけどな。
この時、意外な奴が意外な言葉を口にした。
「あらあら、その様な格好でも宜しいのですか?」
あれ? 朱乃? お前止めないの?
俺の気持ちとは裏腹に、彼女の貌は喜色をはらんでいて妙な印象を感じる。お前まさか、いやレザーファッションは朱乃様に用意したものは無かったよな? あれ、まさか『トラ・ロープ』で行っちゃうの?
(小説のメモ帳)
組織の式典
組織では大きな節目となる事が起きた際、事の当事者たち及び上層部が式典を行う事になっている。その際には来賓として名代を含む神界と天界及び魔界の代表が集まり、司会は副司令が執り行う事となっている。
ただし内容が全て厳粛な中で行われるものだとは決められていない。