ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプですm(__)m遅くなってすみませんですm(__)m
それではどうぞm(__)m


第41話 そして進展していく

 話を続けていたゾルがふと、壁につけられた大時計を見て呟いた。

 

「そろそろ出来る頃だな」

 

 その声の後に続くかのように、ドアが開かれ、中から料理の皿を乗せたお盆を手にしたアーシアが現れた。

 

「皆さん、お食事が出来ました」

 

「ほぅ、これは美味しそうですね」

 

 変わり身早っ!

 

 アーシアが出てきた事で、先ほどまでのゾルの不敵な態度がなりを潜め、人当たりの良い神父が姿を現す。俺はその変わり身の早さに舌を巻いた。

 

「アーシアさん、運が良かったですね。こうして恩人に遭えるということは」

 

「普段の行いってやつかねぇ、ケケッ」

 

 無言は落ち着かないのか、ゾルがアーシアに話題を振り、フリードが相槌を打つ。するとアーシアは少し照れた表情を見せてきた。

 

「そうですね。主の思し召しだと思います」

 

 アーシアがそう言った時、ドアからのん気な声をあげて女性が入ってきた。

 

「あーお腹空いたわ、アーシア、今日の夕飯は何なの?」

 

 ドアを開けて入ってきた女性は、忘れもしない俺を馬鹿扱いした女、レイナーレだった。

 

「「あ~ッ!!」」

 

 俺とレイナーレは異口同音に叫び、驚きを露にする。だが、ゾルがそれを制した。

 

「騒がしいですよ、2人とも」

 

「すみません」

 

「悪かったわよ」

 

 俺とレイナーレはそれぞれ謝罪し、レイナーレは空いてる席に着く。

 

 

 

 まあ、なんやかんやありましてお食事会は賑やかな内に終わって俺は帰路に付いてます。

 

 詳細を述べよ、って? やだな、レイナーレと俺の口ゲンカから始まってアーシアがオロオロしだし、挙句にフリードが煽ってきたものだからゾルが『いい加減にしなさい』と一喝してお開きでございます。

 

 

 という成り行きを経てこうして帰路に付いているわけだ。

 

 そして何事も無く拠点に戻った俺は玄関を開けて『ただいま』と声を掛ける。そして俺はそこで動きが止まった。

 

 玄関の先に人1人が楽に入れる段ボール箱があり、その中でつぶらな瞳を向けて座っているトリーの姿があったからだ。しかもご丁寧にダンボール箱の外側には『ご飯下さい』と文字が書かれている。

 

「……何の嫌がらせだ?」

 

「言う事は無いのかしら?」

 

 俺が何の真似か問い詰めると、トリーは言葉を要求してくる。

 

「……夕飯前に、連絡しなくてゴメンなさい」

 

「よろしい」

 

 俺が連絡を忘れたことを謝罪するとトリーはあっさりと許してくれた。しかしそこで疑問が残る。

 

「誰が夕飯を作ったんだ?」

 

「私に決まってるでしょ。補佐官に作らせないんだから、鍛錬で疲れている3人に作らせるわけにも行かないし」

 

 トリーはそう言っていそいそと段ボール箱を片付け始める。入ったまま持ち上げ、トテトテと歩き出す。

 

「せめて折りたたんで運べよ、手を抜かずに」

 

「いいじゃない。呆れた事をしてきた貴方への罰よ」

 

「それで、あの電話は皆で聞いてたのか?」

 

「一応、補佐官にも聞いてもらったわ。ダークネスの隊長どころか隊員の事まで知りすぎているところからして、ジャクラウスの元構成員じゃないか、だって」

 

「ジャクラウスの元構成員?」

 

「多すぎて名簿なんて作られてないって話だけどね。ダークネスの方に聞けば、名前だけでも知ってるやつが出るかもしれないって」

 

 トリーの話ではどうやらゾルはジャクラウスというダークネスの隊長が結成した犯罪組織の末端構成員らしいという。トリーがゾルの身辺調査を知ったのが組織が作られた後のことだから、その前に崩壊したジャクラウスのことを知らなくても無理はない。俺だって隊長からゾルのことを聞いたことは一度だって無いのだから。

 

「それでどうする? ダークネスに連絡を入れるか?」

 

「別に要らないわよ。事態が好転する要素なんて無いんだから」

 

 俺の問いかけに対してトリーは不要と答えてきた。まあ、数年の空白があるのなら、情報を聞くのも今更かも知れない。

 

「補佐官の話じゃ、そんな事しなくても連中だったら捕獲か処理のどっちかしかしない、ってさ」

 

「問題にならねえか、それ」

 

「そういう仕事が回されるんでしょ? ダークネスって部隊は」

 

 俺が顔をしかめるとトリーは肩を竦めてやるせない表情を浮かべる。そういうしているうちにリビングへと到着した。

 

「あ、時渡君、お帰りなさい」

 

 洗い物を終えた後なのか、エプロンで手を拭いている補佐官が俺に声をかけてきた。

 

「電話の内容は聞かせてもらったよ。それで僕から言える事は、相手はすでに居ない悪魔である以上、作戦に大きな変更は無い。これは副司令の決断だよ」

 

 補佐官は俺に向かって作戦の変更は無いといってきた。要するにゾルの事に私情を挟むなと釘を刺したのだろう。

 

「そうですか、了解です」

 

 俺は補佐官に対して敬礼をして状況を飲み込む。

 

「こう言うのも何だけどね、あのゾルってヤツ、本音を隠してたよ。ダークネスを恨んでるのは間違いないね」

 

「えっ? そんな素振りは無かったですよ」

 

「甘いね。言葉の節々のニュアンスが違ってた。少なくても親友を語る口調じゃあ無いね。それにジャクラウスの落日、それを知ってるって事は間違いなくジャクラウスの末端構成員で最後の日に参戦できなかったヤツだよ」

 

 補佐官の話に俺は目が点になった。

 

「詳しくは司令と副司令が知ってるんだけど、あの当時で流刑処分は居なかった。ダークネスの隊長達が消滅刑を選んで嘆願したことで、最高でも終身刑で収まっているって事。だからゾルは何らかの状況でジャクラウスの落日には参戦していなかった。それが結論だね」

 

「ジャクラウスを追放された可能性が高い、って事ですか?」

 

「勿論。副司令の話だと、当時の構成員の刑罰は最低でも100年の懲役刑、当時から執行しててもまだ60年以上残ってる計算だって」

 

「でもダークネスで刑期を短縮してる可能性は」

 

「無いよ。だってまだ組織設立から1度もダークネスからの除隊手続きは来てないよ。その手の書類は全部ボクを通すことになってるからね」

 

 補佐官はゾルがダークネスを通じて社会復帰した可能性を残らず潰してくれた。彼女は組織設立からの古株であり、司令達とは長い付き合いだという。

 

 ゾルは一体何を考えているんだ?

 


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