最近、飼う事になった金魚の世話が大変でして。病気持ち(エラ蓋捲れのコメットやら肉コブの育って無いオランダとか)を引き受けるか?
とにかく、それではどうぞm(__)m
せっかくの小猫の愛くるしいハムスター姿を後世に残せるチャンスを小猫本人に壊された……訳がないのだ。やつが壊したのはダミーのリモコン、本体である記録装置が壊されない限りは着実に記録は保存されていく。しかもリモコンとは無関係である。
「トリー、次に行けるのか?」
俺はそれを確認するためにトリーに声を掛ける。するとあいつははっきりと断言して見せた。
「バッチリ!」
アイツはどうやら組織御用達の監視装置を使っているらしい。
組織御用達の監視装置、それは聞くに堪えない恐るべき機能を携えた装置である。何しろ動力装置が外部からの伝送装置で随時補充され、副司令の最高傑作と言われているETCジャマー、別名エトセトラジャマーによってあらゆる探知システムを騙しきり、挙句には電波変換した映像と音声を拠点にあるパソコンへと送信しているのだ。それ故に使用権限を持つ部署がレッドベレーとシーカーだけとなっている。
その映像の中継装置は俺たちが常日頃に持ち歩いている認識章に埋め込まれた通信機、スカイナビであることは極秘事項である。またスカイナビの電源供給元は次元空間内に設置された次元衛星と抜かりは無い。
「えっと、それではエントリーナンバー2番、黄色と黒で隔てる危険地帯、虎縞模様でシャットアウト。『トラ・ロープ』です……って、うわぁっ!」
「「ぶぅっ!?」」
木場の説明から一転、ステージに躍り出た朱乃の衣装に俺とイッセーが盛大に吹き出した。
いや、吹き出すだろ! 黄色と黒のストライプがまぶしい、しかも前後はへその位置まで開いたスリングショットもどきの大胆カット水着の朱乃の姿はまさに爆裂! 前々から大きいとは思っていたが、あれは間違いなく男を狂わせる危険地帯だ!
「ウフフ、兵藤君には刺激が強すぎるかしら?」
朱乃はそう言って腕を組み、自分の乳房を持ち上げて誇示する。
止めるんだ朱乃! イッセーのHPがボーダーラインだ!
「しっかりしろ! イッセーッ!」
鼻血の出しすぎで生死の境をさまよい出したイッセーに俺は声を掛ける。
「ま……だ、死ねませんよ、時渡さん。俺はハーレムを……」
「そうだぞ! まだハーレムのはの字もなして無いんだろ! アーシアだって入れるハラなんだろ!」
アーシアならあれ以上をしてくれるかも知れないだろ! あの純粋培養なら! 無垢で純粋なあの娘なら!
俺が慌ててイッセーに気付けを施している最中、舞台袖からリアスが飛び出てきた。それも衣装の一部らしい下着姿で。
「「ぶうっ!」」
俺とイッセーはそれを見て鼻血を再び吹き上げる。紅色のビスチェにえぐいほどの角度で切り込まれたタンガ、そこに黒のガーターベルトときては欲情しない方が難しい。零れそうとか言う以前にポッチが見えそうで見えないんだぞ! パンティーよりストッキングを目立たせるなんて犯罪同然だろ!
そしてリアスは朱乃に対して抗議の声を挙げた。
「朱乃! 私のイッセーに何してるのよ」
「あらあら、可愛い後輩とのコミュニケーションですわ」
ああ、俺は今、ランパブに居るのか? イッセー、これがお前の目指すもの片鱗だぞ? 生きてるって素晴らしいだろ?
「……時渡さん、俺……もう死んでも良いっす……」
イッセーが力の無い声で言葉を漏らす。何か遠い目をしているのが妙に怖い感じがするんだが。
彼の言葉を真に受けたのかリアスが彼をその胸に抱きしめながら、意識混濁から掬い上げようと声を張り上げる。
「死んではダメよイッセー、貴方は主である私のために生きるのよ」
「そうだイッセー! コレはまだファッションショーの序盤なんだぞ」
「そうですわよぉ、兵藤君。ファッションショーは始まったばかりなんですよ」
俺はリアスの意見に賛同しながらイッセーに覚醒を促す。しかしいつの間にか朱乃とリアスの二人で彼を胸に抱きしめている所からして、彼が抜け出すのは至難の技かも知れない。
彼には悪いが少しばかり捻っておくかと考え、俺はイッセーに向かって鬼のような一言を囁いた。
「究極のファッションとして、イチジクの葉っぱ一枚だけという『葉っぱ隊』というものがあるそうだ」
「ぶふぅ!?」
俺は嫉妬でもしたのか思わず彼に止めを刺してしまう。うむ、生死判定にまで持ち込めた。
「い、イッセーッ!」
リアスが大量の鼻血を拭いて気絶するイッセーを見て絶叫する。
混乱を収めるために更なる混乱を投げ込む荒業があるのは聞いていたけど、コレは凄いな。やってみて初めてその凄まじい効果が良く分かる。
「時渡さん、何のつもりなの!?」
「は、裸は……ファッションじゃねえ」
俺に詰め寄っては首を締め上げながら問い詰めてくる、鬼の形相のリアスに俺は思わずファッションを語ってしまう。
だがそこに、舞台袖からトリーが駆け寄ってきた。
「カケカケは私のよ! あんな小娘よりカケカケはこっち!」
トリーはどさくさに紛れて自分をアピールしてくる。しかも俺の頭を胸元に引き寄せてしっかり抱きしめてきた。
お、おうっ! おっぱいの感触が顔に! 頬にこりっとしたモンがあたるぅ!
ついでに腹にゴリッとしたモンが……。
ゴリッとしたモン!?
「いやあぁ~っ! ブツ、当てないでぇ~っ!」