ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプですm(__)m
何とか助かったミッテルト達。命の危機とシリアスも無事に峠を越えました。
それではどうぞm(__)m


第31話 堕天使を勧誘します

 司令は下げていた頭を上げ、これからのことを話し始めた。

 

『それで、君はこれからどうする?話からして君達は少なくても元の仲間の所には帰れないだろ』

 

「それどころか勝手な行動を起こしたことで、帰ったら拘束されて牢屋行きっす」

 

『なら時渡、ほとぼりが冷めるまでそこの3人を治療と称して保護しろ。怪我人を放り出す医者はいねえからな』

 

「俺は医者じゃねえ」

 

『ならお前の持ってる医師免許は紙切れか?』

 

 ふふん、と鼻を鳴らして勝ち誇る司令。だが俺は逆転劇の台本を持っている。今こそその台本どおりの展開に持ち込む時だ。

 

「司令、そっちの世界で取った医師免許はこっちの世界では紙切れですよ。スーパー何たら扱いです」

 

『ぐはあっ!』

 

 思わなかった反撃だったのか、司令はその場でもんどりうって倒れこむ。

 

 何をどう言おうが、この世界での登録記録が存在しない以上、こちらの世界ではあちらで所得したどんな免許も資格も嘘に代わる。これが異次元という世界の持つ絶対法則だ。

 

『時渡、今のは良い切り返しだったぜ。見事だ』

 

 テーブルを支えにして何とか立ち上がろうと司令は頑張っている。だが俺はそこに止めを打ち込みたくて仕方が無い。

 

「司令、オマケですけど、こっちの世界じゃスタッフ・ド・RBは影も形も無いって話なんですから。おかげで拠点の購入に詐欺をやるハメになりましたよ」

 

『おふぅ……』

 

 俺はこちらの世界に組織が存在しない可能性を示唆すると、司令は再び苦悶の表情を浮かべて画面から消える。

 

 良し、司令は轟沈した。

 

 俺はその勝利をかみ締めるべく、サムズアップを出して満面の笑みを浮かべる。

 

「なんかウチの総督に似てる気がするっす、あの司令って人」

 

「あんなのが何人も居たら面倒だろ。適当に間引いてゴミに出せよ」

 

「新芽じゃないんすから」

 

 ミッテルトは俺が司令を雑に扱うことに顔を引きつらせていた。

 

「……んんっ、なに?」

 

 こんな時にようやくトリーが目を覚ました。仕方ないか、患者を2人も抱えての処置だったから疲れてたんだろう。

 

「オハヨウゴザイマス」

 

 パァーンッ!

 

 俺が優しく、トリーの顔のそばで寝起きの挨拶をしてやると、あいつは顔を赤らめてそばに在った金属のトレイを引っつかんで俺の顔を横殴りに引っぱたきやがった。

 

 司令を轟沈させた俺が、轟沈しました。

 

 

 

「……ん~っ、ご飯作るぅ~っ」

 

 まだ寝ぼけているのか間延びした声でトリーがそう言うと、台所へと向かう。

 

「寝ぼけて指、切るんじゃねえぞ?」

 

「ウインナーの中に有ったらゴメンして」

 

 俺の注意に対してトリーがとぼけたことを抜かしてくる。それだけの事が言えるなら心配はないか。

 

「いつもこんな感じの朝を迎えるんすか?」

 

 引きつった笑みを浮かべるミッテルトだが、こんな朝はハッキリ言って珍しい。

 

「いつもはもっとマシなんだ」

 

『そうだな。皆、調理師免許を持ってるから、指を切る阿呆は居ない』

 

 通信機から司令の声が聞こえたので見てみると、回線が未だに開きっぱなしだった。

 

『もののついでな話だが、ミッテルトか。ウチの組織で働かないか?』

 

「えっ?」

 

『どうせ君達を保護するんだ、ついでに働いてもらえると助かるんだ。無論、働いた分の給金は出すし、当面は訓練部隊チック所属で時渡の部下だ』

 

 司令は俺を無視してミッテルトを勧誘する。訓練部隊は確か名前だけのぺ-パー部隊だったな。なぜそれをするのか、少し考えたら答えが出てきた。これからそれを確認する。

 

「司令、引渡しが面倒なんですが」

 

『俺も手続きが面倒くさいから渡さなくて済むようにしてるところだ』

 

「やっぱりか、コノヤロウ」

 

 司令の、面倒ごとから逃げきる姿勢に俺は呆れた。

 

『それと話にあった男の件だが、調書を取ってくれ。こっちの方でちょっとした事が起きて、副司令が神界に出張ってるんだ。そいつと関係が有るかも知れねえ』

 

「了解です。何か分かったら通信してください」

 

『良し分かった。お前のおねしょが分かったら連絡するぞ。どわははは!』

 

 ブツンッ!

 

 俺は司令に悪ふざけに激怒して、通信を強制終了させる。するとそれを見ていたミッテルトが大わらわに慌て出した。

 

「いっ、いいんすか? 上司なのに」

 

「いいんだ。副司令から悪さが過ぎるなら諌めて構わないと言われてるんだ」

 

 俺は副司令から言われている通り、聞くに堪えない話を強制的に打ち切っただけだ。

 

 それから俺はふとしたことを思い出し、リアスにメールで連絡を入れた。『重態の堕天使を拾ったので、悪いが1週間分の鍛錬はそっちで頼む』と。

 




(小説のメモ帳)

 医療部隊ドック

 医療に関するさまざまな分野で影から貢献する部隊。新薬の開発や難易度の高い手術の執刀、果ては精神疾患に対する高度な治療まで暗躍する分野は際限が無い。隊員によっては危険物取り扱い免許甲種を持つ者も居る。また放射線取扱い主任者免状を持つ隊員も少なからず居る。

 訓練部隊チック

 この部隊は訓練所に入所できない事情を持つ隊員候補が所属する部隊であり、いわゆる間に合わせの所属先である。なおチックは英語で『ひよこ』という意味を持つ。当然、環境を整えてから部隊ごと訓練所に送られる

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