爆笑必死だろう後編です。
それではどうぞm(__)m
「それではまず魔法少女の基本部分のおさらいを始めます。とりあえず魔法生物が出てきます、魔法の国とかから」
イッセーの切り出しに俺が俺は呆気に取られた。俺の知る魔法少女は少女の居る世界に危機が迫る所からなんだけど。
「そんで魔法少女は魔法のステッキとか、魔法の小道具で変身するんだけど」
イッセーは切り出しとして自分の知る魔法少女の変身関係を口にする。
「その辺りは俺達と同じだな」
俺とトリーはその認識が同じものと分かり安堵する。しかし、大問題はその後だった。
「男が魔法で魔法少女ぬの服を着せられたりするなんてのがあるのは知ってるけどな」
「「えっ!?」」
俺の言葉に目を剥いて引いてるイッセーとミルたんの姿があった。
世界観がズレた!?
「そこで引くって何!? まさか『魔法のメリケンサック』や『魔法の粉砕バット』で敵を滅多打ちにする展開はないのか!?」
「マジでそんなのあるんすか?」
俺の訴えに対してイッセーが愕然とした態度で問い返す。ヤバい! のっけからちぐはぐした!
「ってことは何か! 必殺技の『幻の右』とか『ヤクザキック』とか言うのもないのか!」
「何処の武闘派なんですかそれ!」
俺の言葉にイッセーが猛烈な否定を掛けてくれる。
ああ、ダメだ。俺の知ってる魔法少女はここには居ねえ……。
俺は思わずがっくりと項垂れてしまう。俺の持つ魔法少女の知識の伝道者は副司令なんだけど。恨むぞ、副司令。
「こ、ここまで違うのは大変なんだにょ! 魔法少女をちゃんと学んでほしいにょ!」
俺と自分達の魔法少女感が余りにも違うことに危機感を覚えたのか、ミルたんによって急遽、魔法少女勉強会という名のブルーレイ鑑賞会が催された。
「何なの? このカオスな空間は」
魔法少女勉強会に入り込めないトリーはその場に置いてけぼりにされている。
「さ、さあ……」
イッセーもトリーと同じ立場に甘んじて話し相手になっていた。
物語は序盤、魔法生物によって魔法の存在を明かされ、魔法少女としての運命を知らされる少女の所に入った。
「俺の知るものだと、魔法のステッキがうねうね動いては、詐欺同然の方法で主人公の女の子を魔法少女にするんだが」
「何処の世界の魔法協会すか、それ」
呟く俺に対して突っ込むイッセーだが、俺はそれを無視して画面を見つめる。しして魔法のステッキを渡された少女は、魔法生物に言われるがままに変身を始める。
「ふむ、変身シーンでは星がきらめいたりシャボン玉が飛んだりとあざと可愛いが強調されてるな」
「これが魔法少女の変身なんだにょ」
「俺の知る変身シーンは炎がうなるわ、雷が轟くわの大迫力なんだが」
「何処の日朝なんすか」
イッセーが俺の呟きを聞いて突っ込みを入れてくる。
変身を終えた少女は襲い来る敵に魔法のステッキを振りかざし、そこからビームを打ち放つ。
「魔法少女はこんな風に敵を倒すんだにょ」
「この手の類だと、槍ぐらい長い杖を腰ダメに構えて、容赦ない砲撃で打ち落とすんだけどな」
「どこの魔砲少女っすか、それ」
なんだかんだと言い合いながら、物語を一本見終えて、俺の中に新たな魔法少女感が生まれた。なるほど、可愛いは正義なんだな。
「ありがとう! これで俺の世界観に新しい1ページが刻まれた」
「本当に良かったにょ」
「本当に良かったっす!」
俺達3人は、魔法少女に付いてその知識を深めたことを喜び、固い握手を交わした。
そして深夜……。
『……ボツ……』
通信機越しに報告書を後ろに放り投げる嫌そうな顔の司令の姿が、僅か3秒だけ流れた。
同時刻、イッセーの報告に頭を抱えるリアスの姿が在ったらしいが、俺は知らない。
そしてこの件は黒歴史として、闇に葬られた。チクショウ……。