ようやく鬼ごっこが終わりです。
次回は待望の聖女が降臨しますのでよろしくお願いしますm(__)m
それではどうぞm(__)m
「ちょっと待てよトリーっ!」
「んっ?」
「さっきの凄い話だなぁ、の後にこれはねえだろ!
「私だって嫌よ! こんなファッションのフの字も無い着ぐるみなんてのは!」
ボケるのはとにかくとしても、おっぱい大好きドラゴン、いやおっぱいドラゴンは酷いと思うぞ。
「どういうことなんだよ、これは」
「イッセーの魂がこの構図を押したのよ。私のせいじゃないわ!」
トリーが珍しくその顔に汗を浮かべながら取り乱している。理解の域を超えると思考がおかしくなるらしいな。
「わ、分かった。分かったから。それを早く済ませて次に掛かろう」
「……うん」
マズイ! ここまで素直な状態のトリーは本当に危険だ。この事はコイツから忘れさせよう。
だが、これがイッセーの力の源への接触だったかも知れない。それを知るのは後の話。
「まさかイッセーまで捕まるなんて思わなかったわ」
リアスは親指の爪を噛みながら不測の事態に頭を悩ませる。
今、リアスは校門側、校庭の端にいる。細かいところまでは見えないが、トリーによってイッセー達がオモチャにされている光景を目の当たりにしてしまったところだ。
「あの先輩は自業自得です。それよりもまだ40分も残ってます」
リアスと行動を共にしている小猫は校舎の時計を見ながら残り時間をリアスに告げる。
万能選手相手に何処まで逃げられるのか、未知数の事態に直面して主としての質を問われたリアスは、困惑の渦中に沈んでいた。
そしてそんな2人を俺は校庭から見つめていた。
「さっさと終わらせて反省会をするのが優しさか?」
「そうかもね」
俺の呟きにトリーがあいまいに答える。別に答えを求めていた言葉ではないからこれで良い。
リアスと小猫の位置をしっかりと確認してから俺はおもむろに変装を始める。体中の関節をゴキゴキ言わせて体格を小柄にし、余った皮膚を胸元に寄せたり分散させたりして少女体型を作る。そして変装用の化粧を施してカツラを被れば小猫の出来上がり。
「……カケカケ、貴方の人知を超えた変装術にも磨きが掛かったわね」
「はい、日頃の修練の賜物です」
トリーの賞賛に俺は小猫の声で答える。そして一気に小猫との距離をつめて接近した。
「えっ?」
思わぬ接近だったのか、呆気に取られた小猫に対して俺はそのまま彼女の腕に腕を絡め、そのままコブラツイストへと移行した。
「……これはうかつでした」
小猫の口を腕で隠しながら俺が呟く。その声でリアスがパニックに陥った。
「こ、小猫!?」
「はい、つっかまえたぁ♪」
現場の硬直を利用してトリーがリアスを後ろから抱きしめる。その加減は恋人締めだった、と俺が気づいた次の瞬間。
ズバンッ!
トリーによるタイキックがリアスの尻を襲った。
「これで今回の訓練は終了するけど、おのおのしっかりと反省して次への努力を始めること」
残り時間を30分も残し、伝説の鬼ごっこは終わりを迎え、皆は部室に戻った。
当然ながらお仕置きのあの後、小猫は猫耳制服アイドル風に仕立てられ、リアスは紅ビキニ戦士風に仕立てられてしまった。
「……なんて屈辱!」
「これはコスプレと思えは問題ではないかと」
リアスは思いっきり歯噛みして悔しがり、小猫は幾分甘んじで耐えている様であった。
そしてその後ろでは、生きてて良かったとため息を漏らすトリーのとろけた姿があった。
もちろん、グレモリー眷属一同はタイキックの痛みのせいで椅子に座れず、テーブルん突っ伏す形で休憩している。おかげで俺が紅茶を入れる羽目になってしまった。
タイキックはやられると背骨や膝にまで響くんだよなぁ。力が入らないから痛みが中々引かないし。
「これでリアスは自分の甘さが仲間を殺すと分かっただろう。この先、主としてやっていくなら無駄な甘さはやめるか控えるべきだ」
「正論だけに反論も出来ないわね」
「お前がそうしなければ姫島たちが報われないんだよ。犠牲者を作れとは言わないが、犠牲を無駄にするなとだけは言うぞ」
俺はリアスに向かって部下の使い方の1つを説く。
「……先輩、その格好はどう考えてもセクハラです」
小猫は隣に居るイッセーの着ぐるみを睨みながら呟く。
「ですよねーっ」
イッセーは力なく答える。まあ、おっぱいドラゴンは酷いよな。
でもこれでリアス達グレモリー陣営の基礎鍛錬の方向性は見えてきたから良しとしておくか。
「……今日は素敵な一日だったわ、最高♪」
トリー、今日の仕事は終わりにして良いから、こっちの世界に戻ってこい。