状況確認したらUA400越えの事態になってたので、続きをどうぞ。
「アンタは誰だ?」
「無駄に使える時間は無いはずよ。違うかしら?」
「そりゃそうだ」
不意に出現した女子高校生らしい制服姿の美少女にたしなめられながらも俺は植込みから抜け出して少年を肩に担ぐ。
「何処に運べば良いんだ?」
「ここからそう遠くない所にこの子の家があるわ。そこにしましょう」
「なら、案内を頼む」
俺は美少女の提案に賛同して道案内を依頼する。すると彼女はそれを承諾し、一路彼に家へと担ぎ込むことになった。
「それで、どうするんだ?」
「ここに私の駒があるから、それで転生を試してみるわ」
美少女は何処からとも無くチェスの駒を取り出し、俺に見せ付けてくる。一種の魔道具なのかその駒は確かに魔力を帯びている。
「他種族への転生手段まであるのか。驚きだな」
「他種族って、これは悪魔にしか転生出来ないものよ」
俺の感嘆の念に対して呆れた声を出す少女。しかし転生のための魔道具があるというのは驚きだ。俺の世界ではそんな便利グッズ、存在しないのだから。
「出来れば解析して生産してみたいな」
「どうやって作るのかは私にも分からないのよ。魔王様が作るものだから」
ふむ、魔王か。この世界に魔王が居るということは俺の世界と似た魔界がある、ということか。
考え始める俺の目の前で、少女は手にした駒を少年の胸の上に置く。すると駒が吸い込まれるように胸の中へを入っていった。しかしそれ以上の変化は無く、変化が現れたのは同じ駒を8個使った後だった。
翌朝、ベッドの上、俺の横で少年が目を覚ました。
「うう……ん」
「起きたか?」
「えっ?」
俺が声をかけた瞬間、同じベッドで寝ていた者同士がその顔を合わせ、少年が盛大に驚き転げ落ちた。
「だから言ったでしょ? 貴方の方がよっぽど驚くって」
「女とやる前によりによって男とやっちまったのか、俺!?」
「ふむ」
俺は盛大にうろたえている少年の肩に手を置いて、軽く目を閉じた。
「良かった」
「どぉうぅええーっ!?」
わざと勘違いさせる方向で言葉を漏らす俺に、少年は驚きの様をさらに激しくする。その素晴らしいほどの効果は俺が引いてしまうほど|覿面<<てきめん>>だった。
しかも少年は全裸だったのが一番の要素として、ものを語っているように見える。
「お、俺、裸!? しかも男が隣で寝てた!?」
「だから言ったでしょ? 貴方の方がよっぽど驚くって」
いまだに動揺している彼に対して美少女が同情するようにため息を吐いている。俺は今の少年に対して自分の声音を変えて、さらに性質の悪い追い討ちを叩き込む。
「今更照れないで。恥ずかしいじゃない」
「どうして私の声!?」
俺の声音を聴いた美少女が目を剥いて猛抗議する。それもその筈、俺の口から出た声は彼女の声と酷似しているからだ。組織の仕事柄、危険調査ともなると女性の声や変装の必要に迫られることがままある。そのために訓練でこういった技術を習得させられるのである。
「女なら構わないのでしょう?」
「それとこれとは話が違うわよ。ふざけないでちょうだい!」
俺の悪ふざけに彼女は激昂して怒鳴り散らす。その怒鳴り声によって少年は我に返り、俺たちに問いかけてきた。
「えっと、先輩? どういうことなんでしょうか、これって」
「御免なさいね。この事を整理するための時間をくれるかしら? 放課後に使いの者を遣すから」
少年の言葉に少女は一言詫びを入れる。確かにこの混沌の中では説明など出来たモンじゃないだろう。
「そっ、それは構わないですけど」
「本当に御免なさいね」
「どわあぁーっ!」
俺はそれに便乗し、彼女の声で詫びを入れては少年のほほに手を添える。すると彼はその行動に怖気を感じたのか即座に後ろに飛び退った。そしてそれを見た少女の右腕が即座に振り上げられた。
「いい加減にしなさい!」
ズッパァンッ!
俺の後頭部に少女が手にしたハリセンが炸裂した。
今回のネタは大丈夫かと心配しながら、次回をお楽しみにm(__)m