ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプですm(__)m
連投後編です。それではどうぞm(__)m


番外編第1章 第4話 重い話ですがあれで良かったはずだ

「俺とトリーが出会ったのは5年前の組織の訓練所だった。最初はお互いに気にも留めなかったな、天使と悪魔だから」

 

 トリーのヤツが俺にこだわる様になったのは確かにあの時の事件だった。訓練所での事件。

 

 

 

 5年前の当時、すでに竜戦騎の俺は基礎訓練課程を終え、あと数ヶ月で部隊に配置されるところに来ていた。だがその頃、変り種という名目で一人の天使が訓練所に姿を現した。身なりは男、だが男にしてはやや発達している大胸筋が目を引く天使だった。

 

 だが天使はその当時の訓練所では一人しか居なかったためか、孤立するのも早かった。他には俺を含めて数人の悪魔が訓練所で生活しているのだ。

 

 そしてある日、訓練所で事件が起きた。

 

「何をするのですか! 止めてください!」

 

「うるせえな! テメェみてえな坊やが本物の男かどうか調べてやろうってんだよ!」

 

 強姦といえばそれまでだが、加害者被害者共に、男だったのが妙な話だ。その時俺はたまたまトイレを済ませた後の、偶然に通りかかっただけだった。

 

「何をしてるんだ?」

 

 現場を見てしまった俺はその場に居合わせた面々に向かって間抜けな質問を投げてしまった。そして襲っている男が丁寧にも答えてくれた。

 

「決まってるだろうが、こいつが野郎かどうか確かめようってんだ。テメェはすっこんでろやぁ!」

 

 男が俺に向かって恫喝するが、そんなものが当時から竜戦騎だった俺に効く訳がない。俺は冷めた目つきで男に確認した。

 

「分かってるのかよ、そいつは犯罪だぞ?」

 

「犯罪が怖くてこの組織に入れるかよ。それにこの組織に入ればほとんどの事がお目溢しだって聞いたぜ?」

 

 組織の上層部が関係機関との密接な繋がりを作ってきてるという話は俺も聞いている。その為にある部隊では非合法の作戦の実行を担っているという噺さえあると言うほどだ。

男はそれに目を付けて潜り込もうとしているらしい。

 

 俺はその言葉を聴いて、俺の良心がこれからやることの全てを許してくれた。

 

 俺の右手が男の肩を掴んで引き剥がした、男のその体から。

 

 次に右ひざを男の腹に当て、そのまま力任せに蹴り飛ばそうとして失敗、男の横腹を大きくえぐった。

 

「へっ?」

 

「もろいな。ちゃんと鍛えてるのかよ」

 

 男が自分の体に起きたことが信じられないのか呆気にとられ、呆然としている。

 

 俺の脳裏にはあの時の、幼い頃の、目の前の戦火に対して泣くことしか出来なかった俺が浮かんでいた。そう、力なきものは虐げられる、そんな悔しい時代を。

 

「てっ、てててっ、てめぇ!?」

 

「黙ってろよ、ボケが」

 

 男が俺の攻撃力の酷さに声を挙げようとしたところを、許さずに開かれたその顎を右手で毟り取った。

 

 そして更に蹂躙しようと腕を上げたとき、背後から腕を掴まれた。

 

「はい、そこまでだ」

 

 その当時は相手が誰なのか分からなかったが、後から聞いた話では司令が他の者からの通報で現場に駆けつけ、俺を取り押さえたとの事だった。

 

「そんな事が……」

 

「あの事件の爪痕なのか、トリーは男の外見を捨てて強さを求めだして、竜戦騎の事を自力で調べ上げて修行した。俺は本来なら特殊部隊レッドベレーに配属のはずが、逮捕されて収監、そして司法庁所属の刑務所から強制労働の形で強襲部隊ダークネスに配属された。あの当時の顛末は以上だな」

 

 俺は戦慄するリアスを無視して話を終わらせた。

 

「でもそれだとおかしな事が幾つか有るわよ。どうして強制労働先が強襲部隊ダークネスなのか、トリーさんの事を助けるために戦ったのに何故捕まったのか」

 

「リアスの言い分も分かるが、ウチの副司令が元司法庁の関係者で、その伝からの司法取引だそうだ。俺が捕まったのは過剰防衛、つまりはやりすぎたって事だよ」

 

 俺はリアスの疑問に答え、チラリとトリーを見る。あいつはこの話を聞いているはずだが、心を閉ざして聞き流しているようだった。

 

「あっ、後、トリーさんを襲った連中はどうなったのよ」

 

「そいつらは司令官の権限で司法庁に強制送還。何でも組織に来る前に執行猶予付きの判決が出てたって話だ。副司令からの情報だから確かだよ」

 

「……ということはその方達も貴方と同じダークネスに?」

 

「いや、ダークネスの隊長が引取りを拒否したんだと。下種な愚か者に貸してやる軒は無いとか何とか」

 

「じゃあ、それだけの実力があるなら、そのダークネスでも主力だったんじゃないの?」

 

「まさか! 俺は主力どころか下っ端レベルの強さだったぜ。素手で相手を殺せない、潰せないヤツはまだまだ甘いって事でさ」

 

 俺はリアスの確認に答えながら、ダークネスの隊長の言葉が脳裏に浮かんでは消える。『誇りなき男どもと貴様を同列と扱う愚はどうしても我慢ならん』『強くある事が強さではない、己は己、と誇り高くある事こそが強さなのだ』と、あの厳しい眼差しが俺に教えてくれた。

 

「凄い方だったんですね、その方は」

 

「犯罪史上に名を刻んだ一大犯罪国家の国王だったって話だしな。俺には雲の上のお方だよ」

 

 俺の言葉に、話を振った木場の口がひくついたままだった。

 

「まぁ、ダークネスの連中はとにかく、司令達については何かの機会に会う事があるかも知れないな」

 

 俺はそう言って大まかに話を切り上げた。

 

「あっと、注文がまだのヤツ、喰えるときに喰うのが強くなる基本だぞ」

 

「あんな話の後でご飯なんて食べられないわよ! 鬼っ!」

 




これで番外編第1章は終了ですm(__)m
次回もお楽しみにm(__)m

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