戦いが終わったカケカケ達一行、日常へと戻るわけですがどう戻るんだろうか。また、アーシアはまだ人間のままでWす。誤解のない様に。
それではどうぞ。
竜鎧が剥がれ落ちた後のミッテルトの姿は、元のゴスロリ衣装そのままだった。それを見て俺とイッセーの2人が息を揃えて「くぅ~っ」と呻いた。
いや俺は知ってたけどさ! 期待するじゃん! 竜鎧の装着シーンを知ってたらさ! あの下がマッパって!
それに竜鎧のウエストアーマーを見たらスカートは穿いてないって解かるじゃんか! ミッテルトの服ってばワンピース型だからスカートを穿いてなけりゃあ上も着てねえ事になるよな!
えっ? 下着の存在を忘れるな? しまったぁーっ!
俺とイッセーは熟考の果てにたどり着いた結論の前に崩れ落ちた。そんな所を見ていたミッテルトが隊長に向かって一言漏らす。
「ウチの上司の変態ぶりがチョベリバな件」
「教師にあるまじき変態ぶりね」
彼女の台詞にリアスが乗りかかる。
「流石にそこまでの行動は職員会議の議題になるんじゃないのかしらと」
朱乃からの圧力が一番ひどい件。
あまりのひどさに隊長に助けを求めようと視線を向けた時、彼の表情が何やら真剣身を帯びていて、うかつには声がかけづらい雰囲気をにじませていた。どうも何かを探っているような雰囲気さえある。
「……うむ、これはどうしたものか」
隊長の視線の先にあるのは古ぼけたマリア像。その先には十字架が見えるが、何が隊長の気にかかっているのか全く分からない。
傍に居るポーラさんも首を傾げている所からして彼女にも判っていない様だ。
隊長は何かを理解したのか軽くうなずいてからその場を離れようとみんなに一声かける。
「ではここでの用が済んだのならば、さっさと引き上げるぞ」
「何かあったんですか? 隊長」
「それについては後にしろ」
隊長は俺の問いかけには答えず退去を指示した。それから彼はなぜかアーシアへと近づいていく。彼女の方はというと目を閉じて手を組み合わせて静かにしている。
「娘よ、つまらん話を聞くのだが良いか? 答えにくければ答えんでも構わぬ」
「……えっと、何でしょうか?」
アーシアは隊長の言葉に首を傾げる。
「敬虔な信徒の様だがその祈りは神とやらに届いたか?」
「……それは私には判りません。でもお祈りを止めるつもりもありません」
「その先に貴様の望まぬ試練しか無いとしてもか」
「そうする事しか主に感謝する方法を知りません。だからお祈りは止めません」
隊長の問いに答えるアーシアの瞳には迷いが無く、愚直なほどの強い信念を感じさせる輝きが宿っている。それを見て彼は自分の懐に手を入れて、新たなバッジを一つ取り出した。そのバッジの裏には0008の刻印が穿たれたものを。
「命を落としてなお、神とやらへの祈りを止めぬその意地には閉口するが、それが貴様の意地ならば続けるが良い。そのための一助にこれを受け取るが良い」
隊長はそう言ってアーシアの手にバッジを握らせる。こうしてアーシアもイッセーに続くダークネス幹部にスカウトされた様だ、騙される形で。
だが、彼女はそれを押し返そうと腕を伸ばす。
「こ、こんな高そうなもの、戴くわけには」
「構わん、これによって貴様にとっての己の意地を貫くための手助けとなるであろう」
「そうなんですか?」
「力は求めなければ身につかぬ、だが簡単には付かぬのも力というもの。貴様に必要となる力が見えてくることを期待する」
隊長の説得にアーシアは何を感じ取ったのか手にしたバッジを胸元に抱きしめる。
「……これでイッセーに続いてアーシアまでダークネス幹部かよ」
俺は目の前を通り過ぎていった幹部バッジに未練を感じて涙が止まらねえ。幹部候補の俺を飛び越えて新たな幹部が誕生しやがったよ、畜生。