ミッテルトへのオシオキなんですがワンクッションがどうしても出てしまったので次回へと持ち越しで、すみません。
それではどうぞ。
第80話 心残りを抱えて夜明けが近づく
話題がドーナシークからミッテルトへと移そうと副司令が顔を向けた時、彼の横から別の声が上がった。
「ちょいと済まねえが、問題がある」
その声の主はなぜか片膝を押さえている。もっともあの膝カックンだけで気絶などありえないから先程復帰するまでは何らかの追撃で沈んでいたのだろう。
司令はおもむろに補佐官に視線を向け、心配そうな表情で言伝を口にした。
「補佐官、済まねえが時渡が帰ってきたら伝言を頼む。内容はイッセーが意外とマズイ。メンタルケアを配慮してくれ、ってな」
「具体的にはどういったものを……?」
「スケベ小僧にはスケベが大事なんじゃねえのか?」
補佐官の目の前で司令がとんでもない暴言を並べてくれる。
……明日からエッチィのが何割増しに出来るか、計算しても良いですか? 出来るならウッキウキでソロバンを弾いちゃうよ?
だが、そんな事を補佐官が絶対に許さない。あのポンコツぶりでも天使だから絶対に許さない。
「……もう一度、言って戴けますでしょうか?」
見とれてしまうほどの優しい笑みをその貌に浮かべながら、補佐官は画面越しの司令に対して優しく確認を取る。その身体からこれでもかと言わんばかりの金色のオーラを彼に向けて叩き付けながら。
だが隊長がそこに割り込み、話を片付けてしまった。
「司令、時渡にはワシからも話がある。ワシに任せるが良い」
「……お、おおぅ……、た、頼むぜ……」
隊長の言葉に指令はこの件を彼に任せると、再び画面の下へと消えていく。あの攻撃が向こうに届くのかよ、おっかねえな。
「隊長?」
「急くで無い。どうせなら向こうで締め上げるべきではないか? ヤツが殺せるやもしれぬ」
どこか不満げに隊長を見ていた補佐官が、彼の言葉一つでポンッ、と柏手を打つ。
そしてようやく訪れる、ミッテルトへの対処。彼女の行動も次元衛星の方から観測されているためか、司令達にはリアルタイムで確認済みなのだそうだ。
「そういう事でミッテルト、分かっているね?」
「ちょっち、わ、わかんないかなぁ~っ」
「なら竜気を回してみろ」
副司令の意外な指示にミッテルトは訝し気になりながらも自分の身体に竜騎を流す。その瞬間、彼女の身体にとんでもない激痛が爆発した。
「声も出ないだろうな。竜気が竜撃砲の一撃で乱れてるからな。俺もやった事のある事だから気付けたが」
「……なら、やらせんじゃねえぇ……」
「オシオキの一環だからな。補佐官、細かい所はそっちに任せるが、粗々やっておくぞ?」
痛みに呻くミッテルトを無視して副司令と補佐官で彼女の治療の話が進んでいく。
竜撃砲の反動、簡単に症状を説明すると、竜撃砲を撃つ際に起こる振動が肉体の方ではなく、気やオーラの流れの方に出てしまうもので、普通はある程度体を鍛えて耐性を付けるから、このように治療を必要とすることは稀である。
ちなみに治療方法は意外と酷い。絵面が酷い。