レイナーレの扱いでカケカケがやってくれました。
この伏線も前もって用意してました。
それではどうぞ。
イッセーに飛ばされたレイナーレの回収と来たが、俺と小猫は特に苦労はしなかった。何しろ微弱ながらも気配を察知できるし周囲の林にはこの騒ぎのおかげで動物という動物が消えうせてるのだから。
「ふむ、あっちの方角だな」
「早く行きましょう」
俺は気配を確認しながら進むが、小猫の方が足早に先行してくれる。まさか匂いでもたどってるのか? それとも熱源サーチとか?
こっちは微かな息継ぎの音を何とか聞きつけてるってのに。
そうこうしながらも何とかレイナーレの所に辿り着く。距離にして約500メートルそこらか。
「……しぶといですね」
身体を引くつかせながらも呻くレイナーレを足元に、小猫が目を細めて忌々しげに呟く。俺はそれを見て苦笑しか浮かべる事が出来なかったのは仕方ない話。
「得てしてこういった女はしぶといもんだ。さて俺は運びやすいようにするとしますかね」
俺は懐から例によってロープを取り出し、『運びやすいように』レイナーレを縛り上げていく。ただ、そんな俺の行動を見つめる小猫の気配がどんどんおぞましさをにじませていくのを肌で感じながら。
「両手首と両足首をそれぞれまとめてから2本のロープで繋ぎましてと。そんで胴体の所を結わいてから2本のロープを胸元までもっていってそれぞれの縄で片方ずつを巻いてって首の横から後ろのロープに結び付けると」
結構な所まで進めると、小猫から感じる強烈な闘争本能、暴風なんてのが生易しく聞こえるほど荒れ狂ってねえか?
最後のロープを結び終え、レイナーレが運びやすい形になったの見た俺は、額の汗ぬぐって心からの笑みを浮かべた。あっと、猿轡も噛ませておかないと。
「うむ! 満足!」
バカァーンッ!
自画自賛する俺に小猫はもろ手を挙げて答えてくれた。その手は俺の顎をジャストミートするように。
肩に担ぐより肩掛け鞄にしてやった恩を仇で返しやがるか! この小娘は!
顎がガクガクする感じなのをこらえながらも睨んでやったが彼女はそっぽを向いて目を合わせようとしない。
「早くそれを持っていきましょう」
「分かったよ」
俺は小猫の声に応えてレイナーレを手足をまとめているロープを握り、肩にかける。
「むひうっ!」
見てくれは三日月形ポシェットを想像してもらえるとありがたいが、その実は縛られているレイナーレにとって気が気ではない極悪な緊縛術である。なぜ緊縛術なのかが理解できてしまうほどに。
なお、懸架式緊縛術は緊縛術において全てが上級に位置する。なぜなら長時間の緊縛は被爆者の全てを著しく消耗させるため、その責任を縛った者が負わなければならない。当然緊急時に対応するためのナイフと鋏は必携で。
「ではすぐに行きましょう」
小猫はそう言って歩き出す。まあ、レイナーレを担ぐのは俺でも問題……。
「良し行こう! 今すぐ行こう!」
「むむうっ!?」
俺が賛同する声を上げると、それを聞いたレイナーレが目を剥いて呻きだす。これから楽しい楽しい地獄の行軍(デスマーチ)だ、悪路がお前の覚悟と身体とおっぱいを揺らしていくぞ。天国と地獄を往ったり来たりだ、スキップだって踏んじゃうぞ。