ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプですm(__)m
10話まで頑張れたのは読んでくださる皆さんのおかげですm(__)mありがとうございます。
それではどうぞm(__)m


第10話 余計な仕事は増やさない

 イッセー達との早朝トレーニングを終え、俺達は拠点で朝食を取る。

 

「ふうん、最近はこっちも物騒なのね」

 

 トリーの呟きを耳にした俺はコイツの視線の先を眼で追う。そこには昨日、次元通信で使ったTVがあり、その画面は海外の話題を映していた。

『日本時間で昨夜未明、ウツカロック国の第4王女が行方不明になったとの知らせが入り、警察当局が全力を挙げて捜索に乗り出したとの事です。詳しい情報が入り次第……』

 

「王女様、かぁ」

 

「世が世なら、世も末ってか」

 

 他所の国の話というだけに、トリーも俺ものん気にしていた。テーブルの上にあるマーガリンの登場を待つただのトーストとミニトマトときゅうりをベースにした野菜サラダ。ホカホカと湯気を立てるコーンスープが鎮座している。

 

「俺達が関係するような話じゃないさ。食っちまえよ」

 

「そうね。調査員に出来ることはその場に居合わせないと出来ないことだらけだものね」

 

 トリーは俺に言われて納得したのかTVから視線を放して食事に取り掛かる。

 

「そういうこった。俺達は後からその事の真実を調べ上げて真実を突きつける。そういう仕事だ」

 

 俺は仕事をこなすように食事を続ける。嫌な事も好きな事も調査員をすると否でも真実を見なければならなくなる。昔からそうだったし、これからもそうだろう。

 

 食事を終え、俺達は二手に分かれた。俺は街中を散策しながら地脈の情報収集を。トリーはその情報を追時受け取りながら解析をする、という仕事だ。こうした二人三脚作業は調査範囲が広いほど効率的で、精度はやや落ちるものの、座標を指定してのものであれば十分な成果を打ち出すことが出来る。

 

 でも、地味でつまらない作業なのは仕方ない。飽きてくると襲ってくる眠気と欠伸を我慢しながら作業をしているうちに夕方になった。

 

「んっ? 妙な気配が1つ?」

 

 俺はふと気配を感じて思わず呟いてしまった。通信機が繋がったままだからもしかしたらトリーが聞き取ったかもしれない。

 

 気配の主は男の堕天使らしく、少しばかり荒々しい雰囲気と力強さが入り混じっている。その気配が今、こちらに向かっていい速さで近づいてきている。

 

「参ったな、接触は5分も無いぞ。ってあれ? トリーの気配も近づいてきてる」

 

 目を細めて危機感を感じていた俺だが、次の瞬間に同僚の気配を感じて呆気に取られてしまった。何しに来るんだろうか、と。

 

「ほう、昨日とは違う悪魔の気配を感じて来てみれば、またもやはぐれに遇えるとはなぁ」

 

 やってきた相手、トレンチコートを身に纏ったガタイの良さそうな黒翼の男が呆れた様に呟いている。

 

 だが、彼は犠牲者に早代わりしてしまった、後から来たトリーに羽交い絞めにされて。

 

「カケカケーッ、このおじ様素敵よぉ~っ! 貰っちゃって良いかしら?」

 

「なっ、何なんだ、この女は!? はっ、離れん!」

 

 男は取り付いているトリーを剥がそうと体を捻るが簡単に剥がれるほど相手は甘くない。それどころか凄く嬉しそうにしながらその抵抗をあしらっていく。

 

「ああん。服の上からでも良く分かる、この鍛えられた筋肉。それに腰のしなりも良さそうね。たまらないわぁ~っ、あ・な・た♪」

 

「なっ!? 何を言ってる!? それにそこの貴様! どうして背中を向ける!?」

 

 トリーの上気した惚気の言葉を聴いて俺と男が顔を引きつらせた。俺はそのまま、二人に背中を向けて耳を塞ぎ、全てが終わるまで全てを閉ざした。男が悲鳴を上げたり俺に何かを訴えているようだったが聞こえない、聞こえない。

 

 

 

 一通り、喧騒が収まったのを感じ取って振り返ると、そこにはスッキリと晴れやかな表情を浮かべているトリーと、女々しく泣き崩れているお尻丸出しの男の姿があった。

 

「やっちまったのか?」

 

「素敵だったわ。たまらないくらいに」

 

 怖々と確認する俺に対して、これ以上ないくらいにご機嫌な顔でトリーは答えてくれる。可哀想に、堕天使だけにむしられたか。

 

 ……って、どうしてその熱い眼差しで俺を見つめるんだ、トリー?

 

「食後のデザートに、ください」

 

「誰がくれてやるか! ボケが!」

 

 真顔でオマケを要求するトリーに俺は怒鳴り散らした。

 

 




10話記念
(登場人物紹介)

時渡翔(ときわたりかける)

 別次元では上級悪魔ながら竜戦騎とう最上級騎士の称号を持つ。性格は軽いが仲間思いの兄貴肌で知られている。

 組織スタッフ・ド・RBでは調査部隊SEEKER(シーカー)に所属。戦闘力の高さからシーカーに転属されて最前線の任務に従事している。なお、初期に所属した強襲部隊ダークネスにて磨き上げた暴虐的な実力は、シーカーの中でも屈指のものとして知られている。

 竜戦騎になったきっかけは少年時代に戦争に巻き込まれ、力を渇望する所から始まり、竜戦騎の力を求めて竜羅の業を行い、ドラゴンを剣で倒して喰らった事により覚醒を果たす。なお、喰らったドラゴンは火炎竜との事だが、その名前は本人によって秘匿されている。

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