ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプですm(__)m
この話でトリーが天使の奇跡から逃げて何してたか、それが判明するかも知れないですf(^^;
それではどうぞm(__)m


第39話 黒い神父と白い聖女と

 オカルト研究部部室から方法の体で逃げ帰る俺は、途中であの教会が気になり、そこへ足を向けることにした。念のために仲間に連絡してはみたが。

 

「頑張ってね」

 

 補佐官のこの一言で片付けられてしまったのだ。

 

「誰か来てくれれば心強かったんだけどな」

 

 俺は愚痴を零すが来ない者は仕方が無い。まあ堕天使3人の鍛錬があるから来れないのは分かっていたが。

 

「確かこの辺りで合ってたはず」

 

 俺はイッセーと一緒にアーシアを送った時の記憶を頼りに廃教会へ向かう。廃教会というのは、あの後俺が1人で聞き込み調査をしたところ、あの教会はだいぶ前に廃教会になっているという事をスーパーに来た主婦3人から聞いたのだ。

 

 しかし廃教会に女子高生ぐらいのシスターが1人赴任した、しかも後であの黒い神父もその教会に来ているとしたら、もしかして……。

 

「18金、いや18禁でお縛り、いやお芝居な展開が待っているのか?」

 

 思わず脳裏にシスター服のはだけたアーシアが縄で縛られて俯いている姿を想像してしまった。だが同時に副司令がそこに怒り出す姿も想像してしまった。

 

「……あの方は緊縛に厳しいから、縛り方がなってないって怒るんだろうな」

 

 そう、縄で縛られているアーシアが可哀想だと言わずにアーシアを縛る縄が可哀想だと言いかねない。

 

 俺は想像の中に入り込んでいた為か、周囲の変化に気づくのが遅れてしまった。

 

「おや、こんな所に何か御用ですかな?」

 

 背後から俺に声を掛けてくる何者かが現れた。俺はそれに気づかされて我に返った。

 

「えっ、ああ、ただの散歩ですよ」

 

「そうでしたか、失礼。この辺りには教会がある程度なので、人が近づく事があまり無いものでしてね、気になったのですよ」

 

 俺が振り返ると男は気さくな笑みを浮かべる。強面ながらなかなかのイケメンである。俺よりも身長が高く、肩幅もがっしりしている。ちょっとしたプロレスラーと言ってもソレで通りそうな感じだ。

 

「そうでしたか。失礼ですが貴方はその教会の関係者なのですか?」

 

「ええ、あの教会には最近赴任したばかりの若輩者ですよ」

 

 買い物帰りなのか、男の手には食材の入ったビニール袋が提げられている。宗教の宗派によっては戒律で食材に制限があるらしいが、肉のパックがあるので彼等の宗教ではそういった制限は無いようだ。

 

「そうでしたか。ご苦労様です」

 

「その言葉遣いは違いますよ、目上の者に対してはお疲れ様です、となるのですよ」

 

「あ、ゾルさん、お帰りなさいませ」

 

「あーっ! テメェはあの時の!」

 

 いつの間にか教会の入り口近くまで来ていたらしく、教会の方からアーシア達の声が聞こえて来た。しかも後からフリードの声が続いてきた。

 

「おや、2人とも、彼とは知り合いなのかね」

 

「はい、教会に赴任する時に案内してもらいました」

 

「あんだと! コイツは悪魔なんですぜ!」

 

 アーシアの屈託の無い笑顔とは裏腹にフリードは敵意剥き出しで俺を威嚇してくる。

 

 だがゾルと呼ばれた男はそれを諌めだした。

 

「フリード神父、そういう貴賎は良くないぞ。悪魔だからというのは偏見だ。この私とて悪魔なのだからね」

 

 気さくな笑みを浮かべながら口を尖らせるゾルだが、俺の目にはその瞳が笑っていないことを見つけていた。

 

「それに今の君では彼には勝てない。それだけの技量差が有ることも判らない様では修行が足りないようだね」

 

「くっそぉ……」

 

 フリードはゾルに咎められて悔しがる。

 

 

「ところで君、積もる話がありそうだ。食事でもどうかね」

 

 唐突ながらの食事の誘うに俺は戸惑った。敵と分かっていながらの話だとすれば恐ろしい事この上ない。

 

「それは良いですね、あの時のお礼もかねていかがですか? 時渡さん」

 

 アーシアが無邪気に誘ってくれるが、敵の罠としか思えない事態だ。本来なら逃げるべき話である。

 

 俺は少し考えた後、ポケットの中に常時忍ばせている録音機の録音ボタンを手探りでオンにし、拠点への通信もオンにすると彼等に返事をした。

 

「いいでしょう、お誘い、喜んでお受けします」

 

「それはありがたい。楽しんでいってください」

 

 俺の返答にゾルは笑みを浮かべて歓迎してくれる。アーシアも花が咲いたような笑顔を浮かべるが、フリードは不満げにしている。

 

 何はともあれ、俺はこれから敵地潜入の作戦行動に突入することになってしまった。

 

「ご安心を。貴方に危害を加えるつもりなど有りませんから。……ゴミくず同然のテメェが俺様に勝てるかよ」

 

 2人に聞こえないように配慮された小さな声でゾルが俺に話しかけてきた。その声音に俺は背筋に薄ら寒いものを感じてしまった。

 

 マズイ、相手にならない。

 

 俺は本能が逃げ出そうと身体を動かしてくるのを必死で抑えることしかできない。確かにゾルの戦闘力は推測でも俺が10人は居ないと勝ち目が見えない。今、この場でそれが分かってしまった。

 

「そうですね、アーシアさん。済みませんがお食事の用意をお願いできますか? 私たちは食堂の方へ向かいますので」

 

 ゾルに食事の用意を頼まれたアーシアは気軽にはい、と返事をして教会の中へと消える。それを目でしっかりと確かめたゾルは俺に向かって唐突な質問を投げてきた。

 

「おい、テメェ、昨日の大騒ぎを知ってるか?」

 

「はあっ!?」

 

「はあっ!? じゃねえ! 昨日の夜中、強姦魔共が集団で警察に保護されたって話だ!」

 

 保護ですか!? 強姦は犯罪だから逮捕じゃないのか!?

 


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