なんとか書き上げましたので、よろしくお願いしますm(__)m
それではどうぞ
第54話 キョウカイへ突撃
教会へと出撃した俺達は先行するイッセーにすぐに追いついた。もっとも、普通の悪魔の倍以上は足が速い俺達だ、一般の域を抜け出せないイッセーに追いつくぐらいは訳が無い。
「おしっ、追いついた」
「とっ、時渡さん!?」
後ろから俺に肩を叩かれ、イッセーはその足を止めて振り向いた。
よし、ここで一丁煽るか。
「急がないとアーシアが!」
「ああ、そうだ。急がないと教会の神聖な儀式と称して『ヌッチョンヌチョンのれろれろばぁ~』」
「アーシアーッ!」
ゴチンッ!
俺がイッセーの言葉を遮ってほざいた戯言に、彼はべそを書きながらうろたえる。その三文芝居を見たトリーが、そのまま俺に鉄拳制裁を課してくれた。
「いってぇーだろ、トリーっ!」
「こんな時にふざけないの!」
「違う! 本気と書いてマジと読む!」
ズバン!
俺が真顔で反論したら、トリーが速射でタイキックを打ち込んでくれた、この俺に。
そんな俺達に廃教会の前で木場と小猫が先回りで待っていた。これだから土地勘のあるヤツは……。
「……えっと、これは」
「……また変態な事ですか?」
2人の視線の先、イッセーとトリーから少し離れた所で、お尻を突き出して倒れている俺の姿に、2人が引いていた。おケツが痛くて痙攣が止まらねえ。
木場達はリアスの命令で合流したが、話によるとイッセーの動きを止める気は無く、むしろ支援する方向で動くとのことだった。
「……という事なんだよ」
「なるほど」
イッセーは木場の言葉に納得し、理解した素振りを見せる。
「そうなるとあのグレモリーが言っていた『敵地』って言葉も納得だな」
まあ、イッセーの訓練の成果を見るにはうってつけと言えなくもないか。俺とトリーの2人は過剰戦力だし、木場と小猫でイッセーのフォローは十分こなせるだろう。
ゾルを相手にしなければ。
そう、問題はゾルなのだ。こう言うのもなんだが元犯罪者の殺人鬼はかなり危険だ。聞いた話では一流の賞金稼ぎでも尻込みするほど分が悪いらしい。
ダークネスの幹部以上なら1人1人の戦闘力が桁外れなだけに問題はないらしいが、それでも周囲への影響が馬鹿に出来ないと言う。確かに子供のケンカに核弾頭を持ち込むような状況になるのだから、それはそれで問題ではある。
とにかく、どうやってゾルと俺達2人が戦う様に仕向けるか、だな。
「……時渡さん」
「何だ、嗚腹(おなか)ぺコペ子」
ゴキャッ!
俺に声をかけてきた小猫に対して悪ふざけの名前呼び捨てを放ったら、激怒の鉄拳が放たれました。見事な左ストレートです。
「……話があるのです」
「どんな話だ、甘味喰う子」
ドスッ!
今度はコンパクトなモーションでわき腹をえぐられました。
「……とても大事な話です」
「聞かせてもらおうか、甘味喰い別腹」
キィーンッ!
再三に渡ってふざけたら急所蹴りを喰らいました。
「私たちは部長から先輩の手助けを頼まれました、協力してくれませんか?」
小猫の話ではイッセーがアーシアを救出する際の人員として木場と小猫が派遣されたと言う。確かにイッセーだけだったら敗走確定だからこの援軍は見えていた。もっとも、俺たちが居ればイッセーの敗走はないが。
「ならグレモリーに言っとけ。自分を囮にして、姫島を使ってコソコソ隠し撮りするなって」
俺は思わずこの間の鬼ごっこの最中にあった隠し撮りの件を出した。ちょうどリアスを捕まえる直前に別方向からの視線を感じ、シャッターが切られる瞬間に『瞬速』を使って小細工をしたワケだが。
小猫はそれを聞いて開いた口が塞がらなくなったのか呆然としている。
「いろんな衣装で悪ふざけをしたから俺もトリーも満足してたけどな」
「……なぜ隠し撮りがバレたのですか?」
「俺達は1キロ圏内なら気配察知で判る。撮影者が姫島だったのはすぐに判ったしな」
俺は隠し撮りの犯人を簡潔に特定してみせる。あの鬼ごっこの時、リアスを捕まえる瞬間で隠し撮りが出来るのは木場か朱乃しかいないが、木場が動けるわけでもなく、必然的に朱乃が撮影するしかないわけだ。女の方が痛みに対する耐性は強いしな。しかも手加減してたし。
……もっとも、そのせいで終わる時に、トリーがあっちの世界に逃げ込んでしばらく戻ってこなかったのは困った話だったが。
やっぱり、あの衣装で白鳥の湖はダメージがデカ過ぎた様だ。ダチョウみたいな立派な首、付けたモンなぁ。