遅れてすみませんですm(__)m
しかし、やれることをやりました。それではどうぞm(__)m
木場という尊い仲間を失って逃げ延びたリアス達4人、しかしまだ逃走時間は残り55分と残酷なまでに長い。
「祐斗が捕まるなんて!」
「逃げないとマズいっすよ、部長!」
うろたえているリアスにイッセーが声を掛ける。
「トリー、俺は追っかけるけど……おおうっ!?」
振り返って声を掛けようとした時、そこには貴族さながらな王子様ルックの木場と、大作を作り上げた満足感に歓喜しているトリーの姿があった。
「うん、満足♪」
ファッションが絡むと恐ろしい事をするやつだよ、コイツは。白をベースに水色の線を入れて、金糸銀糸で刺繍が施されてやがる。コスプレなら白馬を要求されそうだな、これは。
とりあえず、朱乃はというと。
「林の近くに戻れば居なくなってますわよね」
1度探した場所はしばらく探さない。その法則を利用して安全地帯に避難したつもりでいる様だ。俺はそれを再び木の上から見つめている。
そしてソロソロと気配を消しながら近づいて、コソッと彼女の耳元でささやいてあげた。
「復習は、大事なのであ~る」
「ひっ!?」
朱乃は悲鳴を上げて飛び退くが、その着地地点に俺が居て彼女をお姫様抱っこでお迎えしてあげる。
「姫島ゲェ~トォ」
「いやああああぁぁぁ~っ!」
「今の声は朱乃!?」
リアスは林の方を見ながら朱乃の悲鳴を聞きつける。
「……やはり2人は難敵です」
そばに居る小猫が俺達2人を問題視してくれる。だがその視線の先、校庭の中央にはお尻を高く上げて突っ伏している木場の姿がある。しかもそこへタイキック処理済の朱乃を抱えながら歩いていく俺と、鼻歌交じりでその後を付いて歩くアンミラ制服を抱えたトリーの姿もあった。
「くぅ~っ、あの2人……」
「部長、ここは危険です」
朱乃を確保されて悔しがるリアスを小猫が引っ張る。
この時点で時間は10分を経過したところだった。
それでイッセーの方はというと。
「参ったな。部長達とはぐれちまった」
体育館そばまで猛ダッシュを敢行して逃げたイッセーが途方にくれていた。
イッセー担当のトリーは今、確保した朱乃の着せ替えをしているために、俺が狩りに来ている。そう、今の俺は彼の来そうな所に先回りしていた。コスプレという単語にひらめきを得て、今の俺は女子高生に変装している。
おし、目標は100メートル先。ヤツは気づいてない。レッツ・ゴーッ!
「せんぱぁ~い」
とすっ。
俺は小走りに近づいていき、そのままイッセーの胸元へと飛び込んだ。
「なんだよ、いきなぁアーっ!?」
「イッセーをゲェ~トッ」
女子高生の俺が顔を上げ、イッセーに俺だと認識させると目が飛び出そうなほどに驚いていた。
イッセーにお仕置きのタイキックをねじ込み、彼を抱えてから俺はトリーの居る校庭の真ん中へと向かった。
「トリーっ……って、おおうっ!?」
俺が見た光景は、ビザールの香しい香り漂う女王様と化した、気絶したままの朱乃と、自分の仕事に半信半疑なのか首をかしげたままのトリーがそこに居た。
「トリー、アンミラはどうしたんだよ!」
「あっ、カケカケ。魂って恐ろしいわ」
俺の言葉にトリーは戦慄を覚えた表情で俺に訴えてきた。
「はぁ? どういうこった?」
「この子が中から訴えてくるのよ、このビザールだって」
「はぁ? お前、やらかしすぎて茹ったのかよ」
トリーが自分のした事の正当性を訴えてくるが、俺にはいまいち理解できない。遺伝子がどうとか、ビザールがどうだの言われても、ファッションの世界は他所の畑ですから。
「……カリエル様のあの言葉が今になって理解できたわ。『その者にとって真に合致する物は、神でさえ否定できない』って言葉が。私のファッションセンスはまだ到達してないのね」
トリーは独り言で自分はまた極致に至っていないと呟く。あいつが口にしていた『カリエル』という名前には俺は覚えが無い。拠点に帰ったら誰かに訊くとしよう。
「まあ、とにかく、イッセーを確保したから頼む」
「オーケェイ。この坊やはどうしましょう」
俺は気絶したままのイッセーをトリーに預け、その味付けの一切を任せる。
この時点で18分が経過したところだ。イッセーに意外と時間を掛けたもんだな、反省事項か。
俺はこの後に控えているリアスと小猫の捕獲に意識を向け、トリーに話しかけようとした。
「じゃあ、俺わあぁぁ~っ!」
俺が見たものは、胸に大きなおっぱいを抱える赤いドラゴンの着ぐるみと、そこに押し込まれているイッセーの姿だった。驚きすぎて心臓が痛いぞ。