ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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お疲れ様です、バグパイプです。

ようやくアーシアの運命が原作に戻り、安心してますがまだ片付いてない予定が有る組織の面々です。どう始末するのやら。

それでは、どうぞ。


第96話 賑やかに終わるのが組織流

「こう言うのもなんだが、女の扱いを覚えるのは悪い話では無いんだ。それに今のお前では体力筋力が足りてない。そこを補うだけの物ぐらいは有った方が良いだろう」

 

「おう! 間違いはねえな!」

 

 副司令の忠告に司令が笑顔で賛同する。やはり司令の差し金か。だがそれを語った副司令はなぜか不思議そうな顔で視線を辺りに巡らせる。

 

 視線の止まった先に居たのは、朱乃だった。

 

「あら副司令さん、ごきげんよう」

 

「ふむ、君は……なるほど」

 

 何を確信したのか、副司令は挨拶をする朱乃に対して軽く頷くと、右手を差し出した。

 

「その道の先達として挨拶は受け取ろう。君が歩き始めた道はかなり特殊で誰もが助言できるものでは無いが、自分はその助言ができるだけの経験を持っている」

 

「あらあら、それは……素晴らしい事ですわね……」

 

 俺の目の前で固い握手を交わす二人に、言い様の無い黒い何かが蠢いているのが見える。若干、イッセーのヤツが顔を引きつらせてドン引きしてるが仕方ないと思う。俺だってあの空気には当てられたくない。

 

 そして、一堂に会した面々の中を、隊長が巨悪な宣戦布告を始めた。

 

「さて、皆が揃った所で此度の成すべき事を成そうと思う」

 

「何だ?」

 

「貴様を狩る事だ、司令!」

 

 不思議がる司令に対しておもむろに右拳を振り上げ、それを容赦なく彼に叩き付ける。しかしその拳を彼は寸での所で避け切り、痛手を負う事は無かった。

 

「何なんだよ、おいっ!」

 

「猛獣どもよ、殺れ」

 

「ハッ!」

 

 慌てる司令を他所に、隊長は優秀過ぎる猛者である幹部達に号令をかける。その号令を聞いた途端に幹部達から獰猛過ぎるほどの黒い衝動が解き放たれた。

 

 バゼルザークが司令を手繰り寄せた瞬間には彼はそのままの勢いで相手を殴り、襲い来るリバーサルの手に握られた一対の刺身包丁の殺意を察知して躱してはローリングソバットで蹴り飛ばし、目を狙っていたのか飛んできた毒針を首を傾げて躱すと地面を蹴ってマクレノリスに向かっていく。だがそこをザクトベリガに防がれて横からのクロ―攻撃を後ろへ飛び退く。するとそこへ駈け込んで待ち構えていたジャベリンが手にしている鶴嘴を大上段から振り下ろすが、それでも彼は横っ飛びで逃げ切った。

 

 この攻防が僅か3秒で起きた事だとは誰も信じられないだろう。見ている俺でも信じられないぐらいだから。

 

「クッソッ! マジで殺しに来てやがる! しかもリバーサル以外全力だろ!?」

 

 司令は僅かに息を乱しながらも今の攻防で幹部達の狙いが何かを察知したらしい。あの秒殺の連携を生き残るだけでも大したものなのに、狙いまで見切るのは素直に凄いと思う。

 

「何を血迷っておる。殺しに行かねば仕置きにすらなるまい」

 

 隊長は司令の愚痴を否定すると、右拳を固めて戦場に介入しようと突撃する。それを見た彼は顔をしかめて妙な言葉を口ずさんだ。

 

「……god speed live」

 

 司令がボソリと呟いた瞬間に爆発音が響き、俺達が爆風に晒されるところをとっさに展開された副司令の防壁で難を逃れられた。

 

「副司令さん、今のは?」

 

「音速の壁だよ。戦闘機で良く有るだろ? 飛行機雲の始まりの部分がソレだぞ」

 

 衝撃波によって生じた白い霧を見たのか、木場が副司令に問いかけるとすぐに返事が来た。もっともあの2人が戦っている世界は音速どころでは無いが、防護壁無しでは観戦もままならない危険地帯なのは言うまでもない。

 

 地上でそれをやられると、周りはたまったモンじゃねえんだけどな。衝撃波で水蒸気爆発が起きるんだからよ。

 

「なかなか当たらぬものだな、当たる気にはならんか?」

 

「一撃がくそ重いってのに当たりに行くわけねえだろが!」

 

「重く考えるものでもあるまい、気軽に当たるが良いわ!」

 

「焚火じゃねえんだぞ! 気軽に言うな!」

 

 現場は現場で喧しいながらもガンガンと拳が猛威を振るっていく。高速機動も霞んでしまう超高速領域での肉弾戦に、見物客の口が開いたまま閉じる気配が見られない。

 

「……今、戦闘中なのは誰なのさ?」

 

「分かるか? 隊長と司令が亜光速で遣り合ってる最中だぜ? 音速なんて最初の2秒で越えちまいやんの」

 

「見えてないのに分かるか! アホォ!」

 

 俺の説明にミッテルトが喚き散らした。


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