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第3話 駒王学園オカルト研究部
夕方近くになり、俺はリアス・グレモリーとかいうあの少女が指定した駒王学園という一貫校の校門にやってきた。するとそこには学校の制服らしいブレザーを着た男子生徒と、赤いベレー帽を被った女性が談笑していた。
「なるほどね、意外と体格が良さそうに見えたから声を掛けたんだけど、剣術をしてるのね」
「ええ、そういうあなたは、その身のこなしからして何か武術を嗜んでいるのでしょうか」
2人のうち、女性の顔に見覚えがあったのを思い出し、俺は声を掛けた。
「あんだよ、もう1人の調査員ってのはお前か?」
俺のあきれた声が耳に届いたのか、彼女は振り返って俺の顔を見るや否や怒鳴りだした。
「何がお前かよ! あたしにはトリー・コロールって名前が有るのよ! ちゃんと名前を呼びなさい!」
「……えっと、そろそろ案内したいのですが、良いですか?」
すでに空気となっていた少年が俺たちに確認の声を掛けてきた。その声を聞いて移動しようとした俺が転び、その後に続いた強烈なビンタの音の乱舞の詳細は後記に任せる。
「ちょっと、私はそんな顔の脹れ上がった人を招待した覚えは無いわよ」
「俺だって好きでこんな顔をしてるわけじゃねえよ」
まったく、たかだか校門ですっころんだぐらいで、ここまでボコボコにすることは無いだろうが。
「……転びながら私の服を剥ぎ取った男の台詞とは思えないわね」
「ここまでされても骨に問題が無い、頑丈な自分に驚いてるよ、俺は」
トリーの呆れた声に対して俺も呆れてみる。踏みつけ制裁で仕置きするかよ、おかげでたんこぶの上にアオタンが出来たじゃねえか。
確かに躓いた拍子に側に居たトリーの上着の裾を左手で掴んで撥ね上げ、撥ね上げた拍子にブラのベルトに指がかかってずり上げてしまい、地面に手をつこうとばかりに突き出した右手にスカートのベルトが下着ごと引っかかって一気にずり落ちたわけだから、不幸な事故だろうが。
「それに、あれは不幸なラッキースケベじゃんかよ、それで許せよ」
「何で? あそこまで計画的犯行にしか思えない行動を、どうして不幸な偶然だと笑えるのか、あたしが訊きたいわよ」
俺が冤罪だと豪語する目の前でトリーが速攻で切り捨てる。
「とにかく、あっちからの追加はお前って事で良いんだな?」
「そういう事にしといて。紙も持ってるから」
トリーは俺の確認に対して証拠もあると肯定してみせる。この場で言う『紙』というのは隠語で、辞令もしくは指令書のことを指す。それに毎回振り回されているのが平社員の定め。
「……そちらの内緒話は終わったのかしら?」
「ああ、すまねえな」
リアスの冷めた問い掛けに俺は悪びれる気も無い返事をする。
「まずは兵頭一誠君、私達はあなたを歓迎するわ、悪魔としてね」
バァサッ!
リアスの言葉に続くかのごとく、その場に居る一誠を除いた学生組全員がその背中から黒い皮翼を広げる。それを見た一誠は愕然とした表情で言葉を失っているが、俺達は自分達が知る形とは異なる皮翼に興味を持った
「悪魔がこうも露骨に人前に姿を見せるとはねえ」
「駄々漏れ同然の魔力は感じてはいたけど」
俺はとにかく、初対面のトリーが彼女達の姿を見て驚く気配を見せないでいる。もっとも、気配察知や空間掌握のスキル持ちである彼女に正体を隠すなど出来ない事だが。
「あ、アンタら、あれを見て驚かないのかよ」
「少年、私達2人はあの程度をあの程度と語れる非日常を送っているのよ。おふざけの過ぎるホモだって見てるんだから驚かないわ」
トリーはそう言ってなぜか俺に顔を向けてきた。
「何で俺を見る。そんでもって少年は真に受けてんじゃねえよ」
「冗談のつもりで言ったのに、まさかもう……」
少年が絶句しているのを見て悪い予感に襲われたのか、トリーは俺につめより、胸倉を掴んできた。
「まっ、待て、ぐるじいぃ……」
俺は息が詰まる感覚に襲われながらも必死に抵抗し、酸素を求める。俺はアンデットではないから空気は必須だ。死んでしまう。
「あの少年を食べちゃったの!? ウマウマしちゃったの!?」
「するか! 俺はホモじゃねえ!」
今回から出た新キャラ、トリーもチートキャラですが、翔の相棒らしくやっていきますのでよろしくお願いしますm(__)m