ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうも、バグパイプですm(__)m

今回は拠点の状況をお送りします。もう少しでレイナーレ編も山場を迎えるだけにギャクをどうねじ込むか悩みます。

それではどうぞよろしくお願いします。


第58話 その頃の拠点では

 SIDEセヴェス隊長

 

 翔達が作戦行動を執り、例の3人組が竜羅の行とやらに赴いている間、拠点待機組であるワシらは茶を飲んで寛ぐしかない状況である。

 

 だが、そんな所に竜羅の行を司る門が不意に輝き、その扉を開け放った。

 

「グギィッ⁉」

 

 その門から放り出されてきたのはレースをふんだんにあしらわれていたであろう黒のフリルドレスを着た小娘だった。そのドレスも見るも無残なものだが、当の本人ですらそれを超えるむごたらしさである。何しろ五体満足には帰還できなかったのだから。

 

「ヤバッ、手当」

 

「さっさと治してやれ。死ぬぞ」

 

 補佐官が血相を変える傍でワシは冷淡に症状を観察する。その負傷姿は憚られる物言いだが滑稽という他無いほど凄惨で重体、致命傷を避けているとはいえ裂傷が無数にある。一目で瀕死の状態の良い見本と化しておる。

 

「『グレイテストヒール』」

 

 補佐官が最上級に位置する治癒魔法を行使する。この魔法は四肢欠損どころか致命傷すらも一瞬の内に完治し、不足した体液の全てを補完する便利なものである。だがその分大量の魔力を消費するが、彼女の事だから魔力補充用の魔法石か回復薬を持っておるだろう。

 

「こ、これで、大丈夫だよね……?」

 

「これで回復せなんだらそれまでの者、組織には必要あるまい」

 

「ちょっ、お父さん」

 

 小娘の心配をする補佐官に対して無情の言葉を吐くワシに対してポーラが抗議の声を上げてきおった。グレイテストヒールの悪い所は意識の弱いときに施すとごく稀にだが、患者がその衰弱した意識を吹き飛ばされてそのまま死亡するという報告がある。使う者が少ないだけあってか目を瞑れるほどの症例ではあるため組織としても重大視しておらんが。

 

 娘の抗議も分からんではないがこの者を信じられんのは、はなはだ迷惑なものであるな。

 

「戦いに身を置く者がそうそう死ぬことなどあるまい。それにそやつは認められたようなのでな」

 

 ワシはそう言って小娘の首元に視線を向ける。そこには紅色の結晶柱、竜血晶が革紐によって首と繋がれていた。この竜血晶こそが己の竜に認められた証であり、竜戦騎曰く『竜を喰った』証明でもあるという。

 

 補佐官はそれを見て頬を緩めて見つめている。娘は初めて見るそれを物珍しげに見つめていた。それもそのはず、魔界の総数6兆以上とも言われる中で竜戦騎はわずか300名ほどなのだ。竜戦騎しか持っていない竜血晶を間近で見る機会などそうそうあるはずが無いのだ。

 

「さて、そろそろ起こさねば騒ぎに出遅れるというものだな」

 

 ワシは独り言を口にしてから小娘の肩をゆすってみた。

気絶しておる者を起こすのは危険な事に思われるが、グレイテストヒールによる超回復の恩恵で精神状態も回復しておるから心配など無い。

 

「ん……んん……」

 

 まったく、手間のかかる小娘だ。ダークネスに所属しておらんから手荒くも出来ん。ダークネスの隊員ならば問答無用で蹴り起こすものを。

 

 かすかなうめき声と共に小娘が身動ぎをする。そして瞬きをするように目を開き意識を取り戻した。

 

「ん……ここ……は?」

 

「あ、起きたんだね。これで大丈夫」

 

 覚醒した小娘の横から補佐官が安堵の声を漏らす。久しぶりだったのか不安げにしておったか。

 

「えっと、ここは拠点のリビングで……記憶とか大丈夫かな?」

 

「記憶って……み、見える! 目が見えてんぞ! 無くした手もある!」

 

 凄惨だった窮地を脱した反動を小娘は全身を振るわせて確認している。あれだけの大けがをあざ笑う様にかき消すのだから、神の奇跡とでも錯覚しておるやもしれんな。

 

「ミッテルト、自分の事分かるかな?」

 

「ん? ああ、分かるよ。補佐官だっけ? どうもドラゴンと戦う前までの記憶ってぇのがあやふやでさぁ」

 

 ミッテルトと呼ばれた小娘が補佐官の問いかけに気落ちした様子を見せている。

 

「まあ、確かに送り出す前の口調と、今の口調はかなり違うのは間違いないかな」

 

「色々と遭ったしなあ、ちょっちヤバくね?」

 

 ぬうっ! 小娘の口走っておる言語は何語だ!

 

 ワシの目の前で補佐官と小娘が会話を続けておるのだが、どうも端々の言葉が理解出来ん。魔界言語や天界言語、魔人言語とも違うが、かといって人間界のどの言語とも一致せん。日本語に近い事だけは分かるのだが。

 

「まあ、多分だけどあの時の精神的なショックから来てた記憶の混濁から立ち直ったと見て間違いないと思うよ」

 

「あの時……って、ああ、あん時か。そうなってたかも。あん時はヤバすぎたし」

 

 凝視する事しか出来んワシの目の前で2人の会話が続く。まあ補佐官は若者寄りの気質だけに言語の違いにも比較的対応出来るのだろう。

 

 だがワシには解からん!

 

「何はともあれ、道案内役は素奴で構わんのだな?」

 

「えっ? あ、うん、そうだね。そういう事で」

 

 ワシは結論を急ぐように言葉を選び、それを補佐官に確認する。彼女はそれは間違いではないと肯定した。

 

「じゃ、ミッテルト」

 

「あん?」

 

 不意に名を呼ばれ、ミッテルトが呆然としておると、補佐官が行の締めくくりを始めた。

 

「貴方は竜に認められ、晴れて竜戦騎となりました。『翡翠竜が呼び覚ます烈風』の2つ名を胸に、竜を貶める事のない様に貴方の戦いを続けなさい。すべては貴方が胸に秘めた決意のままに」

 

「アザースッ!」

 

 だから貴様は何語を吐いておるのだ!

 

 ワシは小娘が口走る言葉が理解できずに内心で頭を抱えてしまう。だがこれで翔の所に行けるというもの。

 

「ようやくか」

 


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