資料である原作小説やアニメを熟慮してるはずですが、巧くいかなくて難産してます。
ともあれ、第5話をどうぞ。
「それで、貴方達は何者なのかしら?」
リアスが俺達に疑問符を投げかけてきた。それではお約束を1つ。
「とりあえずナマモノ」
「何となく生き物よね?」
俺とトリーはそれぞれ軽口で冗談を口にする。すると俺達の言葉を冗談と受け取ったのか、氷点下まっしぐらの冷たい視線を向けられてしまった。組織関係は秘匿義務の一環だからこうするしかないんだが。
「ちゃんと、話して貰えないかしら?」
「良し分かった、腹を割ってはなそう!」
そう言って俺は自分のジャケットの前あわせを掴み、おもむろに広げて中からポムンッとハトを飛び立たせた。
「ワァーッ……」
思いもしなかっただろう展開とそのオチに、俺と小柄な少女以外の全員がその場に突っ伏してしまった。
「……思ったほどウケてねえな」
「紙ふぶきが足りなかったからではないかと」
……頭に見事なタンコブをこさえながら俺が呻くと、小柄な少女がそのワケを推測してくれた。
「今度こそキチンと話しなさいよね」
「仕方ねえな」
俺は腕組みして睨んでくるリアスに対して今度は、鶏を放した。
「コケェーッ!」
スゥパァアーンッ!
リアスから思い切りの良い、力のこもったハリセンの一撃をたんこぶの上から受けてしまった俺がいた。
「……チィッ、今度もウケなかったか」
「ウケるとか言う範囲を逸脱している様でしたが」
小柄な少女は冷めた目つきで俺に忠告してくれる。そして手にしているハリセンで自分の肩を叩きながらリアスが問いかけてきた。
「今度は何を出してくれるのかしら? 手品師さん?」
「じゃあ、これで」
俺は秘匿することを諦め、その期待に答えて自分の背中から濡れ羽色の蝙蝠羽を出した。トリーの方は純白の翼をその背中から出す。俺達の翼の形は動物の翼に酷似している。その翼を見て彼女達の衝撃の度合いが強まるのを俺は肌で感じていた。
「俺は悪魔種で竜戦騎の時渡翔。通り名は『陽だまりで遊ぶ破壊者』だ。ヨロシクな」
「私は天使『トリルエル』で竜戦騎のトリー・コロールと申します。通り名は『竜の英知を明かす者』よ、ヨロシクね」
「竜戦騎?」
その場に居る面々が疑わしげに顔をしかめる。
「竜戦騎はドラゴンを1人で制圧した者が賜る称号で、ドラゴンに関した通り名を名乗る事が許されるんだよ」
俺は面食らっている彼女達に出こるだけ解かりやすく説明する。
ドラゴンを1人で制圧する事は無謀に等しい行為だが、成功した者は他の騎士や貴族達から羨望の眼差しを受ける。それもそのはず、俺達の世界でドラゴンは神に次ぐとさえ言われる程の最強種族で有り、少なくても1つの国を悪ふざけで滅ぼせる戦力を有している。そんな種族に1人で立ち向かい、制覇したのなら智であれ武であれ優れていることは明白となる。
俺とトリーはそれぞれドラゴンを制圧し、その力を認められて竜戦騎を名乗る栄誉を賜った。ちなみに俺達の世界で竜戦騎を名乗れる者は総勢で400体。生存確認出来た者だけだと200余りしかいない。俺は武力でドラゴンを倒し、トリーは知恵でドラゴンを圧倒した。
「……ドラゴンを1人で倒すの? 正気を疑う話ね」
俺の説明を聞いてリアスが眉唾と疑う。
「なんなら、試してみる?」
彼女の疑念に対してトリーが挑発混じりに払拭できると公言する。
「そこの馬鹿でも勤まる竜戦騎の実力を知るのも一興ね」
リアスはほくそ笑みながらトリーの挑発に乗ってしまった。やめておけばいらない恥はかかないものを。
「ということで任せたわ、カケカケ」
「誰だよカケカケって。それにお前がやるんじゃなかったのか?」
「こういう手っ取り早いことは貴方に任せると早く終わるからよ」
「知らねえぞ? 何が起こっても」
さてはて、翔はちゃんと戦ってくれるのか?
次回もお楽しみにm(__)m