ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプですm(__)m
ちょっとした緩衝材にと、上げました。
それではどうぞm(__)m


第55話 極秘任務の結果は

 リアスSIDE

 

 私と朱乃は部室を出た後、大きな茶封筒をカバンに入れて魔界に来ていた。

 

 その理由は、時渡さん達2人の調査をし、魔界にとって有益かどうかを判断するための資料を魔王様に届けるため。でも、どうして魔王様は撮った写真を残らず掲載せよと言ったのかしら。

 

 魔王様の執務室の前についた私と朱乃は、ドアをノックして応答を待った。

 

「ふむ、入りたまえ」

 

 扉の向こう側から招き入れる声が聞こえ、私達は扉を開けて入室した。

 

「失礼します、魔王様」

 

「やあ、良く来たね。リアス」

 

 室内に入る私達を、大きな事務机の所から人当たりの良さそうな好青年が迎える。

 

 この青年が私の実の兄にして魔王の一角ルシファーを名乗ることを許された悪魔『サーゼクス・ルシファー』である。

 

「しかし驚いたよ、まさか異世界からの来訪者が君達と接触していたなんてね」

 

「私の下僕候補と接触していたところから始まった縁ではあるのだけれど」

 

 動揺しているだなんて口先だけとしか言えないほどのさわやさかを見せつける兄とどうしたものかと扱いに困っている私の構図が、妙におかしいのか朱乃がクスクスと笑っている。

 

「魔王様、これが例の報告書です」

 

 私は手にしている茶封筒をそのままお兄様に手渡す。それを受け取ったお兄様は礼を言って封筒から中の報告書を取り出した。

 

「こうして彼等の事を調査できるとは思っても見なかったよ。さすがに僕でも接触できるかどうかまでは分からなかったからね……ぶっ!」

 

 お兄様はそう言って報告書のページをめくり、吹いた。

 

 1枚めくった先にある写真と言うと……確か大仏の頭の被り物を被って中腰になって何かを植えてるモノマネの写真だったわね。顔を上げながらだから笑ってしまうのだけれど。

 

 そして次のページに移るとお兄様は頬を引きつらせていたわ。恐らくそこにはネグリジェ姿でボディビルのポーズを取る男の姿の写真があるはずよ、あの大仏様の被り物を被った男の写真が。

 

「……これが異世界の悪魔と天使なのかい?」

 

 お兄様は手渡した資料を眺めながらも複雑な表情をその顔に浮かべていた。私も気持ち的に困っていたから同じ顔をしていたかもしれないわ。

 

「この写真の格好、少しばかりセンスを疑ってしまうのは僕だけかな?」

 

「いいえ、私も困っているのですけど」

 

 お兄様が困った表情で数枚の写真を指差す。そこに映し出されているものは……『大きなガチョウの首』を腰につけたバレエの『プリマドンナ』の衣装を身にまとって『白鳥の湖』を踊るあの2人の姿だった。最後の写真なんて両膝を曲げて両腕で輪を作るポーズなのに、その手がガチョウの首の根元を支えているのだから頭が痛いわ。しかも何気に大仏様と観音様の被り物をしてるし……。

 

 いえ、それ以前にいつの間にそんな小細工をしたのかがまるで分からなかったわ。

 

 内心で頭を抱える私の前ではお兄様が顎に拳を添えて思案している。どうもこれらの写真から何かを読み取ろうとしているのは解かるのだけれど。

 

「リアス、これはどうやら思っている以上の実力者と見て掛かるべきだろうね」

 

「そんなっ!?」

 

「この写真では解かりにくいだろうけど、写真に収める時点で衣服を着替えてポーズまで決めてしまう、隠し撮りであるにも拘らずそれだけの時間を強奪し得る気配察知能力、衣装を手早く着替えるほどの淀みない敏捷性、まして相手に自分達の素性を形として残させない、もしくは愚物として扱わせようとする徹底した隠蔽工作、中々どうして馬鹿に出来ない高水準の能力を持ち合わせているじゃないか」

 

「ですが……」

 

「君の認識さえも出し抜いてこの格好をしてみせる、その能力の高さを君は見間違いと切り捨てられるのかい? やはり写真を全て載せるように言っておいて正解だったね」

 

 お兄様の言葉に私は言葉を失ってしまったわ。うかつにも程があるほどこの写真は事実を語っている。私の認識を凌駕する情報がこの写真の中に隠れていたなんて。

 

「とにかく、この件については僕の方からも調査の手を入れることにしよう。少なくてもリアスの手に余りそうな案件だと分かったからね」

 

 お兄様の思いがけない言葉に絶句してしまった。自分から依頼してきた仕事を取り上げると言うのは酷いわ。でも任せられないと見えてしまったのでしょうね。

 

「魔王様、宜しいでしょうか?」

 

「何だい? 姫島君」

 

 不意に私の横から朱乃が発言権を求めた。それを見てお兄様が許可を出す。

 

「今、この件から外されてしまっては支障が出てしまいますわ。現場判断で動ける余地を戴けませんでしょうか?」

 

 朱乃から出た要望にお兄様は思案に入り込む。私としては恥ずかしながらこのことは考えも点かなかったわ。後で褒めないといけないわね。

 

「ふむ……、確かに彼等が突然に敵対行動を取る可能性がないとは言えなかったね。この件での不測の事態に関しての現場の判断をリアス、君に任せようか。ある程度の損害も言ってもらえれば報告書と交換で補填する用意をとりなしてあげるよ」

 

 ヤッタわ! お兄様はこの件を保留に近い形にしてくれたわ。これで上級悪魔としての私の立場を保てるわ。

 

「事はどうであれ、魔界としても彼等をどう扱うべきか迷っているんだ。情報は大いに越したことはないけど、危険に晒すわけにも行かないだろう。それは分かってくれるね?」

 

「ええ、寛大なお心に感謝いたします」

 

「なら、早く君の下僕達の所に行ってあげなさい。何かしているんだろ?」

 

「はい、分かりましたわ、お兄様」

 


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