鍋料理ギャグができましたo(^-^o)(o^-^)o
それではどうぞm(__)m
あの騒動によって話が中断し、俺達は通信を終えて夕食を作ることにした。
「というわけで、補佐官、夕食をお願いします」
「はい?」
俺の頼みを補佐官は首をかしげてすっとぼける。
「副司令権限で貴方をこき使えという命令がきてるんですよ。諦めてください」
「ガヒィ~ン!」
「あ、あの、お手伝いしましょうか?」
「うにゅ、アリガト」
しょげる補佐官を見かねたのかカラワーナが手伝いを申し出る。
この程度で済むんだから副司令もまだ優しいところだ。司令相手なら副司令が何をするか分からない。あの時ですら丁寧にボコボコにしてたんだから。
「おや、どうしたんすか? 妙な空気になってるすけど」
リビングにようやくというか、ミッテルトとトリーがやってきた。
「なんか補佐官がえらくしょげてたんだけど、カケカケは何か知らない?」
「ん? ああ、副司令から強引な転送を処罰されてな。こっちでこき使ってくれってさ」
トリーの質問に俺が補佐官の待遇で答えると、トリーが硬直してしまった。
「ど、どうしたんだよ、お前」
「天使の奇跡が……コレはソレじゃ無いのよ」
俺が近づいて肩をゆすると、トリーが独り言をボソボソとしゃべりだす。天使の奇跡って何だよ。
「あの方に台所を握らせちゃダメよ! って、今、台所に行ったのよね!?」
「トリー、どうしたんだよお前!」
「とにかくあの方を台所から離さないと私達の危機よ!」
「女の手料理、男なら憧れるもんだろ」
「そんなんじゃないのよ、ああん、もうっ!」
俺はトリーをなだめようとするがトリーはそうじゃないと慌てている。何がコイツをそうまでさせるのか、何か興味が沸いてきた。
慌てるトリーを押さえ込みながら数分後、補佐官が土鍋を手に持って戻ってきた。
「出来たよ~っ」
「ちいぃっ、手遅れか! 私はこれから出かけるから夕食はいらないわ」
トリーはそう言って何も持たずに猛ダッシュで逃走する。なんてヤローだよ、女の手料理を前にして逃げるなんざ。
俺は妙に腑に落ちないものを感じながらリビングへと向かう補佐官の後を追いかけた。
あれ? 手伝ったカラワーナは何処だ?
俺はこの時、トリーが大慌てで遁走した理由を後で思い知るなど微塵も考えていなかった。まして視覚と味覚の同時多発テロを味わうなどとは。
リビングのテーブルの上には鍋を中心に夕食のセットが広げられていた。俺に補佐官にドーナシークにミッテルトと……カラワーナの分が無いな。
「補佐官、カラワーナの分が無いんですけど」
俺が補佐官に不足分のことを言うと、なぜか彼女はそっぽを向いた。
「大丈夫だよ、後で用意するから」
「なぜ、こっちを見て話さないんですか補佐官」
この補佐官の行動で俺は彼女が何かを隠していることだけは分かった。しかし何を隠しているのかまでは理解できなかった。
そして俺達全員が席に座り、鍋をつつく事になった。俺はネギが好き。
鍋からネギを取って口に放り込む。ドーナシークもネギを取っていた。
「あんむ……むうっ!?」
口の中に広がる、ネギから広がる豆腐のような淡白な味わい……っ!?
「なんだよこのネギ、豆腐みたいな味がするぞ」
「何だと!? こっちのネギはエビのまろやかな味がするんだが」
何ですと!?
「こ、この春菊、お肉の味がするっすぅ~っ!」
ミッテルトが春菊を口からはみ出させながら意外な味をわめきだす。
どんな仕掛けだ!? この鍋にどんな仕掛けが施されているんだ!?
俺達3人は鍋が展開する味と中身の総入れ替え戦に、我が目と味覚を翻弄されてしまった。食材はおそらく俺が昨日買い込んでおいた冷蔵庫のもの、鍋だって俺が初日に買っておいた普通の土鍋、
「水か!? 水がおかしいのか!?」
「台所に飲料水の保存は無いから、ただの水道水のはずだ」
「料理に魔力は感じられないっすよ」
俺達はこの騒動の原因を知るべく対策会議を始めるが答えが出てこない。
「補佐官、何をしたんですか!? 吐いて下さい」
「吐くも何も、普通に料理しただけだよ、野菜を切って鍋に入れて煮込んだだけ」
それでどうしてこうなる!?
のん気な顔で答える補佐官に俺達3人がその場に崩れ落ちた。
俺達はそれから、補佐官に対して台所禁止令を発布し、騒動が二度と起きないように対策を練った。そうトリーが言っていた『天使の奇跡』が起きないようにと願って。
ちなみに鍋から大根を取り出して保管しているのは俺だけの秘密。