ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプです。
UAも5000を数えるくらいに(^^;)(;^^)
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それではどうぞm(__)m


第33話 戦う準備と覚悟を始めろ

 主だった物を整理した俺達は楽観視は出来ないものの、最悪を免れた気配を感じていた。

 

「次に対処すべきはドーナシークとカラワーナの治療だな。必要な物資はそろそろ着てもいいはずだ」

 

 俺は時計を見て一時間近くが経過しているのを確認し、物資の搬入をトリーに任せる。物資さえ届けばドーナシークの欠損した右腕の再生が出来る。カラワーナの回復も細胞構築剤によって劇的に上がるはずだ。

 

 だがそこで俺は1つ忘れていたことを思い出した。

 

「そうだ、本部からデータが来るんだったな。パソコンパソコン」

 

 俺は通信機の横においているノートパソコンを取り出し、ネット回線を繋ぐ。するとメールが1件来ていると画面に表示されたのでそのメールをダウンロードした。

 

「何をしてるんすか?」

 

「んっ、データのダウンロード。ゾルって男のデータが無けりゃ、警戒する相手が分からないからな」

 

 ダウンロードが終わったのか、画面の表示がダウンロード中からデータ内容の表示に切り替わった。

 

 そしてデータの中に有ったゾルの手配画像を見た瞬間、ミッテルトを中心にその場の空気が凍りついた。

 

「……なっ!? こっ、コレってアイツじゃないすか!」

 

「アイツ?」

 

「レイナーレが連れて来たヤツッスよ!」

 

 ミッテルトが騒いでいるところからして嘘を言っているとは思えない。だとすると、何が目的でゾルはレイナーレに接近したのか。

 

「本当なのか?」

 

「間違いないっす! この左肩の刺青、まったく同じっす!」

 

 俺はミッテルトが指差すゾルの左肩に注目し、刺青の形を確認する。

 

「……逆さにした両刃のナイフに、その後ろで槍が交差してる? そして下の方にはツタか? 植物がうねってるな」

 

 この形と物の配置からして、何らかの傭兵部隊か、兵隊のマークなのは読み取れる。もう少しこの画像から情報がほしいところだが。

 

「あの、カケカケさん? で良いんすか?」

 

「はい、カケカケさんですよ。何でしょう」

 

 不意にカケカケと言い出すから思わず営業スマイルを出してしまった。

 

「その刺青で何か分かるんすか?」

 

「その筋の傭兵や特殊部隊隊員なんかは、プロ意識を持つ意味でこうした刺青を彫る風習があるね。どこかの部族では戦士と認められた証としてこういう紋章を彫るなんて事もあるわけだ」

 

「ということはソイツがどこかに所属していた過去がある、ってわけっすか!?」

 

 俺の説明を聞いてミッテルトが戦闘経験の有無を察したようだ。

 

「それを調べるために見ていたわけだ。槍もナイフも特徴が無いから難しいか?」

 

 俺はそれ以上の詮索をやめ、本題の資料を見ることにした。

 

「ふむ、エイメリカの特殊部隊出身で元中佐、そこからアフリクに渡って現地の政治的活動家の団体に身を寄せてた……と」

 

「活動家の団体っすかぁ~っ、世界は広いっすね」

 

「これ、テロリストって事だぞ?」

 

 ゾルの経歴に感心していたミッテルトに俺は真実を突きつけると、彼女は開いた口が塞がらなかった。

 

「テロリストとしての活動は……と、特に明記されてないか。うまく隠れたな。相当な腕利きだって事がこれで確定したな」

 

 俺はゾルの経歴を見て内心で頭を抱えてしまう。元特殊部隊隊員が仕事を求めるとしたら、半分近くは傭兵かテロリストとなるらしい。またアフリクの政治的活動家の団体はほぼ全部が武装団体と言っていいぐらい、その国の政治は悪い。まあ、悪魔だから仕方ない話だが。

 

「テロリストって事はマジヤバな話じゃないすか!」

 

「だから本部が増援を送るって言ってるんだ。それもウチでトップクラスの猛者を選んで」

 

「トップクラスって言っても……」

 

「元死神職から元大臣、元女詐欺師に現役格闘家、女傭兵と挙句には元犯罪国家国王まで何でもござれな逸材ぞろいだ。最悪を回避するだけの切り札はあるさ」

 

 俺はミッテルトの心配する声に対して明るい話題を提供する。そう、ダークネスは派手にやりすぎたために犯罪者に落ちぶれた集団なのだ。

 

「……どういう組織なんすか、アンタんトコは」

 

「楽しい事が大好きな何でも屋」

 

 ジト目で見据えてくるミッテルトの質問に俺は簡潔に答えてみる。

 

「はぁ、これでニューハーフまでいるんすから恐ろしいっす」

 

「ああ、アイツは新性類じゃなくて両性類な」

 

「えっ?」

 

「それと同時に天使だ、あれで」

 

「……言葉もないっすよ」

 

 あんなのが現役天使だと知らされて、ミッテルトは自分が何なのか分からなくなってきたらしい。

 

「堕天したから堕天使なんすけど、何で堕天したんすかねえ、アタシ」

 

 堕落して堕天した事についてミッテルトが自己嫌悪し始める。本人にしか分からないような話だから俺には何とも言えないけどな。

 

「アンタ等と一緒に居たら、天使に戻れるっすかねえ」

 

「天界が受け入れてくれるなら戻れるだろうが、無理だな」

 

「そうっすよね」

 

「……俺達の世界なら今のお前でも天界に戻れるぞ、その翼も真っ白になって」

 

 俺は、俺達の世界の天界が今では平和協定によって門は開きっぱなし、天使の黒い翼もその原因である堕天因子の除去方法を確立させている事をもらす。

 

 余りにも世界の違う言葉にミッテルトが呆気に取られている。うん、その顔も可愛い。彼女ぐらいの美貌なら可愛い方が俺は好きだ。

 

「……へっ?」

 

「司令と交渉して今回の件が終わったら手立てを打てないか話しておく。ああ見えてウチの連中は大抵が擁護派だ、幸せに出来るなら手を尽くしてくれる」

 

 実際、俺も司令達によって犯罪者としての生活を終わらせることが出来たから、ミッテルト達の事もやってくれるだろう。

 

 いや、司令と副司令なら大見得切って絶対にやってみせる。だって堕天因子の存在を推測したのが司令で、それを確証して特効薬を作ったのがその当時に乗せられたという副司令だから。




(登場人物紹介)

 司令

 スタッフ・ド・RBの頂点に君臨する悪魔。面白いことには目が無い快楽主義者だが、その一方で他人の不幸にズカズカと入り込んでちゃぶ台返しと逆転劇をする困った男。しかも竜戦騎。

称号

魔界の百戦将軍 五大竜を抱きしめる勇気 絶望を駆逐するする理不尽

 副司令

 スタッフ・ド・RBのNO,2にして司令の左腕。組織の影働きの首魁でもある元死神職。目の前の不幸に対して容赦の無い男。しかも竜戦騎。

称号

冥府の審判者 邪竜を喰らいし者 絶望を粉砕する暴力

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