ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプですm(__)m 
ミッテルト達は助かるのか?翔達は助けることができるのか?
それではどうぞm(__)m


第30話 堕天使合流

 俺達は傷だらけの三人を何とか抱え込むと、拠点へと瞬間移動で一気に飛んだ。

 

「状況は最悪だ。ありったけの治療を施すぞ」

 

「了解。点滴を揃えてからドーナシークを先頭に順次治療するわ」

 

 俺の言葉にトリーが治療の順番を即決し、点滴用の指示架を物置から引っ張り出す。

 

「念のため上位治癒の術式を出してくれ。ドーナシークの腕は一旦塞いで後から再生する」

 

「了解。カラワーナは止血後、すぐに縫合に入るわ」

 

 にわかに慌しく、戦場の様相を見せる拠点で俺達は必死の思いで三人を治療していく。

 

 魔力で傷を塞ぎたいが回復に魔力を注がないと危険なほどの重態だ。傷は針で縫い上げるしかない。

 

 ドーナシークは俺が、トリーは残りの二人を担当し、賢明の処置を施していく。ドーナシークの怪我は欠損だけでなく、複雑骨折まで見つかった。

 

「どうやったらここまでの怪我をするんだ。限界まで抗生物質を入れないと」

 

「ホントにどうして、カラワーナの小腸に破裂が見つかったわ」

 

 俺達は本部への連絡も忘れて治療に没頭する。全ての治療に区切りが付いたのは、時計の針が深夜を通り過ぎた頃だった。

 

 

 

 翌日、俺を起こしたのは通信機の呼び出し音だった。

 

 俺はだるい身体を起こして通信機のスイッチを入れて回線を開く。

 

『どわはは、はああっ!?』

 

 開口一番に笑う司令だが、その口が驚きで開いたままになっていた。そりゃそうだろう。今のリビングは患者が3人して簡易ベッドの上で寝ているし、トリーはソファに突っ伏すように寝ているし。俺に至っては髪もぼさぼさ、寝ぼけ眼で応対している有様だ。

 

『こいつはどういう事態だよ!』

 

「すみません司令、昨夜に負傷者の緊急手術をしたものでして」

 

 俺は驚く司令に対して、昨日の出来事を説明する。

 

『なるほどな、欠損まで出たか。良し分かった。必要な治療薬の補充と追加を医療部隊ドックから引っ張り出して送ってやる。欠損部位の治療に付いては効果の出てる細胞構築剤を用意するから、そっちで肝細胞のマッピングとボーン構成をやってくれ。そのための機材は……ああ、そっちには無いだろうからこっちから送る』

 

 流石は司令。必要な物資を問答無用に羅列して送りつけると断言してくれた。

 

 医療部隊ドック、医療に関する研究開発から末期患者の手術まであらゆる医療分野の根底に潜んでいると言う部隊で、トリーは調査能力に秀でてなければそこに送られる運命だったとか。

 

『それで当面は凌げるのか? 必要なら人員も今のうちに送るぞ?』

 

「当面? ですか?」

 

『ああ、今回の転送はそこの患者のせいで大規模転送になるんだ。それこそトラック1つで済めばいいぐらいに』

 

「絶対に嘘だ」

 

『再生治療に必要な培養槽は人一人が楽に入る大きさになるんだが?』

 

「ごめんなさい」

 

『とにかく救える命を救った、それは誇っていいぞ。なに、ウチは慈善団体だ、治療費なんざお人好し保険価格でも儲かるぐらいだ』

 

「そんな慈善団体、何処にもねえよ

 

『新薬の臨床実験と新薬の特許を転がしてると言っても?』

 

 

「ごめんなさい」

 

 俺は司令の言うことにいちいち突っ込んでみせるが、見事な返り討ちで打ち落とされてしまう。

 

『まあ、他に言える事は……』

 

 画面の向こうの司令が言葉を続けずになぜか指で俺の後ろを指差す。

 

 不思議に思った俺は後ろを振り返ると、簡易ベッドの上で身体を起こすミッテルトの姿があった。

 

「ミッテルト、寝てないとダメだろ」

 

 俺はミッテルトに駆け寄り、その肩を押してベッドに寝かせる。

 

「……すまないっす。ウチ等のことに巻き込んだみたいで」

 

『そこのお嬢さん、詳しい話を聞かせてもらえるかい?』

 

 司令はミッテルトが何か事情を抱えていると見たのか、話してほしいと言ってきた。

 

「実は何日か前にレイナーレが1人の男を拾ってきてからおかしくなったっす。男はうちらより強くて全然歯が立たなかったっす。そして神器の事を聞いた男は、その持ち主から神器を抜き出せと言ってレイナーレをその気にさせたっすよ」

 

「なるほど、その男に付いては要注意か」

 

『なにはともあれ、これだけは言わせてくれ』

 

 司令は俺達を遮って何かを言おうとその表情を引き締めた。

 

『そこに居る二人を、ウチの二人に渡すまで助けてくれてありがとう。君のおかげで助かる命を救うことが出来た』

 

 司令がそう言って深々と頭を下げる。それを見たミッテルトは堪えきれずに大粒の涙を浮かべては枕元をぬらしていく。

 

 組織が理念として掲げる命の保護、魂の救出を彼女がしたことに司令は頭を下げて感謝していた。

 


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