ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプです(^^ゞ
イベント前のワンクッションです。
次回はファッションショーをやりますので、ティッシュを用意してお待ち下さい。
えっ?勿論、鼻血拭き用ですが( ̄▽ ̄;)


第49話 組織に関するその昔

補佐官SIDE

 

「ふう……」

 

 とにかくトリーさんが時渡君の所に急行したことで、この拠点にはボク1人になってしまった。でも、寂しいという感じはない。

 

 でも、こういう騒がしい中の何気ない静寂のひと時がウチの部隊なんだなって思う。今じゃ司令として堂々としていないといけないアイツも、副司令と技術者としててんてこ舞いを続けてるアイツも、最初の時はこのぐらい騒がしかったな。

 

 ……今でもすっごく騒がしいけどさ。

 

 ピィー、ピィー、ピィー

 

 不意にリビングに設置されている通信機が異世界にある組織からの呼び出しを告げてきた。ボクはその音を聞いてすぐに通信回線を開いた。

 

『どわはははっ、ってお前だけかよ、ラヴィ』

 

「お前だけかよは酷いぞ、竜」

 

 ボクは通信機に出た司令に対して昔のように名前で呼び合う。そう、司令の名前はまかつりゅうこと魔蠍竜、ボクはラヴィ・スレイリー・魔蠍。

 

『時渡達はどうした?』

 

「あの子達は例の協力者達の所だよ。それでどういう話かな?」

 

 ボクは竜の疑問に答えてから通信の内容に話を切り替える。

 

『ああ、例の転送の件だけどな、準備は出来た。今からそっちに送るから待っててくれ』

 

「了解。でも、案内役が居ないからすぐには動けないよ?」

 

『構いやしねえ。どうせ本件の作戦時間は夜と相場が決まってるんだからよ』

 

 ボクがすぐには作戦行動が出来ないことを告げると竜は構わないと切り捨てた。そういう所は昔とちっとも変わっていない。

 

「それに、ボクは竜羅の行をしてる最中だから、ここから動けないんだぞ?」

 

『そうだったな。あの3人組、使えそうか?』

 

「駆け出しとしてなら使えるぐらいにはなったと思うよ。隊員としてはまだ使えないけど」

 

『そいつは僥倖。竜戦騎の実力でウチの隊員をやれるのは少ないからな。何しろ目立つ存在の竜戦騎じゃ、どう騒がれることやら』

 

 竜はそうぼやいてはため息を付く。

 

「確かにそうだよね。最初は竜と、副司令の貞だけで立ち上げたレッドベレーが、いつの間にか表向きは人材派遣会社スタッフ・ド・RBになってさ」

 

 あの副司令、さそりさだよしこと蠍貞義のあだ名を口にしながらボクは昔を振り返る。それからどうしてそうなったのか分からないけど、唯一神とかいう神様の頂点と全ての世界の存亡を掛けて戦って、気がつけばボクは遠い遠い、異世界の土地にまで来てる。

 

『その挙句に英雄様にまで上り詰めちまった、てか? 俺も皆も苦労したモンだ』

 

 彼の言葉を聴いて、ボクは次に出るだろう台詞を口走ってみた。

 

「『だが後悔は無い!』」

 

 互いに合唱してしまった台詞に、思わず笑いがこみ上げてしまう。

 

「あっはははっ」

 

『……やっぱり笑い合える世界は最高だな』

 

「戦った甲斐はあったね」

 

『まあな。いろんな連中にほだされて傷だらけになってでも勝ち取ったこの世界だ、満足してるぜ?』

 

 竜はニヤリと不敵な笑みを浮かべて豪語してみせる。やっぱり彼はこうでないとダメだね。

 

「それでさ、隊長の到着はいつになるの?」

 

『転送装置の改修が終わったからもうすぐだな』

 

 竜が言うや否や、地下の方から何か音が聞こえてきた。どうやら転送装置が人員の到着を知らせているみたい。

 

「到着したみたいだよ」

 

『なら行って来い。回線はこのままでいいぜ。どうせ、アイツと打ち合わせだ』

 

「オーライ」

 

 ボクは竜が迎えに行けと言うので席を立ち、地下へと向かった。

 

 

 

 地下に到着した僕が見たのは、がっしりとした体格を持つ初老の男と、そのそばに寄り添う中学生ぐらいの年齢の金髪少女だった。

 

「ほう、補佐官が出迎えとはな。どうやら人員が足りぬ様だな」

 

「仕方ないですよ、お父さん。開設してからまだ1月も経ってない調査拠点なんだから」

 

 初老の男がお父さんと呼ぶ少女にたしなめられている。でもこの2人は間違いなく義理でも親子なのだ。

 

「ようこそ、異世界の調査拠点へ」

 

「うむ。悪いが通信装置の場所まで案内を頼む」

 

「はいはい」

 

 ボクはやってきたばかりの2人を連れてリビングへと案内することにした。

 

 

 

『おう、無事に着いたみてぇだな』

 

「転送中に消えれば冥府の阿呆どももせいせいする、か」

 

 リビングに到着した僕達を通信機越しに迎えた竜に、隊長が毒を吐く。

 

『そう言うなよ、そこのポーラちゃんが可哀想だぜ?』

 

「貴様に言われるのも小癪な話よ」

 

「お父さん! これから大事な打ち合わせなんでしょ!」

 

 顔を合わせると何気に始まる2人の皮肉にポーラと呼ばれた少女が咎める。

 

「ほら、竜さんもそんな事言わないの! 私達はゾルって悪魔を倒すことが目的なんですよね?」

 

『ああ、でもよ……良いのか? テメェの昔の手下だろ?』

 

 話を切り出した竜は何故か隊長を心配する。危惧すべき相手に同情でもしてるんだろうか。

 

「構わん。ゾルはジャクラウス時代に切り捨てた愚物。手に掛けても思うものなど無い」

 

『なら結構。そこはテメェの勝手だからな、俺は関知しねえ』

 

「なら、話はそこまで、となるな」

 

 2人はそう言って話を終わらせてしまった。普通なら装備とか注意事項とかを話し合うモンなんだけど。

 

「えっと……」

 

『心配するなよ、ポーラちゃん。俺達は昔からこれだけで打ち合わせを終わらせてきたんだからな』

 

「うむ。面倒なところは全て最初の仕事の時に済ませたのでな」

 

 2人は基本的な打ち合わせを最初の時に終わらせたと断言する。最初って確か何年も前の話だよね?

 

 それ以前に相手の居場所とかの話はどうなんだよ!

 

『相手の位置とかは案内役として最初に竜戦騎になったヤツにやらせろ。治療が必要ならラヴィの総合治癒で十分だろ』

 

「それはそうだけどさ」

 

『なら状況が変化するまで待機だ。時渡達が戦闘介入するには時間だってあるだろ』

 

 全部を成り行きに任せるつもりか、不良司令官は。

 

「でもさ、ゾルってヤツのことは」

 

『悪いが司法庁で処刑を打ち出した。俺達はそれに従うしか無い』

 

「それが妥当ではあるな。ヤツがのうのうと犯罪美学を汚す様を、これ以上は見過ごせん」

 

 言葉こそ違うけど、さっきの打ち合わせそのままの会話がそこにあった。

 

 こうしてボク達は待機状態に突入した。

 


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