ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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どうもバグパイプですm(__)m 
今回は試験的に話を長くしてます。それではどうぞm(__)m


第9話 日課は楽しくやりたい

 次の日、俺とトリーは毎朝のトレーニングの1つ、マラソンをしに外へ出て走り始める。その道すがらで高校生らしい若者のカップルを目撃……イッセーとリアスだった。

 

「へぇ、こんな朝っぱらからランニングとかで体を鍛えているのか」

 

 俺はイッセーとリアスに併走しながら感心する。だが俺の走りは周囲が目を疑うくらいの早足で歩いているのだ。言うのもなんだが、人間がマラソンで走る速度ぐらいで良いなら、こっちは四つんばいで走っても十分に追い越せる。

 

「良くそれでついてこれるわね」

 

「その程度の速さなら四つんばいで走っても追い抜いてやるぞ」

 

「んなバカな」

 

「あら、このくらいで驚いていたら、あたし達の組み手を見た途端に卒倒するわよ」

 

 驚きの声を上げるリアスに対してトリーが追い討ちを仄めかす言葉を投げかけた。そして目的地の公園に到着したところでその言葉が現実となる。

 

 

 

 公園に到着してすぐに始まった俺達の早朝トレーニングにリアス達が目を剥いて驚く。

 

 確かにこれは驚く。何しろ小さい子供がやるあの『アルプスなんたら』をそのまま、下半身を固定させて攻防まで織り交ぜて行うのだ。上半身のバネと反射神経、下半身を固定するための踏ん張りを全て、同時進行で鍛え上げるこの訓練は俺達の組織では初歩的な訓練だ。

 

「ふむ、日頃の訓練は怠ってなかったか」

 

「この位なら当たり前に動けないと、調査員は出来ないでしょ?」

 

「ごもっともでございます」

 

 俺とトリーは軽口を交えながら拳と平手を交える。その間ですら手は止まらずにパンパンと小気味良い音を奏でる。

 

「そんなに危険なの? 調査員の仕事って」

 

 リアスは俺達の会話に違和感を覚えたのか、率直な質問を投げてきた。

 

「んっ? ああ、この世界は穏やかだから信じられないだろうけど、場所によっては命がけの任務になるから鍛えることは止められないんだよな」

 

「ええ、何回か前の任務じゃ、魔獣の群れに襲われたことがあったわよ。流石に無傷じゃ終われなかったわ」

 

「それに調査といっても千差万別、テロリストの規模を調査する仕事が来たこともあったしな」

 

 彼女の質問に対して俺達は実例を挙げて答えた。武器が有ったとしても多勢に無勢が俺達の仕事、集団を相手に勝ち逃げできるほどの技量は確保したい。

 

 俺達の話を聞いてイッセーが青ざめた表情を見せている。おそらくはその時の光景でも想像したのだろう。

 

 そうして意識が反れた次の瞬間、トリーが俺にデコピンの一撃を当てた。

 

「あだっ!」

 

 そしてトリーから地獄行きが宣告された。

 

「カケカケ~っ、タイキック!」

 

 タイキック?

 

「えええぇ~っ!」

 

俺は突如トリーから放たれた死刑宣告に目を剥いて飛び上がらんばかりに驚く。コイツの全力蹴りなら大気圏越えて電離層まで飛べる。いや、腰が物理的に抜ける。

 

「いぃやぁ~っ! いぃやぁ~っ!」

 

「カクゴシロ」

 

 嬉々としながら片言で俺をねじ伏せようとするトリーに対して俺は全てを捨てて逃げ出す。

 

 しかし悲しいかな、速度はトリーが俺の上を行くだけにこうして捕まった。

 

「いっくわよーっ!」

 

「あーっ!」

 

 パッカァーンッ!

 

 早朝のさわやかな空に、竹を割るような爽快な音と、それに反する男の凄まじい悲鳴がこだました。

 

 

 

「チクショウ……覚えてやがれ」

 

 腰の激痛から何とか立ち直った俺はトリーに向かって口を尖らせる。

本当にケツが粉砕されるかと思ったぞ、コノヤロウ。

 

 すると向こうも休憩中なのか、イッセーが俺の所に来た。

 

「あの、時渡さん、ちょっと良いすか?」

 

「んっ? どうしたんだ?」

 

 イッセーの表情が妙に真面目な所に俺は妙なものを感じ、話を聞くことにした。

 

「実は昨日の夜も堕天使に襲われまして、ギリギリの所で部長に助けられたんすよ」

 

「ふうん、その堕天使も運が悪かったな。獲物は美味しくいただくのが暗黙のルールらしいが」

 

 俺はイッセーの言葉に軽い冷やかしを入れる。しかしヤツの目は目の前を見ていない危うさが浮かんでいた。

 

「俺って、弱いっすよね、アハハ」

 

「当たり前だろ、転生したてでも生まれたてでも悪魔は悪魔、最初から強いやつは居ないモンだ」

 

「でも俺は強くなりたいんすよ」

 

 イッセーはそう言って俺に向き直る。しかしその目の残る危うい光に陰りは見えない。

 

 俺はそれを見てからため息を1つ吐き、彼を諭すことにした。

 

「イッセー、生まれたヤツは必ず2つの権利と1つの義務を背負ってる。そいつが何なのか分かるか?」

 

「えっ? いや、俺って馬鹿だから分からないっす」

 

「なら今から賢くなれ。生きる権利と幸せになる権利、そして成長する義務だ」

 

 俺は戦う術を学んだ師匠である武神の言葉を使ってイッセーを諭す。

 

 生きる権利と幸せになる権利――何かを果たす事とその喜び――を知って強くなり、それが成長する義務に繋がる。義務は放棄すれば心が死ぬ。成長する事を諦めたヤツが生きて行けるほど世界は甘くない。

 

「賢くなれって、俺に出来るわけが……」

 

「お前は今、俺が教えたことを理解し、それを他のやつに説明できるようになった。それが成長する義務だ。強くなるってのは成ろうとして成れるもんじゃない。成っちまうモンなんだよ」

 

 俺の言葉にイッセーが息を呑む。

 

「俺が強くなったのは必然だ。そしてお前もその必然の中に居る」

 

 俺は右の拳を彼の胸にトンッと押し当てる。

 

「俺の中の竜は俺の気持ちに答えて強さをくれた。じきにお前の中の竜もお前の意思を酌んで強さをくれるだろうさ」

 

「……はい! ありがとうございます!」

 

 俺の教えが少しでも理解できたのか、晴れやかな顔でイッセーが俺に感謝してきた。今はそれでいい。

 

 ……イッセーの中の竜はどこまで運命に抗って我を押し通すのか、俺としては見てみたい所では有るが、難しいだろうなと判っているし。

 

「良し、ハーレム王に俺はなる!」

 

 ……かっこよく決めた所を台無しにしやがったよ、コノヤロウ




良い話で終わらないのは仕様です。
それでは次回をお楽しみにm(__)m

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